
肌と運動に関連。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
肌の機能を高めたり、老化に伴う変化を緩和したりする、運動の効果が示されている。
四條畷学園大学、大阪公立大学、愛媛大学の研究グループは2025年5月、運動が皮膚機能に与える影響について、2000年以降の関連研究を分析し、その結果を報告した。
ミトコンドリアやホルモンに変化をもたらす

肌と運動に関連。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 運動と肌の健康→ 肌の機能改善における要素として、スキンケアや生活習慣に加え、運動の効果が注目されている。
- ホルモン分泌の促進→ 運動は成長ホルモンやエストロゲンの分泌を促進し、肌の弾力や保湿の改善に寄与する可能性がある。
- 注意点→ 水泳などでは塩素による皮膚バリア機能の低下が指摘されており、運動の種類や環境にも配慮が必要である。
肌の健康といえば、スキンケア製品や紫外線対策、禁煙、体重減少などが挙げられる。入浴やストレス軽減、十分な睡眠といった生活習慣の改善も、肌機能を高める重要な要素とされている。こうした生活習慣の一つとして、運動の効果にも改めて注目が集まっている。
今回、研究グループは2000年から2022年にかけて発表された論文を対象に、運動が肌機能を改善する効果について検討した。特に注目されたのは、血流改善、保湿効果、コラーゲン産生、ミトコンドリア機能といった生理的変化である。
この調査により、運動によって皮膚の血流が約8倍に増加し、微小血管の拡張機能も約1.5倍に上昇することが認められた。また、運動習慣のある成人や高齢者の皮膚は、非運動者と比較して水分量が高い傾向を示した。
運動を継続している人では、ミトコンドリアの活性化が見られた。さらに、週2回、12週間にわたる持久的運動によって、加齢で肥厚した角質層が薄くなり、真皮層のコラーゲン増加も確認された。
さらに、運動は成長ホルモンおよびエストロゲンの分泌を促進し、これが肌の弾力性や保湿機能の改善に寄与している可能性も示されていた。
一方で、水泳などの運動では、プールの塩素成分が皮膚バリアを損なう可能性も指摘されており、運動の種類や環境による影響にも注意が必要とされている。
日常的な生活習慣が「もう一つのスキンケア」に

運動は老化も防ぐ。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
肌の健康維持に運動が重要となるが、老化予防の観点からもその効果が注目されている。
ヒフコNEWSでも報じている通り、老化を左右する要因として、遺伝よりも運動をはじめとする生活習慣の影響が大きいとする報告がある。英国の研究グループは、「ロンジェビティ(longevity)」、すなわち健康的な長寿という観点から約50万人のデータを分析。その結果、運動が17種類の疾患リスクを下げることに関連し、老化の予防にも寄与する可能性が示された。
運動は、肌の健康維持や老化予防の観点から、今後ますます注目されると考えられる。美容の側面からも、日常的な健康管理に取り組むことの重要性が高まっている。
