HIFU(ハイフ)とは
HIFU(ハイフ)とは、超音波を高い密度で照射する治療法です。元々がん治療に用いられていた方法で、医療としての安全性が確立されていることから、美容医療業界でたるみや痩身の治療として導入されるようになりました。
ピンポイントで照射した熱エネルギーにより組織は損傷しますが、その傷を治そうとする過程でコラーゲンが増生され、リフトアップ効果などが期待できます。
HIFUのメカニズムと効果については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
HIFU(ハイフ)で起こった後遺症…ヤケドに似た症状が1年近く続く
番組では、HIFUによる後遺症に悩まされた20代女性が登場しました。
太ももの痩身目的でHIFUを受けたという女性ですが、施術当日から水ぶくれが起こり、まるで肌が燃えているような、気絶しそうな痛みがあったと話します。
その後、1年近くヤケドのような症状が続き、はっきり目立つ赤いアザが残り続けたそうです。
女性がHIFU施術を受けたのは、美容クリニックなどの医療機関ではなくエステ店でした。
HIFUによる痩身治療のしくみとメリット・デメリットはこちら
HIFU(ハイフ)治療でトラブルが起きた原因は?
番組で証言してくれた女性は、なぜ安全性が高いとされるHIFUでトラブルを起こしてしまったのでしょうか。その大きな原因は、医師がいないエステ店でHIFUを受けたことにあると考えられます。
HIFUは高密度の超音波により熱が生じる施術です。そのため、照射する場所や超音波の強さを誤ると、ヤケドや神経障害といったトラブルが起こる可能性があるのです。
HIFUトラブルの多くがエステ店での施術
番組調べでは、HIFUによるトラブルとして報告された135件中、実に7割以上にも及ぶ96件がエステ店での施術によるものだとわかっています。
エステ店には医師が在住しておらず、施術によるトラブルが起こったときすぐに対応してもらえません。また適切な技術や知識がないまま、HIFUのようなリスクのある機器を取り扱っていることも大きな問題です。
番組で話してくれた女性についても、医療機関で適切な治療を受けなかったことがトラブルの原因といえるでしょう。
現在HIFUは医療行為として認定されていない
2023年8月現在、日本ではHIFUによる施術が医療行為として認定されていません。そのため、医師がいないエステ店などでも導入され、結果として多くのトラブルが報告されている状態です。
消費者庁によると、HIFUは人体に危害を及ぼすリスクが高いため、施術・治療は医師に限定しておこなわれるべきと提言されています。
エステ業界で適切な施術の指導をしてきた団体代表も、医師・看護師など医療の知識がない人がHIFUを取り扱う危険性について、番組で警鐘を鳴らしています。体の奥に影響を及ぼす施術については医師に任せるという認識を、エステ業界全体で持つべきだと話していました。
HIFUに向いている人・向いていない人の解説はこちら
HIFU(ハイフ)だけじゃない!医療機関とエステの違い
美容クリニックと似たような施術が受けられるイメージがあるエステ店ですが、厳密にはどのような違いがあるのでしょうか。番組で紹介された医療機関とエステ店の違いは、以下のようになっています。
施術内容 |
医療機関 |
エステ店 |
注射 |
○ |
× (医師法違反) |
手術 |
||
レーザー脱毛 |
○ |
× (2001年より施術不可) |
HIFU |
医療行為として認定されていない |
先ほど紹介した通り、現在HIFUは医療行為として認定されていません。そのため、医師のいないエステ店でのトラブルが相次いでいる状態です。番組でも、HIFUのようにリスクのある施術は医療機器として認定し、医師のみが治療できるよう規制すべきだと話していました。
まとめ
『クローズアップ現代』で放送されたHIFU(ハイフ)によるトラブルについて紹介しました。
安全性が高いとされる機器を使った施術でも、使用者の技術や知識のなさからさまざまなトラブルに繋がる可能性があるのはHIFUだけではありません。
トラブルが起こるリスクが高い治療を考えるときは、医師がいる医療機関で施術を受けるようにしましょう。