日本でも少なくない人たちがかかる肌に症状が現れる病気である乾癬の治療では紫外線(UVB)が使用され、一般的にクリニックで治療が行われるが、自宅で光線療法を受けることでほぼクリアまたはクリアな肌になった人が3割と、クリニックよりも高い効果が得られると報告された。
米国の研究グループが2024年9月、皮膚科の医学誌で、米国医師会が発行する「JAMA Dermatology」で発表した。
日本でも珍しくはない乾癬
日本でも多くの人が悩む乾癬(かんせん)は、皮膚に赤みや鱗屑(ふけのようなもの)が現れる慢性的な皮膚疾患である。日本では10万人以上がかかるとされるが、世界的にこの病気にかかっている人の人数は正確に把握されていない。
美容面での影響も大きく、主にひじ、ひざ、頭皮、背中などに症状が現れるのが一般的だが、顔や手などに症状が出ると深刻な悩みとなる。乾癬の治療には塗り薬、飲み薬、注射薬などがある。そうした中で、治療法の一つに、特定の波長の光を使うナローバンド紫外線B波(UVB)を用いた光線療法があり、症状の軽減に効果的である。他の治療と併せて実施することも多い。
しかし、光線療法は通常クリニックで行われるため、定期的な通院が必要となる。例えば、仕事や家庭などで忙しい人にとって、頻繁な通院は難しい場合も多い。
以下が、今回の研究内容だ。
この問題に対し、米国の研究グループが自宅での光線療法の効果を検証した。2019年から2023年にかけて、米国の42の大学病院と皮膚科クリニックで、12歳以上の乾癬患者783人を対象に12週間の治療を実施。参加者を在宅療法群とクリニック療法群にランダムに分け、効果を比較した。さまざまな肌のタイプの人が試験に参加している。
乾癬の治療をよりよくする手段に?
研究の結果、在宅での光線療法がクリニック治療と同等、もしくはそれ以上の効果を持つことが確認された。具体的には、在宅療法を受けた人の32.8%が「ほぼクリアまたはクリアな肌」を達成し、クリニック療法を受けた人の25.6%を上回った。
さらに、治療計画への遵守率(アドヒアランス)も在宅療法群で51.4%と高く、クリニック療法群の15.9%よりも大幅に高かった。
以上が研究から判明した。自宅で手軽に治療できることで、忙しい人たちでも治療を継続しやすいことが推測される。
日本でも、自宅でも受けられる医療への関心が高まっているが、皮膚疾患に対する自宅での光線療法は普及していない。
今回の研究は海外のものではあるものの、こうした研究結果を受け、在宅型のナローバンドUV-B光線療法が導入されれば、通院の負担が軽減され、患者の生活の質向上に大きく寄与する可能性がある。