エラボトックスとは

エラボトックスとは、ボツリヌストキシンという有効成分を含む製剤(例:ボトックスなど)を、エラの筋肉(咬筋)に注射する治療です。
ボツリヌストキシンは、神経と筋肉の伝達を一時的に抑える作用を持つたんぱく質で、医療や美容の分野で幅広く使われています。本来は筋肉の過剰な緊張をやわらげる目的で開発された成分で、近年ではその作用を応用し、エラの張りを改善してフェイスラインをすっきりさせる小顔治療としても人気を集めています。
注射によって咬筋の動きが抑えられると、使われすぎていた筋肉が次第に小さくなり、輪郭がシャープに整うのが特徴です。メスを使わずに小顔を目指したい方や、食いしばりが気になる方にも選ばれています。
エラボトックスについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
エラボトックスで得られる3つの効果

エラボトックスを受けることで、エラの張りが改善し、それに伴って小顔効果が得られるほか、歯ぎしりや食いしばりの軽減といった効果も期待できます。それぞれの作用について詳しく説明します。
エラの張りを改善することによる小顔効果
エラボトックスの代表的な効果は、エラの張りを改善し、小顔に見せることです。
食いしばりや歯ぎしりなどで咬筋が発達すると、エラが張って顔の輪郭が角ばって見えることがあります。
エラボトックスでは、ボツリヌストキシンという成分を咬筋に注射し、神経から筋肉への信号を一時的にブロックします。これにより、咬筋の動きが抑えられ、使われる頻度が減少。時間の経過とともに筋肉の厚みが落ち、フェイスラインが自然に引き締まっていくのが特徴です。
メスを使わずに輪郭を整えたい方や、エラの張りが気になる方に人気の治療法です。
歯ぎしりや食いしばりが改善する
エラボトックスは歯ぎしりや食いしばりの症状を改善できる治療法です。咬筋の過度な収縮を抑制することで、これらの問題行動を物理的にコントロールし、関連する不快症状も軽減していきます。
歯ぎしりや食いしばりが改善される理由は、ボツリヌストキシンが咬筋への神経伝達をブロックするメカニズムにあります。
通常、これらの症状は無意識のうちに咬筋が強く収縮することで発生しますが、エラボトックス注射により筋肉の収縮力が適度に弱められると、自然と歯ぎしりや食いしばりの頻度や強度が軽減されるのです。
特に夜間の無意識な行動に対しても効果的で、睡眠中の過剰な筋収縮を物理的に抑制してくれます。
エラボトックスの効果はいつから出る?

エラボトックスを受けた後、効果を実感できるまでの期間は個人差がありますが、一般的には3〜7日程度で変化を感じ始める方が多いでしょう。効果の現れ方や持続期間について詳しく説明していきます。
エラボトックスの持続期間
エラボトックスの効果は、初回の施術でおおよそ3〜6か月程度持続するといわれています。
ただし、効果のあらわれ方や持続期間には個人差があり、早い方では2〜3か月ほどで戻り始める場合もあれば、半年以上すっきりとした状態を保てる方もいます。
持続期間に影響する主な要因は次のとおりです。
- 筋肉の発達具合:咬筋が強く発達している方は、筋肉の力が強いために薬剤の効果が出るまで時間がかかったり、持続期間がやや短くなったりすることがあります。反対に、筋肉量が少ない方では効果が現れやすく、比較的長く持続する傾向があります。
- 食いしばりや歯ぎしりの強さ:日常的に強く噛みしめる習慣があると、筋肉の回復が早まり、効果の持続が短くなる場合があります。
- 代謝の速さ:日常的に運動をしている方や体温が高めの方、汗をかきやすい方など、代謝が活発なタイプの方は、体内で薬剤が分解・排出されるスピードが早く、効果がやや早めに薄れる傾向があります。
効果は急に切れるわけではなく、数週間〜数か月かけて徐々に筋肉の動きが戻るのが一般的です。
定期的にメンテナンス施術を行うことで、フェイスラインのすっきりとした状態をより安定して保つことができます。
エラボトックスの効果が出ない原因と対処法

