目元がたるむと一気に老けて見えますし、顔全体の印象も暗くなりがちです。同じくらいの年齢でも若々しい人はいるのに、自分との違いは何なのだろうと考えてしまうこともありますよね。メイクをしてもたるみのせいで思ったように仕上がらないし、何かケアをしたいと思っても、方法が分からないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はそんな「目元のたるみ」を解消する方法をご紹介します。
目元のたるみの原因
目の周囲は顔の中でも特に皮膚が薄くデリケートで、たるみやしわができやすい部分です。それだけに、エイジングケアでうまく予防・改善していきたいところですが、たるみはさまざまな要因が重なり進行していくことが多いため、対策が難しいのです。加齢や乾燥、筋力の衰え、摩擦による刺激、日頃の習慣など、たるみの原因はひとつではありません。まずは、たるみの原因を知りましょう。
目元の筋肉(眼輪筋)の衰え
目の下のたるみに大きく関係しているのが、目の周りを覆っている「眼輪筋(がんりんきん)」という筋肉です。眼輪筋は通常、眼球をクッションのように支えている眼窩脂肪(がんかしぼう)が、前に出てこないように押し留める役割をしています。しかし、眼輪筋が年齢とともに緩んでくることで、眼球の位置が徐々に下がり、それと同時に眼窩脂肪が前に押し出されてしまいます。その結果、脂肪のふくらみが目立つようになり、目元のたるみになるのです。そのため目元のたるみケアには、弱った眼輪筋を鍛えるエクササイズが効果的です。
皮膚組織の衰え
人の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つで構成されています。お肌は本来、肌内部の真皮という層にあるコラーゲンやエラスチンなどの弾性繊維が肌に弾力を与え、ハリを保っています。しかしこれらの組織は、加齢や紫外線によるダメージによって次第に減ってしまいます。その結果、お肌のハリが失われ、目元のみならず、顔全体がたるんでしまうのです。そのため、目元のたるみケアには、肌内部のコラーゲンやエラスチンなどの生成を促すことが大切です。
PCやスマホなどによる目の疲労
最近は仕事に限らず、パソコンやスマートフォンを日常生活で使う人が増えています。移動時間にスマホを見たり、仕事でパソコンやタブレットを使ったり、1日中何かしらのデジタルデバイスを利用し、目を酷使している場合は要注意です。目に疲れがたまると周りの筋肉が凝り固まり、目元全体の血流が悪くなるため、老廃物が蓄積してしまいます。その結果、下まぶたの皮膚の代謝が悪くなり、肌細胞に必要な栄養や酵素が行き届かず、目の下がたるみやすくなります。
また、画面を見ているときはまばたきの回数が減り、目の下の筋肉が衰えてしまう可能性もあり、たるみの原因にもつながります。
目元のたるみ解消に!フェイスマッサージで筋肉を鍛えよう
目元のたるみを解消するために眼輪筋を鍛えるには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、おすすめのエクササイズをいくつかご紹介します。
下まぶたのエクササイズ
- 上まぶたが動かないように指で軽く押さえる。
- 下まぶたに力を入れて上に持ち上げて目を細め、5秒間キープする。
- 下まぶたをゆっくりもどす。
- 下まぶたに力を入れて、眼輪筋の下の部分を鍛えます。
下まぶたを閉じるとき、上まぶたがつられて動かないように指で軽く押さえておくのがポイントです。片目ずつ、それぞれ5回行いましょう。
8の字エクササイズ
- 目を見開き、顔を正面に向けて頭を動かさないようにする。
- ∞を描くように、眼球を8の字に大きくゆっくり5回まわす。
- 反対周りで同様に5回まわす。
8の字を描くように眼球をゆっくり動かし、眼輪筋全体を鍛えます。回転方向を変えて、それぞれ5回ずつ行いましょう。
目の見開きエクササイズ
①額が動かないように手のひらを当てて軽く押さえる。
②目の周りの筋肉だけを使って目を思いきり閉じ、5秒間キープする。
*この時、額や眉間に力を入れないように注意しましょう。
③次に思いきり目を見開いて、5秒間キープする。②と③を交互に5回繰り返す。
*この時、額にしわが寄らないように注意しましょう。
目をぎゅっと閉じてから、パッと思いきり見開くことで、目の周りの筋肉全体を鍛えます。額に力が入らないように、おでこを手のひらで軽く押さえ、目の周りの筋肉だけをつかうのがポイントです。1日に5回を目安に行いましょう。
化粧品でハリと潤いを!おすすめのスキンケア方法
目元のたるみは、肌のハリや弾力の低下が一因ですが、それを解消するための美容成分にはどのようなものがあるのでしょうか。
コラーゲン
