美容クリニック看護師座談会vol.6 「美容クリニックで増える看護師施術 技術習得はどのように行う?技量で仕上がりに差が出る施術は?」
ヒフコNEWSでは、美容クリニック看護師の座談会を連続でお届けしていく。今回は3人の看護師の技術習得について語ってもらった。
──美容クリニックでは、看護師が施術する治療もあるが、どのように習い、練習時間はどのくらいなのか?
Mariko:外科は、手術を行うのが医師なので、その介助を看護師が行います。器械出しをしたりですね。1回の手術に200回くらい手渡しをするので、それが短ければ短いほど患者さんの侵襲は小さく、腫れずにすみます。いかに素早く、術者がやりやすい介助を行うか。そのために、うちは、外科も皮膚科も「プリセプター制度」をとっています。
プリセプター制度とは、3カ月間、指導担当の看護師をつけて、その指導者が新人看護師が何ができないのかすべてを把握し、責任者のチェックが必ず通らないと独り立ちはできない、というシステムです。
──3カ月間、担当指導者がつきっきりで?
Mariko:そうです。それでできなければ、半年くらいまでは延びることもあります。
ハイフなどの看護師が施術に入るものも同様に、その3カ月の中で、担当の看護師から教えられて、さらに、定期的に医師から技術の説明や、勉強会もあります。そこの教育がすべてだと思っているので、しっかりと教え込みます。
恵梨香:うちのクリニックは、採用の時点である程度できる看護師を採用しています。全く未経験の人は雇わず、大手クリニックなどで経験を積んだ方のみを採用し、「ハイフとは……」という初歩の説明は飛ばし、入社後は打ち方などのトレーニングをします。このレベルであれば、OK合格というように、クリニックで独自の合格ラインを設けて、院長やスタッフ間で合格となればデビューという形を取っています。
──ちゃんと教えてもらえず、そのような一定の合格ラインも設けず、新人看護師をそのまま現場に入らせる、というクリニックもあると聞きます。
恵梨香:きちんとやりたくても、会社の方針でできないところもあるようです。マニュアル通りに、パパっとこなしてほしい、という内容が経営方針としてあれば、おそらく、指導もままならずに打ってしまうんでしょうね。
Mariko:経営者は細かい指導はしたがらない人もいるのかもしれませんね。そこに時間を割いてほしくない。
有紀:うちのクリニックは経営陣に看護師が入っていますので、看護師教育はわりと好きにできています。特にうちのクリニックは看護師さん向けのハイフの教育施設なんです。というのは、看護師である私がハイフの講師をしておりまして、クリニックの垣根を越えて、ハイフの講習会を開いております。
恵梨香、Mariko:すごい!
有紀:文献を読んで、10年の経験値でこういうたるみには、こういう打ち方がベストですよ、っていうのを伝えています。マニュアル通りにやることで、結果を残せずに悩んでいる看護師さんは、そういうインサイトがあるのに、ハイフを勉強する場がクリニックの中でしかないから、クリニックの中で完結した技術でしか施術できない。これは、この業界の課題だと思っています。
──具体的にどんなところを指導する?
有紀:機械によっても違いますが、基本は、明確に10項目をチェックするように掲げております。大きなところでいうと、ジュールっていうパワーと、スペーシングというドットの距離、角度、伸展。
あと大きいのは「アセスメント」というところが大きいです。アセスメントの中にまた細分化された項目があるんですけれども、ハイフをただ打つのではなくて、アセスメントをして原因をまず明らかにする。これは看護師の役割なんですよね。看護業務の中にアセスメントがある。こういうたるみには、こういうパワーとスペーシングと、角度と伸展っていうところを、この10項目に沿って、講師をしていく、というような形をとっています。
────アセスメントを行い、このたるみにはこの治療を。見極めがとても重要になってきそうですね。
Mariko:します。やらないと上手になっていかないし、私は、いきなり患者さんに施術をするのは抵抗があるので。
恵梨香:私も、すごくします。機器が入ってきた当初〜数カ月くらいは多めに行います。「ちょっと今の浮いているかも」「熱強めが良いかも」などと言い合って。
有紀:打ってもらった時に、「ちょっと今の痛かったよ」とか、やりますよね。
──手技レベルによって、効果が大きく変わるよ、っていうものっていうのは何かありますか?
Mariko:効果が変わるのは、ハイフももちろんそうですし、レーザーものは変わりますね。
一番簡単なものでいうと、光治療だったら、光が出るヘッドっていうものがあるんですけど、それを冷却するジェルの上から照射するんですが、多少傾いていればやけどになるリスクもあります。あとはその照射自体しても良いか、という肌の見極めができるかどうか。やはりアセスメントが大切です。肌状態が悪い中でやると火傷に繋がりやすいので。
看護師プロフィール ※50音順
藤尾有紀さん(34)
大手美容外科で勤務した後、様々なクリニックの立ち上げ、看護師長を経験しながらメディカルアートの技術を習得。現在は、リアンクリニック表参道院で看護技術の総責任者でありながら、アートメイク部門の代表も歴任している。ハイフとサーマジェンが人気のある美容看護師で、経験は10年。栗好きゆえ愛称はゆきまろ。
Instagram → @fujioyuki.nurse(ゆきまろ美容ナース)
Marikoさん(38)
7年間の臨床経験を経て、美容クリニックで約10年間勤務。現在は、アーククリニックとアークスキンクリニックで看護部長を兼任している。外科から派生したクリニックであるため、輪郭3点とも呼ばれる小顔形成術や骨切り手術が人気。また、昨年8月に開業した美容皮膚科アークスキンクリニックも併設している。
Instagram → @ark_marik(arkclinic看護部長)
水野恵梨香さん(37)
エステティシャンを経験した後、看護師に転職。総合病院を経て、大手美容クリニックに入社し、現在は東京トータル美容クリニックの看護師長を務めている。アンチエイジング専門のたるみ系レーザーや人中短縮レーザー、美肌にする注射器が人気で、AGAに悩む男性も多数いる。また、N2クリニックホテル椿山荘東京院にも兼務している。美容看護師歴は6年。
Instagram → @eribiyou_11(えりナース)
(写真/編集部)
今回で美容クリニック看護師座談会の最初のシリーズは終了です。座談会は引き続き開催予定です。
ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。