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老化細胞を狙い撃ちする新たな除去法、京都大学の研究で明らかに 2つのタンパク質のコントロールで実現 若返りにもつながる可能性、「セノリシス」の選択肢

カレンダー2025.12.27 フォルダー最新研究
若返りの手段が出てくる?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

若返りの手段が出てくる?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 年齢を重ねるにつれて、肌や体が回復しにくくなる──。その背景にあると考えられているのが、「老化細胞」の存在だ。

 京都大学の研究グループが2025年、老化細胞を選択的に取り除く新しい治療アプローチを報告した。

老化細胞が「回復力」を奪っていく

細胞の老化を防ぐ方法とは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

細胞の老化を防ぐ方法とは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 背景→老化細胞は年齢とともに体内に蓄積し、SASPと呼ばれる炎症性物質を放出することで慢性炎症を引き起こし、回復力(レジリエンス)の低下や老化関連疾患の原因になると考えられている。
  • 研究の発見→京都大学の研究グループは、老化細胞内で2つのタンパク質が強く結合することで代謝が活発化し、老化細胞が死ににくくなる仕組みを突き止めた。
  • 意義→このタンパク質同士の結合を解くと、若い正常細胞にはほとんど影響せずに、老化細胞のみを選択的に除去できることが確認された。

 いかに若さを保つかという点から、老化細胞が注目されている。

 若い頃は、体や組織がダメージを受けても元に戻る。これは「レジリエンス(回復力)」と呼ばれている。この力は年を取るにつれて弱まるが、原因として老化細胞の増加が想定されている。

 老化細胞は、本来なら役目を終えて消えていくはずの老いた細胞が、死ぬことなく生き続けるもの。問題はこれらの細胞が「SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype、老化関連分泌表現型などと訳される)」と呼ばれる炎症性物質を周囲に放出し、慢性的な炎症を引き起こす点にある。

 SASPは「老化に伴う分泌現象」という意味で、老化細胞がなぜ周囲の老化を進めるのかを説明する重要な概念。感染による急性炎症とは異なり、SASPによる炎症は原因がはっきりしないまま、ゆるやかに続く「慢性炎症」となる点が特徴だ。

 慢性炎症が、組織の回復力を下げ、老化現象や老化に伴う病気を引き起こす要因になると考えられている。

 今回、京都大学の研究グループは、老化細胞の中で起こる、細胞を生き長らえさせる仕組みを突き止めた。

 その仕組みとは、老化細胞の中で、2つのタンパク質が結合することで、老化細胞の代謝が活発になり、死ににくくなる現象が起きていたことだ。

※2つのタンパク質とは、PGAMというタンパク質とChk1というタンパク質。これらが通常より強く結びつくことで細胞の代謝が活発になり、老化細胞が生き延びやすくなっていた。

 研究グループは、この2つのタンパク質の結合を解くことで、老化細胞がプログラムされた死を迎えて除去されることを確認した。この処置は若い正常な細胞にはほとんど影響を与えず、老化細胞だけを取り除けた。

老化細胞だけを狙う

左端は若い肝臓。右2つは老化した肝臓。処理を行った右側は若い肝臓と同じような見た目をしている。(出典/京都大学)

左端は若い肝臓。右2つは老化した肝臓。処理を行った右側は若い肝臓と同じような見た目をしている。(出典/京都大学)

  • 実験結果→老化細胞を除去する処理により、マウスでは慢性炎症が抑えられ、肝臓・腎臓・肺など複数の臓器機能が改善した。
  • 疾患への影響→老化に伴う代表的な疾患である肺線維症でも症状改善が確認され、老化細胞が病態に深く関与している可能性が示された。
  • 将来性→老化細胞を選択的に除去する「セノリシス」は、安全性の面でも期待され、寿命延長だけでなく回復力の維持・改善を目指す新たな治療概念として注目されている。

 このような処理の結果、マウスの実験では、慢性的な炎症が抑えられ、肝臓や腎臓、肺の機能が改善する様子が観察された。

 老化に伴う病気の代表とされる「肺線維症(はいせんいしょう)」の症状を改善する様子も確認された。

 このように老化細胞を取り除く考え方や治療は「セノリシス(老化細胞を選択的に除去する治療概念)」と呼ばれる。今回の方法は、安全性の面でも期待が持たれており、新しい治療の選択肢となる可能性がある。

 老化細胞除去は、単に寿命を延ばすばかりではなく、慢性炎症を抑え、体や肌が本来持っている回復力を取り戻すことで、老化に伴う体の変化を防ぐような効果も期待される。

 ヒフコNEWSでは、SASPやセノリシスについて伝えており、まだ研究段階といえるが、将来的には、現実にも広がりを見せるかもしれない。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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