肌のハリや弾力のもとになるコラーゲンは、骨や血液など人体を構成するために必要不可欠なタンパク質で、もともと体内に存在する成分です。真皮においては約70%を占めていますが、20歳頃をピークに生産量はどんどん減ってしまうので、しわやたるみが生じやすくなります。
また、紫外線を浴びて真皮層がダメージを受けると、コラーゲンは破壊されてしまいます。肌の奥までコラーゲンの成分を浸透させることで、新しいコラーゲンが作り出され、ふっくらとしたハリが生まれます。
フラーレン
あまり聞き覚えのない「フラーレン」という成分ですが、ノーベル賞を受賞したナノテクノロジー素材で、ダイヤモンドと同じ炭素のみから構成される物質です。ビタミンCの172倍という高い抗酸化力を持つと言われ、肌の酸化を防ぎます。肌が酸化すると、そのダメージによって真皮層のコラーゲンの弾力が低下し、シワやたるみを引き起こします。
フラーレンは、その酸化を引き起こす活性酸素をスポンジのようにどんどん吸収する働きがあり、持続時間も長く、紫外線によって壊れることもないので、大変優秀なアンチエイジング成分と言えます。フラーレンの原液が1%以上配合されている化粧品には、認定ロゴマークが付けられているので、購入する際は確認するようにしましょう。
※活性酸素とは、酸素を取り込んで体を動かすエネルギーを作る過程で発生するもので、紫外線の浴び過ぎや強いストレスなどによって過剰に増えてしまうと、体や肌にダメージを与えてしまいます。
コエンザイムQ10
私たちの体は、もともと活性酸素の働きを和らげる機能を備えていますが、その中のひとつがコエンザイムQ10です。しかし、この成分も加齢や不規則な生活習慣で減少してしまうので、積極的に取り込むことが大切です。コエンザイムQ10も抗酸化力に優れているため、様々な老化現象の予防に効果的です。
また、コラーゲンを破壊する活性酸素の働きを抑制するだけでなく、体のエネルギーの生産を促進させることで、代謝を高める作用があると言われています。この代謝が肌で行われるのがターンオーバー(肌の生まれ変わり)です。コエンザイムQ10は、たるみを予防するのは勿論のこと、健やかな肌に対して良い作用が期待できる成分です。
ビタミンC
美容成分の代表格ともいえるビタミンCは、ほかのさまざまな成分をサポートする役割も担っています。前述のコラーゲンやフラーレンとの相性が良く、その成分の吸収や生成を促す働きがあるのが特徴です。ビタミンCは抗酸化作用や美白などの効果に優れた成分ですが、成分自体が壊れやすく不安定なうえ、皮膚につけても浸透しにくいという特徴もありました。そんな壊れやすいビタミンCの作用を損なわないよう人工的に改良して安定化させ、皮膚に浸透しやすくした成分が「ビタミンC誘導体」です。
その成分は大きく分けて3種類あります。
水溶性ビタミンC誘導体 → 角層への浸透がはやく即効性が高い。
油溶性ビタミンC誘導体 → 角層の奥までじっくり浸透し、持続性が高い。
高浸透ビタミンC誘導体 → 「即効性」「浸透力」「持続性」「低刺激」を全て叶えた理想的な存在(APPS)。
レチノール
レチノールとはビタミンAのことで、コラーゲンの生成や肌のターンオーバーを手助けする働きがあり、たるみ対策の成分として注目を集めています。紫外線ダメージの軽減などにも効果があり、高いエイジングケア効果が期待される半面、刺激性の問題も取り上げられているので、しっかりと理解して使うことが大切です。
副作用として、肌の乾燥、かゆみ、赤みや刺激を感じることがあり、これをレチノイド反応いいます。このような症状が出ても、さほど大きなダメージを感じない場合は、目安として1~2週間程度様子を見て、レチノイド反応がなくなれば、使い続けても大丈夫な場合が多いようです。
日常生活を改善してみよう
目元のたるみの原因は加齢によるものだけではありません。実際には、様々な生活習慣やスキンケアの過不足などでもたるみが促進すると考えられています。
紫外線対策の不足
紫外線にはA波(UVA)とB波(UVB)があり、特に波長の長いUVAは真皮にまで届き、コラーゲンを破壊するため、たるみの原因となります。尚、UVBは肌の浅い部分に反応し、炎症を起こす=日焼けの原因となります。
UV効果のある化粧下地や乳液などの基礎化粧品を、日差しの強い夏だけでなく、日頃から使用するのはもちろんですが、日焼け止めの種類にも気をつける必要があります。最近では、ほとんどの日焼け止めにSPF値とPA値が記載されていますが、たるみなどの老化現象を防ぎたい場合に見るべきはPA値です。
SPFが数字で表記されているのとは違って、PA値は「+」マークの数で、その効果の度合が記載されています。最高は++++(4つの+)で、これは「UVA防止効果が極めて高い」ことを意味します。普段から最高値のものを使う必要はありませんが、炎天下でのレジャーやスポーツなどの際は、PA値が高いもの、普段の生活では低めのものというふうに使い分けてUV対策をする必要があります。
メイクによる刺激
