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糸リフトの模造品、施術を受けた人はどうすればよいのか、品川美容外科が敗訴した裁判で注目、美容医療機器の承認の問題も検討必要か【編集長コラム】

カレンダー2025.6.19 フォルダー連載・コラム

 ヒフコNEWSが2025年6月にスクープした品川美容外科が敗訴した裁判では、糸リフトの模造品が特許を侵害しているとされ、69億円超の損害が認定された。

 糸リフトの模造品による施術を受けた人が国内に多数存在すると推測される中、どのように対応すべきかが問われる。

品川美容外科には説明の必要も

品川美容外科が、韓国で開発された糸リフトの縫合糸とキットを不正に模造して使用していたとして製造元から訴えられ敗訴した。(出典/東京地方裁判所)

品川美容外科が、韓国で開発された糸リフトの縫合糸とキットを不正に模造して使用していたとして製造元から訴えられ敗訴した。(出典/東京地方裁判所)

  • 患者への説明の必要性→
    模造品を使用された可能性がある人には、医療機関として説明責任がある。
  • 健康リスクの有無→
    模造品が健康被害をもたらすかは未確定。安全性の有無についても説明が求められる。
  • 模造品の承認不明→
    模造品が承認を受けていたかは不明で、その点も説明すべき。

 品川美容外科は、糸リフトの模造品を施術に使ったケースを特定し、施術を受けた人に対して何らかの説明が行われるべきだろう。

 裁判所の説明によれば、「第一審裁判所の判決に不服のある当事者は,判決送達日から2週間以内に上級裁判所に対して控訴をすることができ,第二審(控訴審)裁判所の判決に不服のある当事者は,上告をすることができます」とある。

 今回、品川美容外科が敗訴となった裁判は、東京地方裁判所で行われたので、今後、品川美容外科および原告となった韓国の会社がどのように出てくるかにもよるが、いったん裁判で判断が下されたタイミングで、何らかの説明が施術を受けた人にあってよいだろう。

 では、糸リフトの模造品が、健康上の問題を引き起こすかどうか。品川美容外科はそこも説明する必要があると考える。

 今回の糸リフトの模造品は、韓国の企業が開発した糸リフトの縫合糸とキットをまねして作られたことが問題となった。特許を侵害したという話なので、それ自体は危険性とは別問題となる。

 その上で、糸リフトの模造品の安全性がどうだったか、別途検討する必要がある。

 ワイ・ジェイコブスメディカルは「Youngs thread」などの製品を開発、販売している。今回の裁判で原告が保有する特許に関連した製品だ。

 資料を探したところ、同製品では、品目コード「B02040.01」、顔面組織固定用糸として、韓国で製造承認を受けていることが確認された。

 一方で、品川美容外科の模造品が承認を受けていたのかは不明だ。その辺りは、施術を受けた人には説明が必要だろう。

糸リフトは二重まぶたに次ぐ美容手術

国内でも施術件数が多い糸リフト。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

国内でも施術件数が多い糸リフト。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 日本国内の実情→
    日本では多くの医療機器や製剤が未承認のまま使用されていると見られ、糸リフトの縫合糸も含まれる。
  • 安全性確認の必要性→
    国内で使われる美容医療機器は、安全性と有効性が確認されたものを使用するのが本来あるべき姿。
  • 承認プロセスの改善→
    美容医療機器の承認を取得しやすくする制度整備が求められている。

 韓国では一般の医療機器と同じように、美容医療機器の承認が必須と見なされており、承認を受けたものを調べやすい。一方で、そもそも一般に使われている製剤や医療機器、糸リフトの縫合糸も含めて国内未承認のものは多いと見られる。結局、何が正規品なのかを調べることは困難だ。

 承認された製品であれば、医薬品医療機器総合機構で、医薬品や医療機器の添付文書を検索して出てくれば、承認されていると分かる。試しに固定用の糸や顔面用の糸などで検索してみたが、日本国内で糸リフト用の糸で承認されたものはないのではないように見えた。仮に承認品がある場合には、ぜひ情報提供をお願いしたい。

 今回の裁判の問題で考えても、正規品も模造品も日本国内では承認を受けていない可能性がある。

 本来であれば、国内で使用される美容医療機器は安全性や有効性が確認されるのが望ましい。

 そもそも、そうした国内の事情も一般にはあまり知られていない可能性もある。

 第25回日本抗加齢医学会総会で、美容医療関連の講演があったが、糸リフトの施術は、年間9万件近くになり、二重まぶたの手術に次ぐ、最も多い美容外科手術となりつつある。そのような状況で、そこで使われる糸が全く承認も受けていないという状況は異常であるともいえる。

 美容医療機器の承認プロセスも進めやすくしていくことが求められている。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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