睡眠不足が「黄ぐすみ」の意外な原因に、P&Gと九州大学による新たな研究で判明
ポイント
- 女性を対象に睡眠不足と肌の黄色み「黄ぐすみ」との関連が調べられた
- 睡眠不足は、睡眠不足が解消された後も含めて、皮膚の外観の黄色みに影響していた
- ビリルビンなどの黄色い色素の全身的な増加ではなく、皮膚由来の変化によると考えられた
睡眠不足だと肌トラブルを引き起こす可能性があり、その影響がどれほど深刻化を理解するための研究が行われている。また、肌が黄色くなることは「黄ぐすみ」と呼ばれ美容的に問題の一つとして認識されている。日本での最近の研究では、睡眠不足になると、肌がいつもより黄色く見えることがあると分かった。
睡眠不足と肌の色の関係性とは?
睡眠不足は、肌に悪影響を及ぼし、過剰な皮脂や赤みなどの原因になっていると感じることがあるかもしれない。一方、ぐっすりと眠れたときには、肌の調子が良くなっていると感じることもあるだろう。気になる肌の色の変化など、睡眠と肌の健康には関係があることが研究から分かってきている。
2023年1月、P&Gと九州大学の研究グループが睡眠不足と肌の黄色さとの関連について研究を行い、その影響について報告した。研究結果は、医学誌のジャーナル・オブ・クリニカル・メディシンで報告された。
研究のアウトラインは次の通り。研究グループは、睡眠不足が肌の色に与える影響を調べるために、2つの研究を行った。1つ目の研究では、28人の女性を対象に、一晩中眠らないようにしてもらい、その後7日間観察した(全睡眠不足)。2つ目の研究では、10人に5日間連続で4時間だけ寝てもらい、その後6日間観察した(反復部分睡眠不足)。肌の色を測定し、肌の色に関係するビリルビンやカロテノイドなどの血中の黄色い色素も調べた。
顔の肌の黄色みが増加するという結果に
研究から分かったのは、全睡眠不足と反復部分睡眠不足を経験した参加者では、顔の皮膚がより黄色く見えるようになったこと。参加した38人の皮膚を測定した結果、統計学的に有意に「黄色度」が増加していたのである。また、睡眠不足が解消された後も黄色度の上昇が持続した。
一方で、全睡眠不足の状態であっても、血液検査での黄色い色素の量には増加は見られなかった。また、炎症の原因となるインターロイキン6の増加もなく、顔のほてりが増していることもなかった。
※インターロイキン6とはIL-6と略される血液中の成分で、体の腫れや痛み、赤みなどを起こす炎症の原因の一つとして知られている。大阪大学免疫機能統御学の岸本忠三教授が発見した。今回の研究では、顔の黄色みに関連する可能性があるものの一つとして検査されている。
こうしたことから研究グループは、肌が黄色くなるのは血液中にビリルビンやカロテノイドが増えるなど全身の変化ではなく、あくまで皮膚由来の変化が関連すると指摘する。
以上が研究の要点となる。一般的に寝不足だと顔色が悪くなると言われることがあるかもしれないが、今回の研究から、あらためて睡眠不足は肌の色に影響を与え、より黄色っぽくなると明らかになった。単に顔色が悪くなったという認識だけではなく、実際に変化していたわけだ。しかも、この結果では、黄色度の継続も観察された。長期的にも影響が及ぶかを知るためには、さらなる研究が必要になる。
参考文献
Matsubara A, Deng G, Gong L, Chew E, Furue M, Xu Y, Fang B, Hakozaki T. Sleep Deprivation Increases Facial Skin Yellowness. J Clin Med. 2023 Jan 12;12(2):615. doi: 10.3390/jcm12020615. PMID: 36675544; PMCID: PMC9861417.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36675544/
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