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老化を左右するのは遺伝よりもライフスタイル、喫煙や運動不足などは要注意、50万人の調査から考える「ロンジェビティ(longevity)」、オックスフォード大学が研究結果を報告

カレンダー2025.2.23 フォルダー最新研究

 美容医療の分野では、健康的に長生きする「ロンジェビティ(longevity)」が注目されている。2025年2月に英国オックスフォード大学の研究チームが発表した研究によると、喫煙、運動、住環境などのライフスタイル要因が、遺伝子よりも老化や加齢関連の病気により強く影響することが示された。

ライフスタイル要因は改善可能

ライフスタイルは重要。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ライフスタイルは重要。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 寿命への影響→ 環境要因の影響が大きく(17%)、遺伝要因の影響は2%未満。特に喫煙、社会経済的地位、運動、住環境が寿命に強く関与。
  • 幼少期の影響→ 10歳時点の体重や母親の喫煙など、子どもの頃の生活習慣が30〜80年後の老化に影響を与えることが判明。
  • 老化予防の可能性→ 環境要因は改善可能であり、ライフスタイルの見直しが老化を防ぐ上で重要と考えられる。

 この研究は、英国の大規模な調査である「UKバイオバンク」(約50万人のデータ)を基に行われた。研究チームは、喫煙や収入、住まい、働き方など、164の環境要因(エクスポソームと呼ばれている)と、22の主要な病気に関わる遺伝要因を分析。老化や病気リスクにどのような影響を及ぼすかを調べた。

 分析の結果、寿命には遺伝要因よりも環境要因の影響が大きく(環境要因17%、遺伝要因2%未満)、特に喫煙、社会経済的地位(収入、持ち家の有無、雇用状況)、運動、住環境の影響が強かった。喫煙は21の病気、社会経済的要因は19の病気、運動が17の病気にそれぞれ関連が確認された。

 さらに、10歳時点の体重や生まれた時の母親の喫煙など、子どもの頃の生活も老化や寿命に影響することが分かった。具体的には30〜80年後の老化や寿命のリスクとの関連が確認された。

 こうしたライフスタイルは改善可能なため老化を防ぐ上で重要な発見といえる。

環境と遺伝の影響の違い

老化に関連する要因は?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

老化に関連する要因は?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 環境要因と遺伝要因の影響→ 肺、心臓、肝臓の健康は環境要因の影響を受けやすい。
  • ライフスタイルと家族歴の重要性→ 環境要因に対しては生活習慣の改善が重要。
  • 老化測定技術の進化→ 血液中のタンパク質から老化を測る「プロテオーム・エイジ・クロック」が研究されている。

 今回の結果からは、環境要因の影響を受けやすいのは、肺、心臓、肝臓の健康であることも分かった。一方、認知症や乳がん、前立腺がん、大腸がんは遺伝要因の影響が大きかった。

 ライフスタイルの改善と共に、遺伝の影響が大きな病気は家族の病歴などを参考に注意を払うことも大切だろう。

 この研究では、血液中のタンパク質から老化の進行度を測る「プロテオーム・エイジ・クロック」という方法が使われた。美容医療の分野では、DNAの状態から生物学的年齢を評価する「エピジェネティック・クロック」も注目されている。老化を遅らせるための研究は世界中で進んでおり、今回のような分析は今後さらに重要視されそうだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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