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ミノキシジルの新たなメカニズム発見、毛細血管を増やすことで発毛効果を高める

カレンダー2023.9.16 フォルダー最新研究

ポイント

  • 育毛成分として広く使われているミノキシジルの発毛メカニズムの一端を解明
  • ミノキシジルは、毛根周辺の毛細血管を増やし、加齢に伴う薄毛に対抗
  • 培養したヒト血管細胞にミノキシジルを加えると、血管網の形成が促進された
薄毛の治療に使われるミノキシジル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

薄毛の治療に使われるミノキシジル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 薄毛治療に世界的に使われている発毛成分のミノキシジルについて画期的な発見がなされた。この発見は、ミノキシジルがどのように発毛を促進するかに光を当てるもので、2023年9月、大正製薬が神戸学院大学との共同研究の結果について報告している。

ミノキシジルの未知の効果を探る

右の方が緑色の血管が増えている。(出典/大正製薬)

右の方が緑色の血管が増えている。(出典/大正製薬)

 ヒフコNEWSでも伝えているが、抜け毛は、男性型脱毛症(AGA)、女性型脱毛症(FAGA)、毛細血管拡張症(TE)などの形で起こり、男女ともに共通の問題になる。脱毛症の治療の代表的な薬剤として、ミノキシジルがある。

 ミノキシジルは、その優れた発毛作用から、日本を含む世界中で使われている。もともと高血圧の薬として開発されたが、発毛効果があることから、薄毛の治療に使われるようになった。しかし、そのメカニズムには未知の部分もあり、継続的に研究が続いている。

 大正製薬によると、同社は38年以上にわたりミノキシジルの研究に取り組んでおり、このたび神戸学院大学大学院薬学研究科特命教授の水谷健一氏と共同研究を進めていた。研究成果は23年5月に東京で開催された第1回国際研究皮膚科学会(ISID2023)で発表された。

 まず研究グループは、ミノキシジルが組織や細胞に栄養や酸素を届ける皮膚の血管網に及ぼす影響を検証した。年を取るに伴って、皮膚の血管は減少する傾向にあり、栄養や酸素の流れが妨げられ、薄毛の一因となる。今回の検証から、ミノキシジルによって毛包周辺の毛細血管の数を増加させることを明らかにすることができた。

血管網の増加を促す

右の方が血管網が増えている。(出典/大正製薬)

右の方が血管網が増えている。(出典/大正製薬)

 さらに研究グループはミノキシジルによる毛細血管増加のメカニズムを解明するために、培養細胞を使った実験が行った。すると、注目すべきことに、ヒトの血管細胞を特殊なゲル上で培養したところ、ミノキシジルの添加によって血管網の形成が促進されることが確認された。ミノキシジルが血管細胞に直接作用し、皮膚内部の血管網に影響を及ぼすことが考えられた。

 今回の発見は、ミノキシジルの発毛メカニズム解明にとって大きな前進となる。ひいては、より良い治療の実現につながることが期待される。

参考文献

発毛成分「ミノキシジル」に新たな作用メカニズムを発見~毛包周辺の毛細血管増加作用~
https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230901001380.html

美容皮膚科研究が示す、脱毛症改善の新たなヒント、コラーゲン&アミノ酸サプリ効果確認
https://biyouhifuko.com/news/research/2831/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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