「シンデレラ体重」の実態調査、ビタミンD不足など隠れた問題

2023.6.2

シンデレラ体重とは？

やせ過ぎも問題になる。写真はイメージ。（写真／Adobe Stock）

　SNSでシンデレラ体重と検索すると、最近の投稿からも「シンデレラ体重」を目指す女性の声が多く見つかる。しかし、シンデレラ体重はBMI18を理想とする体重で、一般的には低体重＝やせ過ぎと見なされる。なお、BMI20前後は「美容体重」と呼ばれることがある。低体重の場合には次のような健康のリスクが心配されている。

不妊

骨粗鬆症

耐糖能異常

低出生体重児

免疫力低下

低体温

　しかし、低体重というだけで病院を受診する人が少ないこともあり、シンデレラ体重だとどのような健康上の問題が存在しているのかという実態は不明だった。

　そこで藤田医科大学の研究チームは、若い女性のうち特に低体重の女性に絞って栄養状態を調査した。分析対象は、藤田医科大学の20～30代の女性教職員1457人のうち健康診断でBMI17.5未満となった44人。同大学20〜39歳の教職員のうち、低体重の割合は、男性が4.5％であるのに対し、女性は16.8％。圧倒的に女性が多かった。

栄養状態やビタミン欠乏が問題

　こうして分かったのが、シンデレラ体重の条件に当てはまった20～30代の若い女性は、栄養状態の悪化とビタミン不足の傾向が目立つということ。次のような問題が浮かび上がった。

モデル体型（“シンデレラ体重” ）な20～39歳女性に認められた問題
栄養障害握力低下コレステロール低下（59％）リンパ球数低下（32％）プレアルブミン低下（34％）ビタミン欠乏ビタミンD欠乏（98％）ビタミンB1欠乏（4.6％）ビタミンB12欠乏（20％）葉酸欠乏（14％）

モデル体型（“シンデレラ体重” ）な20～39歳女性に認められた問題

栄養障害

握力低下
コレステロール低下（59％）
リンパ球数低下（32％）
プレアルブミン低下（34％）

ビタミン欠乏

ビタミンD欠乏（98％）
ビタミンB1欠乏（4.6％）
ビタミンB12欠乏（20％）
葉酸欠乏（14％）

　研究グループは、将来の妊娠や出産の可能性を考えると、低体重に関連する健康リスクの認識をもっと高めることが重要と強調する。

　特に一人暮らしの場合は、魚や野菜の摂取が不足しがちで注意が必要と指摘。若い女性には、魚（ビタミンB12とビタミンDを供給）と野菜（食物繊維と葉酸を供給）を多く含む食事の重要性を強調し、食生活について情報提供することが推奨されるという。

　今後も研究が続きそうだが、栄養の不足が知らないうちに起きていることがありそうなので、注意するとよいかもしれない。

参考文献

シンデレラ体重がもたらす健康リスク　若い女性のモデル体型指向に警鐘
～本学教職員44名を対象にした解析結果より～
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv000000ivqw.html

Iizuka K, Sato H, Kobae K, Yanagi K, Yamada Y, Ushiroda C, Hirano K, Ichimaru S, Seino Y, Ito A, Suzuki A, Saitoh E, Naruse H. Young Japanese Underweight Women with “Cinderella Weight” Are Prone to Malnutrition, including Vitamin Deficiencies. Nutrients. 2023; 15(9):2216.
https://doi.org/10.3390/nu15092216

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