解約料実態の検証が始まる、「キャンセル料に不満」が6割、美容医療関連も、消費者庁が研究会
ポイント
- 解約料に関連した消費生活相談が毎年3万件を超えて寄せられている
- エステ脱毛や美容医療を含む医療サービスの相談の件数も上位にある
- 最近解約を経験した人のうち、解約関連の不満を感じる人は6割に達する
消費費者庁は解約料の適切なルール作りを目指し、2023年12月11日から研究会を開始した。第1回研究会では、解約料の現状が報告され、過去1年間に解約を経験した人のうち、キャンセル料の支払いに不満を感じている人がおよそ6割に上っているなどの状況が明らかにされた。
解約料を求められるサービスには、脱毛エステや美容医療も含まれ、この議論は美容医療にも関連してくると見られる。
毎年、解約料に関するトラブルは3万件を超える
消費者庁が新たに発足した「解約料の実態に関する研究会」では、今後、解約料の実態が検証されることになる。この検証を踏まえて、今後、適切な解約料のルール作りも検討される見通しだ。
第1回研究会の報告によると、直近10年間の解約料に関する消費生活相談は毎年3万件を超える水準で推移している。
22年度の解約料に関する消費生活相談の商品・サービス別件数は次の通りだ。美容医療に関係するものでは、脱毛エステが7位、美容医療を含む医療サービスが12位だった。このほか、美容関連では、ダイエット・サプリメントの定期購入、化粧クリーム、乳液といった商品・サービスに関連した相談も寄せられている。
順位 | 商品・サービス | 具体例 | 件数 | 割合 |
---|---|---|---|---|
1 | 光ファイバー | 光通信回線 | 2,543 | 8.1% |
2 | 賃貸アパート | 賃貸アパート | 1,779 | 5.7% |
3 | 普通・小型自動車 | 中古車販売・買取 | 1,201 | 3.8% |
4 | 役務その他サービス | パソコンのサポート、副業サービス、退職代行、など | 1,084 | 3.4% |
5 | 電気 | 電気 | 918 | 2.9% |
6 | 他の健康食品 | ダイエット・サプリメントの販売購入、など | 905 | 2.9% |
7 | 脱毛エステ | 脱毛エステ | 890 | 2.8% |
8 | モバイルデータ通信 | モバイルWi-Fi通信 | 815 | 2.6% |
9 | インターネット接続回線(全般) | インターネットの通信回線 | 544 | 1.7% |
10 | 結婚式 | 結婚式場 | 541 | 1.7% |
11 | スポーツ教室・健康教室 | スポーツ教室、ゴルフ教室、など | 506 | 1.6% |
12 | 医療サービス | 美容医療 | 492 | 1.6% |
13 | 携帯電話サービス | 携帯電話サービス等 | 481 | 1.5% |
14 | ホテル・旅館 | 予約サイトを利用したホテル・旅館等の予約 | 455 | 1.4% |
15 | 化粧クリーム | 化粧クリーム | 448 | 1.4% |
16 | 冠婚葬祭互助会 | 冠婚葬祭互助会 | 428 | 1.4% |
17 | 他のネット接続回線 | 据置型Wi-Fi通信 | 423 | 1.3% |
18 | 新築工事 | 住宅の新築工事 | 397 | 1.3% |
19 | 乳液 | 乳液 | 393 | 1.2% |
20 | ミネラルウォーター | 水の定期購入 | 392 | 1.2% |
美容ヒフコで報じているが、消費者庁や国民生活センターが、エステ脱毛の返金トラブルについてたびたび問題視している。
今回の研究会でも、エステ脱毛に関連した解約料トラブルの例を示した。この事例は、「脱毛エステ店で12回コースの契約をしたが予約が取れないので解約を申し出たところ高額な料金を請求され不満」というものだった。
解約料の実態の検証が進められる
消費者庁が解約料に関する消費者の不満を調査している。対象は過去1年間に解約経験のある20歳以上の2000人の男女で、「とても不満だった」と回答したのが27.2%、「やや不満だった」が30.3%で、合計57.5%が不満を感じていた。
※調査対象者は過去1年間に事業者との契約でキャンセル料の発生する時期にキャンセルしたことがある全国の20歳以上の男女2000人
不満の理由として多かったのは次のようなものだった。
- キャンセル料が高額だったから/返金が一切またはほとんど無かったから(47.3%)
- キャンセル料を支払うこと自体が不満だから(27.3%)
- キャンセル料に関する説明が無かった、説明がわかりにくかったから(23.7%)
研究会の議論によると、現在、同様の商品やサービスでも解約料の必要なプランと不要なプランが混在するなど、従来の解約料のルールが必ずしも当てはまらないケースが出てきているという。
※消費者契約法第9条1項第1号によって、消費者契約の解除に伴う損害賠償や違約金が規定されている。この規定によると、解約金の請求時に、損害賠償と違約金を合算した「平均的な損害」を超える部分は無効であるとされる。しかし、最近の解約料に関する動向は、例えばプランによって解約の可否が分かれるなど、損害を前提としないケースが増えており、従来の解約料のルールでは適切に対応することが難しい場合が増えているとされる。
美容医療関連の解約トラブルも起きており、分かりやすい解約ルールが重要といえるだろう。
参考文献
第1回解約料の実態に関する研究会(2023年12月11日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/meeting_materials/review_meeting_005/035491.html
「エステティックサービスの解約・返金相談急増 その施術本当に必要?」
https://biyouhifuko.com/news/japan/304/
シミ取り施術での問題発生、国民生活センターが返金トラブルを詳細解説
https://biyouhifuko.com/news/japan/3684/
当日の高額コース契約&施術、キャンセル時の返金トラブル、国民生活センターが経緯を明らかに
https://biyouhifuko.com/news/japan/3627/
エステ返金トラブル解決の実態とは?国民生活センターが公開した和解プロセス
https://biyouhifuko.com/news/japan/2296/
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