エラボトックス治療を受けても期待した効果が現れない場合、いくつかの原因が考えられます。具体的な対処法と合わせて詳しく説明していきます。
エラ周辺の筋肉が少なかった
エラボトックスで効果を得るためには、そもそもエラ周辺の筋肉(咬筋)がある程度発達している必要があります。 もともと筋肉量が少ない方の場合、ボツリヌストキシンが作用する対象となる筋肉自体が小さいため、期待していた小顔効果や輪郭の変化を実感しにくくなってしまうのです。
この問題が起こる理由は、エラボトックスの仕組みにあります。治療は筋肉の働きを弱めることで筋肉のボリュームを減らし、フェイスラインをすっきりさせる方法です。
しかし、もともと筋肉が少ない状態では、減らすべき筋肉量が十分でないため、見た目の変化も限定的になってしまいます。エラの張りの原因が「骨格」や「脂肪」にある場合は、筋肉へのアプローチであるボトックスでは効果が期待できないかもしれません。
医師の技術不足
エラボトックス治療において医師の技術不足は、効果が現れない原因のひとつです。 ボツリヌストキシンの注入は一見簡単に見えるかもしれませんが、実際には解剖学的知識と豊富な経験が必要な専門性の高い治療なのです。
咬筋は複雑な構造をしており、適切なポイントに正確な量を注入しなければ、期待した効果は得られません。例えば、注入位置が浅すぎると筋肉に十分届かず、深すぎると他の筋肉に影響を与えてしまう可能性があります。
また、顔の左右バランスを考慮した注入技術も重要なポイントです。経験の浅い医師の場合、片側だけに偏った注入を行ったり、左右で注入量に大きな差が生じたりすることがあります。
これにより、フェイスラインの非対称や不自然な仕上がりといった問題が起こってしまうでしょう。
注入量についても、筋肉量や顔の骨格に応じた適切な単位数を決定する必要があります。少なすぎれば効果が現れず、多すぎると表情が不自然になったり、周辺の筋肉まで影響を受けたりする恐れがあります。
中和抗体ができている
ボツリヌストキシン製剤を短い間隔で繰り返し注射したり、高用量を頻繁に使用したりした場合、まれに体内で「中和抗体」と呼ばれるたんぱく質が作られることがあります。
中和抗体ができると、ボツリヌストキシンの働きが弱まり、同じ製剤を注射しても効果が出にくくなることがあります。
ただしこの現象はごく稀で、施術の間隔を3か月以上あけることで防げるとされています。
また、近年では中和抗体ができにくい構造の製剤も登場しています。
たとえば、「ゼオミン(Xeomin)」や「コアトックス(Coretox)」といった製剤は、従来のボツリヌストキシン製剤に含まれていた複合たんぱく質(複合体)を取り除いた“純粋型ボツリヌストキシン”で、抗体が形成されにくいといわれています。
そのため、過去にボトックス治療で効果を実感しにくかった方や、長期的に治療を続けたい方は、抗体ができにくいタイプの製剤を医師と相談して選ぶのがおすすめです。
使用するボツリヌス製剤に問題があった
エラボトックスの効果が現れない原因の一つが、使用されるボツリヌス製剤自体の品質や特性に問題があるケースです。 製剤の種類や保存状態、希釈方法によって効果に大きな差が生じることがあり、患者さん側では判断が難しい部分でもあります。
ボツリヌス製剤には厚生労働省承認済みの製剤と未承認の製剤があり、それぞれ効果の持続期間や安全性に違いがあります。
もし現在の治療で思うような効果が得られない場合は、使用製剤の変更を検討することも有効でしょう。
エラボトックスの効果が出やすい人の特徴

エラボトックスの効果が現れやすい方には、いくつかの共通した特徴があります。それぞれの特徴について詳しく説明していきます。
エラの筋肉が発達している人
エラの筋肉が発達している人は、エラボトックス治療で効果を実感しやすいタイプと言えるでしょう。
咬筋と呼ばれるエラ周辺の筋肉が発達している方の場合、ボツリヌストキシンによる筋肉弛緩効果が顕著に現れやすくなります。これは、筋肉のボリュームが大きいほど、ボトックス注射による収縮効果も明確に現れるためです。
エラの筋肉が発達している方の主な特徴をまとめると以下の通りです。
- 噛む時にエラ部分が盛り上がる
- 顔を横から見た時にエラの筋肉の輪郭がはっきりしている
- 普段から食いしばりや歯ぎしりをしている
- 硬いものを好んで食べる習慣がある
- ストレスを感じると無意識に歯を食いしばってしまう
このような方は、もともと咬筋を頻繁に使用している状態のため、ボトックスによって筋肉の働きが抑制されると、劇的な変化を感じることができるでしょう。筋肉量の減少に伴って、フェイスラインがすっきりとし、小顔効果も期待できます。
歯軋りや食いしばりがある人
歯ぎしりや食いしばりの習慣がある人は、エラボトックス治療で特に効果を実感しやすいと言えます。これらの癖は咬筋を過度に発達させる主要な原因となっているからです。
日常的に歯ぎしりや食いしばりを行う方の咬筋は、常に強い力がかかり続けるため、通常よりもかなり発達した状態になっています。就寝中の歯ぎしりでは、起きている時の数倍もの力が咬筋にかかるとされており、長期間この状態が続くことでエラ部分の筋肉が肥大化してしまうのです。
ただし、歯ぎしりの原因がストレスや噛み合わせの問題にある場合は、根本的な要因への対処も並行して行うことが大切です。
エラボトックスの効果を最大限高めるためのポイント
エラボトックスの効果を実感するためには、信頼できるクリニック選びと継続的な治療が重要なポイントになります。これらのポイントについて詳しく説明していきます。
経験豊富な医師がいるクリニックを選ぶ
エラボトックスの効果を最大限に引き出すためには、経験豊富な医師がいるクリニックを選ぶことが重要です。
経験豊富な医師を選ぶべき理由は、エラボトックス治療の成功が医師の技術力に大きく左右されることにあります。
咬筋への正確な注入位置の判断、個人の顔の骨格に合わせた適切な注入量の決定、筋肉の発達具合を見極める診断力など、これらすべてが豊富な施術経験によって培われるスキルなのです。
また、万が一のトラブル時にも迅速で適切な対応ができるのは、多くの症例を経験してきた医師だからこそと言えるでしょう。
また、クリニック選びでは口コミサイトやSNSでの評判も参考になりますが、実際にカウンセリングを受けて医師との相性を確かめることが大切です。あなたの悩みをしっかりと聞いてくれて、現実的な効果について正直に説明してくれる医師を選びましょう。
複数回施術を受けることで持続期間が長くなる
エラボトックスは複数回の施術を継続することで、持続期間が段階的に長くなっていきます。初回治療では3〜6ヶ月程度の持続期間でも、2〜3回目以降は6〜8ヶ月、場合によっては10ヶ月程度まで効果が続くケースも珍しくありません。
複数回施術で持続期間が延びる理由は、筋肉の学習効果にあります。ボツリヌストキシンによって咬筋の動きが繰り返し抑制されることで、筋肉が「弱い状態」に慣れていくのです。
この現象により、ボトックス効果が薄れても以前ほど強く筋肉が収縮しなくなり、結果として小顔効果やエラの張り改善が長期間維持されやすくなります。
ただし個人差があるため、相談しながらあなたに最適な施術スケジュールを決めることが重要です。
エラボトックスの効果に関するよくある質問

