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家庭用EMS美顔器に潜む健康リスク、東京都が注意喚起、顔や首の使用に基準なし、あざや失神の報告も、エイジングケア需要増加に伴う消費者トラブルに警鐘

カレンダー2025.4.29 フォルダー 国内
EMS美顔器に注意喚起。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

EMS美顔器に注意喚起。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 2025年4月、東京都消費生活総合センターが家庭用EMS美顔器の使用に伴う健康被害のリスクや、返品不可のトラブルについて注意喚起している。

 EMSは美容クリニックでも使用されることがあるが、家庭にもエイジングケアや美容目的で広がっている。実際に使用している人や、使用を検討している人は、注意すべき点を理解しておくとよさそうだ。

※EMS(Electrical Muscle Stimulation)は、電気刺激による筋肉収縮運動を指す。

EMSに欠ける安全の基準

家庭用EMS美顔器の注意喚起 。(出典/東京都消費生活総合センター )

家庭用EMS美顔器の注意喚起 。(出典/東京都消費生活総合センター )

  • EMS美顔器→ 顔や首などに使用するEMS美顔器は関連協会の出す基準の適用外で、明確な品質や安全の基準が存在しない。
  • 健康被害の報告→ 痛みやあざ、頭痛、かゆみ、炎症などが生じるリスクがあり、重症例では1カ月以上の治療が必要となる場合もある。
  • 東京都の注意喚起→ EMS美顔器使用によるトラブル防止のため、慎重な使用とリスク認識が呼びかけられている。

 美顔器をウェブ検索すると、当たり前のようにEMSの機能が付いたものが多数ヒットする。機器はオンライン通販サイトのほか、家電量販店でも手軽に購入できる。いずれも、筋肉に電気刺激を与えて筋肉を引き締め、シワやたるみに対するエイジングケアを目的としたものだ。

 こうした美顔器は顔や首といった部位に使うものだが、東京都によれば、これらの顔や首のほか、頭部に使用する機器は、一般社団法人日本ホームヘルス機器協会が策定する「家庭用EMS機器の安全性に関する自主基準」の適用対象外だという。そのため、明確な品質基準や安全基準が存在しない。

 東京都では、60代女性の訴えた健康被害について紹介しており、テレビショッピングで購入したEMS美顔器を説明書通りに使用したにもかかわらず、顔に痛みやあざが生じ、返品も拒否されたという。

 東京都は、同様のトラブルが発生する可能性があることから、注意喚起を行っている。この注意喚起によれば、EMS美顔器による電気刺激は、皮膚が薄く敏感な顔に対して、かゆみ、炎症、頭痛などの症状を引き起こすリスクがある。ひどい例では、あざやヤケドが生じ、治療に1カ月以上を要したケースも確認されている。

使用による健康リスクと適切な対応策

EMS美顔器。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

EMS美顔器。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 首に対するEMSのリスク→ 頸動脈付近への刺激により、めまいや失神を引き起こす危険性が指摘されている。
  • SNS広告経由購入のトラブル→ 分割手数料の説明不足やキャンセル不可により、購入後にトラブルへ発展したケースもある。
  • 購入時の注意点→ 健康被害リスクの確認、異常を感じた場合の即時中止、返品条件の事前確認が重要とされている。

 ヒフコNEWSで伝えているが、首に装着するタイプでは、頸動脈付近の刺激により、めまいや失神を引き起こすケースがあるため、注意を促したことがある。

 また、同様にヒフコNEWSで伝えているが、EMS美顔器に限らないが、SNS広告経由で美顔器を購入したケースでは、分割手数料の説明が不十分で、キャンセルできずトラブルに発展したケースが報告されたこともある。

 製品を購入する際は、まず健康被害リスクに関する注意点をチェックしておくとよいだろう。もし使用中に違和感や異常を感じたら、すぐに使用をやめて、健康被害があれば医療機関の受診も検討して良いケース可能性も考えられる。

 また、東京都によると、美顔器に限らず家庭用電気製品では、一度通電しただけでも返品不可になるケースが多いという。購入前には、キャンセル条件や返品ポリシーを細かく確認しておくのは忘れないのが重要だ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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