
肌のボリュームに影響するビタミンC。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
ビタミンCが新しい若返りメカニズムに関与すると報告されている。
東京都健康長寿医療センター研究所、北陸大学薬学部、ロート製薬が共同研究を行い、2025年4月に皮膚科学の専門医学誌「Journal of Investigative Dermatology」で発表した。
ビタミンCが遺伝子のスイッチをオンに

研究により肌とDNAの関連を明らかに。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- ビタミンCの新たな作用→ 従来の抗酸化やコラーゲン生成だけでなく、「エピジェネティクス」を通じて遺伝子発現に影響を与えることが判明。
- 肌のボリュームアップ→ 脱メチル化によって、肌の土台である表皮細胞の増殖が活性化し、肌のボリューム向上に寄与。
これまでビタミンCは、抗酸化作用やコラーゲン生成の促進などで美肌やアンチエイジングに有効とされてきた。今回の研究で、これとは別の仕組みが関与していることが明らかになった。
関連していることが判明したのは、「エピジェネティクス」と呼ばれるメカニズムである。細胞の遺伝子は、メチル化と呼ばれる変化によりコントロールされていることが知られている。DNAの配列を変えることなく、遺伝子の転写活性を調整し、タンパク質の産生に影響を与える。
生物学的年齢を関連するエピジェネティック・クロックも、同じ原理を応用したものだ。
※エピジェネティクスは、遺伝子やDNAに関連した技術。人の身体は、細胞の中にあるDNAという設計図を基に作られている。そうした中で、エピジェネティクスとは、DNAのメチル化と呼ばれる化学的変化によって、遺伝子のスイッチ(発現)が制御される仕組み。DNAのメチル化は、身体の部位によって異なるほか、時間などによっても変化し、年を取ると共に変化する。
ビタミンCが「DNA脱メチル化」という現象を通じて、DNAのメチル化状態を解除し、遺伝子の発現を活性化させることが分かった。細胞の増殖に関わる12の遺伝子の発現が、ビタミンCによって促進されていた。これにより、肌の土台となる表皮細胞の増殖が促進され、表皮のボリュームアップにつながると分かった。
ビタミンCの作用と、脱メチル化に関連するTET酵素との関連も確認された。つまり、ビタミンCと遺伝子制御との関係がより明確に裏付けられたことになる。
ビタミンCブーム一層強まる

サプリメントの市場規模が拡大している。(出典/富士経済)
- ビタミンCサプリの人気→ 富士経済の調査で、ビタミンCを含む美容サプリが前年比48.1%増と急成長。
- 市場拡大の見込み→ 2025年には49億円規模に拡大すると予測されている。
- 主な使用目的→ シワや肌荒れの改善を期待して、幅広い層から支持を得ている。
美容業界では、ビタミンCのサプリメントが人気となっている。ヒフコNEWSでも伝えているように、2024年に富士経済が発表した調査によると、日本国内ではコラーゲンやビタミンCを配合した美容サプリメントの人気が高まっている。特にビタミンCは前年比48.1%増と急成長を遂げている。
同調査では、ビタミンCが含まれるサプリメントは、シワや肌荒れの改善を目的に使用され、幅広く支持されている。2025年には49億円規模へと拡大が予測されている。
またビタミンCはこのほかにも化粧品を含め、さまざまな用途で利用されている。
ビタミンCが、抗酸化作用だけでなく、遺伝子レベルで肌の若返りを促すという今回の研究結果が広く認知されれば、その需要は一層高まることが予想される。