エラボトックス注射を検討する際、多くの方が施術前に知っておきたい重要な疑問をお持ちです。
特に気になるのが、自分に必要なボツリヌストキシンの単位数についてでしょう。エラの筋肉の発達具合や骨格によって、適切な投与量は大きく変わってきます。また、現在さまざまな製剤が使用されているため、どのボツリヌス製剤を選ぶべきか迷う方も少なくありません。
さらに、効果的な小顔治療を実現するためには、注入部位の選択も非常に重要なポイントです。咬筋の適切な位置に正確に注射することで、理想的なフェイスラインを手に入れることができるのです。
それでは、これらの疑問について詳しく説明していきますね。
何単位必要でしょうか?
エラボトックスの注入量は、片側あたり20〜30単位が一般的な目安とされています。
両側を治療する場合は、合計で40〜60単位前後になることが多いです。
必要な単位数は、咬筋の発達具合や顔の骨格、食いしばりの強さによって個人差があります。
咬筋がしっかりしている方や、日常的に歯ぎしり・食いしばりの癖がある方では、筋肉を十分にリラックスさせるためにやや多めの量が必要になることがあります。
反対に、もともと筋肉量が少ない方やフェイスラインが細めの方では、少ない単位でも効果を実感できる場合があります。
エラボトックスの単位数について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
どの製剤がおすすめでしょうか?
エラボトックス治療では、**厚生労働省に承認された「ボトックスビスタ(アラガン社)」**のほか、韓国製のボツリヌストキシン製剤も広く使用されています。
ボトックスビスタは、世界的にも臨床実績が豊富で、安全性・効果ともに高い信頼を得ています。品質管理が徹底されており、筋肉への作用も穏やかで持続期間が安定しているため、初めて施術を受ける方にも選ばれやすい製剤です。
一方で、エラ治療は注入量が多くなるため、コストを考慮して韓国製を選ぶケースもあります。代表的な製剤には次のようなものがあります。
- ボツラックス(Botulax):比較的安価に提供されることが多く、コストを抑えて継続的に治療したい方に選ばれやすい製剤です。
- コアトックス(Coretox):不要なたんぱく質(複合体)を除去した高純度タイプの“純粋型ボツリヌストキシン”。抗体ができにくく、繰り返しの治療でも効果が安定しやすいとされています。韓国製の中では品質が高く、価格もやや高めの次世代製剤です。
- ニューロノックス(Neuronox):韓国国内で販売実績が豊富で、表情ジワ・エラ・多汗症など幅広い治療に使われている製剤です。
それぞれ、効果の持続期間・筋肉への作用・価格帯が少しずつ異なります。
予算や目的、過去の治療歴(抗体の有無など)をふまえて、医師と相談しながら最適な製剤を選ぶことが大切です。
まとめ

エラボトックスの効果が出ない主な原因として、エラの筋肉量の少なさ、医師の技術不足、使用するボツリヌス製剤の問題が挙げられます。特に、咬筋が発達していない方や、経験の浅い医師による施術では期待した結果が得られにくくなってしまいます。
効果を最大限高めるためには、経験豊富な医師がいるクリニック選びが重要でしょう。また、複数回の施術を受けることで持続期間も長くなり、より満足度の高い結果につながります。
エラボトックスは適切な知識と技術があれば、小顔効果や歯軋り改善など多くのメリットをもたらしてくれる治療法です。信頼できるクリニックでしっかりとしたカウンセリングを受け、あなたに合った治療プランを立ててもらいましょう。








