尋常性白斑の意外な死亡リスクの低さ、海外研究から明らかに
ポイント
- 尋常性白斑は、体の一部の色素が抜けて白っぽくなる病気の一つ
- 韓国の研究によると、尋常性白斑の人は死亡率が25%低いことが判明した
- 研究グループは、自己免疫と関連しているために病気や死亡率が低いと推定
尋常性白斑と呼ばれる病気は、体の一部で色素が抜けて白っぽくなる皮膚の病気の一つ。別名「白なまず」とも言われる。韓国の研究グループが、2023年7月28日、尋常性白斑を持つ人は、死亡率が低いという研究結果を発表した。
尋常性白斑の健康影響を10万人以上で調査
体の色素が抜ける病気はほかにもあるが、特定の原因がなく、生まれた後に白斑が現れる場合に尋常性白斑と診断される。
公益財団法人日本皮膚科学会では、「尋常性白斑とは皮膚の基底層に分布するメラノサイトが何らかの原因で減少・消失する後天性の病気です」と説明している。
尋常性白斑は、自己免疫が関係していると考えられており、再発しやすく治療が難しいと知られている。
尋常性白斑は、歴史的に見ると、元々の皮膚の色の濃い民族では、色が白く抜ける状態が目立つこともあり、差別につながった。現代でも、白斑が現れる場所によっては、見た目に影響する。美容医療とも関係する病気と言える。
日本皮膚科学会の「尋常性白斑診療ガイドライン」によると、日本の調査から、「尋常性白斑は白斑を呈する全ての疾患の約 60% を占める最も頻度の高い色素異常症」と分かっており、皮膚の病気の中の1.68%というデータが示されている。
そうした中で、韓国の研究グループは、尋常性白斑の死亡リスクを探ることにした。尋常性白斑を持つ人は生活に影響を受ける一方で、この病気が健康に脅威をもたらすかについて明らかではない。そこで、研究グループは全国データベースを分析することにより、病気が認められる人の死亡率を調べた。10万7424人の尋常性白斑患者と、53万7120人の条件を合わせた尋常性白斑のない人たちを比べて死亡率を比較した。
死亡率が低い結果に
こうして判明したのが意外な結果だった。
尋常性白斑患者の死亡リスクは、比較対照となったグループと比べて25%低いことが判明した。
さらに、感染症、がん、血液疾患、内分泌疾患、神経疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、腎泌尿器疾患という、いずれの病気に関連した死亡率においても、尋常性白斑のある人の方が低い結果となった。
研究グループは、尋常性白斑の病気や死亡率の低さは、自己免疫疾患との関連が影響している可能性を指摘している。
尋常性白斑の健康との関連は今後さらに明らかになると考えられる。
参考文献
尋常性白斑診療ガイドライン 日皮会誌 2012;122(7):1725-1740.
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/guideline_vv.pdf
尋常性白斑はどのように分類されていますか?(日本皮膚科学会)
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa20/s1_q02.html
Ju HJ, Kang H, Han JH, Lee JH, Lee S, Bae JM. All-cause and cause-specific mortality among patients with vitiligo: A nationwide population-based study in Korea. J Invest Dermatol. 2023 Jul 28:S0022-202X(23)02481-8. doi: 10.1016/j.jid.2023.07.007. Epub ahead of print. PMID: 37517513.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37517513/
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