肥満症対策の新薬セマグルチド、心臓病などの予防効果も
ポイント
- セマグルチドは糖尿病治療薬として開発されたが、肥満症治療薬としても承認
- 1万7000人以上を対象に心臓や血管の病気を減らす効果もあるか確認された
- 心臓および血管疾患のリスクを20%減少させることが確認された
日本において2023年3月に肥満症の治療薬として承認されたセマグルチド(商品名ウゴーピ)が、心臓や血管の病気を減らす効果も報告された。
1万7000人以上を対象に病気減少を検証
ヒフコNEWSで既に伝えているが、糖尿病の治療薬として開発されたセマグルチドは、23年3月に日本でも肥満症の治療薬として承認された。
※セマグルチドは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬として知られる薬。血糖値を下げるホルモンのインスリン分泌を促進し、血糖値を低下させる効果を持っている。もともと糖尿病治療を目的として開発されたが、体重減少の効果から肥満症治療を目的としても開発され、日本を含めて各国でそれぞれの治療目的で承認されている。なお、注射薬と飲み薬が存在しており、使用目的と薬の形態によって商品名が異なっている。糖尿病治療を目的とする場合、注射薬は「オゼンピック」という商品名で、飲み薬は「リベルサス」という商品名。肥満症治療を目的とする場合、注射薬は「ウゴービ」という商品名である。今後、肥満症治療を目的とした飲み薬が登場する可能性がある。
セマグルチドは注射で毎週投与され、体重減少効果を示す。
今回、BMI27以上で、糖尿病歴はないが、心臓病がある1万7604人の参加者を対象として、心臓や血管の病気を防ぐ効果が検証された。
※確認された心臓や血管の病気は、何らかの循環器疾患による死亡と、死亡にまでは至らない心筋梗塞と脳卒中。
研究グループは参加者をランダムに2つのグループに分け、セマグルチド注射またはプラセボ注射をして、病気の発生を評価した。
リスクが20%低下
こうして確認されたのは、セマグルチドの注射を受けた参加者において心臓や血管の病気が20%減ること。
セマグルチドが減量と疾患予防という2つの効果により、その有効性が改めて注目されることになった。
日本では、肥満症の治療薬としてウゴービが承認されたが、自由診療において減量目的で処方されるケースが増えている。しかし、セマグルチドは本来は糖尿病の薬で、適切な処方や使用方法を守らない場合、低血糖による意識障害などのトラブルが起こる可能性もある。トラブルが起こりかねないので注意を要する。
参考文献
Novo Nordisk A/S: Semaglutide 2.4 mg reduces the risk of major adverse cardiovascular events by 20% in adults with overweight or obesity in the SELECT trial
https://www.novonordisk.com/news-and-media/news-and-ir-materials/news-details.html?id=166301
肥満症の新たな治療法?セマグルチド飲み薬が体重減少に効果
https://biyouhifuko.com/news/research/2373/
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