赤みやほてり、かゆみ、ヒリヒリ感など、敏感肌の症状が人によって異なる背景には、肌内部における遺伝子の働きの違いが関係している可能性がある。
ポーラ化成工業が、敏感肌が遺伝子の働きや肌状態の違いから6つのタイプに分かれることを明らかにし、2026年7月に報告した。
赤みや刺激感だけでは分からない敏感肌の個人差

直径約250µmの極小針を用いるマイクロバイオプシーの概要。低侵襲で皮膚内部の解析に用いられる。(出典:ポーラ化成工業)
- 研究対象→敏感肌を自覚する女性と自覚しない女性、計47人の頬から微量の皮膚を採取して比較した。
- 解析方法→皮膚に含まれるRNAを調べ、遺伝子の働きと赤み、水分量、医師の診断結果との関係を解析した。
- 採取技術→直径約250µmの細い針を使うマイクロバイオプシーにより、肌への負担を抑えて皮膚内部を調べた。
敏感肌は、赤みやほてり、かゆみ、ヒリヒリ感など、さまざまな状態が現れる身近な肌悩みである。その現れ方は人によって大きく異なるが、こうした違いが生じる理由は、これまで十分には分かっていなかった。
今回の研究では、こうした個人差を、肌表面の状態だけでなく、肌内部における遺伝子の働きの違いから捉えることを試みた。
対象は、敏感肌を自覚している女性と、自覚していない女性の計47人。
研究チームは参加者の頬から微量の皮膚を採取し、皮膚に含まれるRNAを解析して、どの遺伝子がどの程度働いているのかを網羅的に調べた。
皮膚の採取には、直径約250µmという注射針よりも細い針を使用するマイクロバイオプシーが用いられた。従来のパンチバイオプシーでは、局所麻酔をしたうえで直径2~4mm程度の器具を使って皮膚を採取する。
これに対し、マイクロバイオプシーは傷が極めて小さく、回復も早いという特徴がある。
研究チームは遺伝子の働きに加え、医師の診断や赤み、水分量などの測定結果を組み合わせ、肌状態との関係を総合的に解析した。
遺伝子発現から判明した敏感肌の6タイプ

左図は、敏感肌の被験者ごとの遺伝子発現パターンを示したもので、赤は発現が強い遺伝子、青は発現が弱い遺伝子を表す。遺伝子発現の違いから、敏感肌は6つのタイプに分類された。右図は、各遺伝子群の発現量と、赤みや水分量などの肌測定値との関連を示したもので、免疫応答や皮膚バリアに関わる遺伝子の働きが肌状態と結び付いていることが示された。(出典:ポーラ化成工業)
- 6タイプに分類→敏感肌では遺伝子の働きに多様性があり、そのパターンは大きく6つのタイプに分かれた。
- 関連する遺伝子→免疫応答や皮膚のバリア形成に関わる遺伝子の働きが、赤みや水分量などと関連していた。
- 今後の可能性→各タイプの特徴が明らかになれば、一人ひとりの状態に合った敏感肌ケアにつながると期待される。
解析の結果、敏感肌では肌内部における遺伝子の働きに多様性があり、そのパターンは大きく6つのタイプに分かれることが判明した。
分類に関連した遺伝子には、免疫応答に関わるものや、皮膚のバリア形成に関わるものなどが含まれていた。さらに、それぞれの遺伝子の働きは、赤みや水分量など、異なる肌状態と関連していた。
この結果は、同じ「敏感肌」であっても、肌内部で生じている状態は一様ではないことを示している。
敏感肌の症状や肌状態に個人差があることは、これまでも経験的に知られていた。今回の研究により、こうした違いが、肌内部における遺伝子の働きの違いとして捉えられることが明らかになった。
敏感肌をひとくくりにせず、多様な状態として捉える視点は、その実態の解明や新たな研究につながると期待される。
今後、6タイプの特徴についてさらに研究が進めば、一人ひとりの状態に合った敏感肌ケアの実現に近づきそうだ。
参考文献
ポーラ化成工業株式会社「敏感肌タイプを遺伝子レベルで明らかに 『マイクロバイオプシー』の活用により、低負担で敏感肌の原因究明に迫る」
https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20260713.pdf
