
肌を化粧品はどう変えてくれるか。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
美容と化粧品は切っても切れない関係にあるが、化粧品メーカーが大学と共同研究を行う動きが出ている。このような共同研究により、肌トラブルがより効果的に解決されるなど、これまでにない製品が実現する可能性がある。
ポーラ化成工業と東北大学は2025年2月3日に、共同で研究所を設立したことを発表した。
エイジングケアや美白など先端技術詰まった化粧品

ポーラ化成工業と報告大学が「境界の融合」共創研究所を設立。(出典/東北大学)
肌トラブルの解決において、化粧品は重要な存在となる。化粧品は、ドクターズコスメやメディカルコスメに代表されるように、肌を飾るというだけではなく、有効成分や技術が盛り込まれ、エイジングケアや美白、保湿など、肌の状態を改善する効果が期待されるようになっている。
今回、ポーラ化成工業と東北大学は、肌と化粧品、化粧品と外界といったさまざまな「境界」で起こる現象を解明し、化粧品などの新しい価値や機能を生み出すことを目指す。発表では、「境界の融和」というコンセプトが掲げられ、設立する研究室の名前も、「境界の融和」共創研究所と名付けられている。
今回の研究所が設置された東北大学の国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)では、高精度な解析や可視化を可能にする3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」の活用が見込まれている。ナノテラスは、ナノレベルで物質の変化を捉えられる最先端の技術を備え、化粧品の製剤と肌との相互作用を、リアルタイムかつ鮮明に観察することが可能となる。
このような研究が進むことで、従来以上に高機能な新しい製品につながる可能性がある。
大学発コスメ進化の動きが続く

大学が化粧品の研究に参加している。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
肌をより美しく、健康的にするにはどうしたらよいのか、新しい化粧品の研究が大学や医療機関で活発に進められるようになっている。
24年10月には、佐賀大学が「コスメティックサイエンス学環」の設置を発表している。ここでは、理工学や農学、医学、経済学、教育学、デザイン学などが連携して、化粧品に関連した教育を進める計画だ。
同大学によれば、日本の化粧品輸出額はフランス、韓国に次いで世界3位で、世界の化粧品市場も年平均11%成長し、化粧品業界は国内外で注目されている。
このほかにもポーラ化成工業は獨協医科大学との共同研究を開始しているほか、資生堂が中国の上海第九人民医院との連携を発表したり、ロート製薬が藤田医科大学と共同研究を進めたりする動きもある。
今回発表された共同研究は、25年から28年の3年間取り組まれる計画。環境課題にも視野を広げるという。
美容医療と化粧品は密接な関係にあり、今後、こうした化粧品の進化が美容医療分野にも良い影響をもたらす可能性がある。