目力を出すためのアイラインの書き方は、まつ毛の生え際や粘膜にある、眼球の水分・油分をコントロールしている毛穴を塞いでしまいます。また、アイシャドウチップによる摩擦や刺激で、上瞼の薄い皮膚が大きなダメージを受けるリスクもあります。日常的なアイメイクで起こる乾燥や炎症が、たるみの一因ともなるのです。
過激なマッサージ
マッサージの際に力を入れ過ぎて肌に負担をかけてしまい、かえって目をたるませる原因を作っている場合もあります。目元の皮膚は非常に薄いため、ほかの部分と同じ強さで行えば、却って逆効果です。独学マッサージには注意が必要です。
また、毎日のクレンジングの際にも目元には力が入りすぎないよう薬指を使い、クレンジング剤をたっぷり使って摩擦を和らげるようにしましょう。
おうちケアで解消できないたるみには
セルフケアの効果を実感するまでにはどのくらいの期間がかかるのでしょうか。たるみの度合いにもよりますが、エクササイズにしても、お肌のお手入れにしても、毎日の積み重ねが重要です。とはいえ、継続していくのは現実的に難しいと感じる方もいるかもしれません。
そのような場合には、美容クリニックでの治療を検討すると良いでしょう。
美容クリニックでできること
美容医療というと美容整形という言葉がまず思い浮かび、少しためらってしまう方も多いのではないでしょうか。そのような方のために、ここでは「切らない」美容医療の方法をご紹介します。
HIFU
目元の筋肉に超音波を照射して引き締めることで、たるみを軽減します。シワを改善するには皮膚の表面ではなく、コラーゲンなどが存在する真皮層に作用する必要があります。たるみは、皮膚と皮膚をささえる土台ともいえる「SMAS(表在性筋膜)」のゆるみが主な原因です。SMAS層はこれまで、フェイスリフトなどの切る施術でしか治療できませんでした。しかし、現在は超音波によってSMAS筋膜にピンポイントで熱を加えることが可能になりました。
一般的なフェイスリフト手術で引き上げる「SMAS筋層」まで超音波エネルギーが到達することで、たるみを土台からしっかりと引き上げます。この施術は、超音波による熱ダメージにより、SMAS層のたんぱく質がギュッと凝縮し、真皮層とSMAS層の緩みが引き締まり、リフトアップ効果が得られます。その後、熱ダメージにより損傷を受けて縮んだコラーゲンと、その周辺部分を修復しようと新しいコラーゲンの生成が活発化し、増生されることで肌の弾力がアップします。
即効性があり、治癒作用によって約3ヶ月後にリフトアップ効果が最大化し、半年から1年持続します。超音波は皮膚の内側のみに作用し、施術後も赤みや腫れは少なく、直後からメイクすることが可能です。メスを使わないため傷もできません。
HIFU治療器として有名な機械はいくつかありますが、目元のたるみに使用できるHIFU機器は限られており、目元専用のハンドピースがあるものだけとなります。上述したSMAS筋膜は、あくまでもフェイスライン付近のリフトアップへの効果であり、目元のたるみに対しては1.5~2mm程度の深さが有効です。
ハイフ(HIFU)の治療が受けられる東京都内の美容クリニック一覧
注射(注入)
注射には何種類かの施術方法があります。顔に注射するのは怖いという方も多いと思いますが、注入時に極細の特殊な針を使用ますし、痛みを軽減するために麻酔剤の含まれた薬剤を使用しているクリニックも多くなっています。
また、極細針など特殊な針を使用することで、毛細血管や神経を傷つけることなく薬剤の注入を可能にし、内出血や注入後の腫れを軽減することもできます。
ヒアルロン酸
体内に元から存在する自己のヒアルロン酸と融合して皮膚にふくらみを持たせ、たるみを改善します。効果も半年以上持続するため、満足度が高い人気の注入治療です。ヒアルロン酸が真皮の内側から肌を持ち上げて、たるみを改善します。
プレミアムPRP皮膚再生療法
この施術方法は、自身の血液(血小板)を利用した”万能注射” なので、目の下のたるみの改善におすすめの注入法です。
【成長因子】という組織を再生させる成分の働きを利用し、肌の組織そのものを増やし、元気にすることができる安全に配慮した治療法です。ご自身の血小板を使用するという安全性と、切らない注入治療という手軽さから、人気の治療法です。
脂肪注入方法
脂肪注入法は、おなかやふともも等から脂肪を少量採取し、気になるくぼみ部分に脂肪を注入することでふっくらとさせる方法です。自分の組織を用いるので異物反応などもなく、ごく自然な仕上がりを期待できます。体内に元から存在する自己のヒアルロン酸と融合して皮膚にふくらみを持たせ、たるみを改善します。
まとめ
目元のたるみ解消を目指すためにできることはいくつかあります。今回ご紹介した内容を参考に、チャレンジできそうと思える方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。