避妊薬とうつ病に関係、メンタル症状には注意、25万人以上の女性を分析した研究結果
ポイント
- 25万人以上の女性を対象に避妊薬の使用とうつ病の潜在的な関係を分析
- 避妊薬を使用している女性は、特に使用開始後2年以内にうつ病のリスクが高まると確認
- 避妊薬には利点がある一方で、精神的な症状がある場合などは医療機関への相談も検討
避妊薬を定期的に飲んでいる女性はうつ病になるリスクが高く、使用していて気分が優れないときには注意するとよいかもしれない。スウェーデンの研究グループが調査を行い、2023年6月にその結果を発表した。
25万人以上のデータを分析
うつ病は世界的に重要な健康問題であり、日本でも多くの人がうつ病を経験し、およそ15人に1人が人生のどこかでうつ病にかかるとされる。避妊薬がうつ病に影響を与える可能性は以前から認識されており、精神的な症状から使用を中止する女性もいる。しかし、避妊薬とうつ病の正確な関係については、まだ十分に解明されていないのが現状である。
そうした中で、今回、スウェーデン、ウプサラ大学の研究グループが、このテーマについて、これまでで最大規模の調査を実施した。この研究は6月に疫学を専門とする論文誌で発表された。
研究グループは、世界的に有名な健康診断や遺伝子などの情報を集めた英国バイオバンクのデータを分析し、25万人以上の女性を対象に、避妊薬の使用とうつ病との間に潜在的な関係があるかを調査した。
10代のリスクは一層高い
こうした確認されたのは避妊薬を使っている人では、うつ病のリスクが上昇すること。
具体的には、避妊薬を使っている女性全体では、全く使っていない人と比べて、使用を始めてから2年間のうつ病にかかるリスクが1.7倍だった。10代の若い女性ではリスクが1.95倍で、リスクがより高いことも確認された。ただし、使用から2年を超えるとこのうつ病のリスクの上昇は確認されなかった。
避妊薬は大きなメリットはあるが、気分が優れないときには、このようなリスクがあることも考えて、医療機関に相談してみると良さそうだ。
参考文献
Batres C, Porcheron A, Kaminski G, Courrèges S, Morizot F, Russell R. Evidence That the Hormonal Contraceptive Pill Is Associated With Cosmetic Habits. Front Psychol. 2018 Aug 23;9:1459. doi: 10.3389/fpsyg.2018.01459. PMID: 30190690; PMCID: PMC6115487.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6115487/
うつ病(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
New study links contraceptive pills and depression
https://www.uu.se/en/news/archive/2023-06-13-new-study-links-contraceptive-pills-and-depression?id=20830&typ=artikel&lang=en
Johansson T, Vinther Larsen S, Bui M, Ek WE, Karlsson T, Johansson Å. Population-based cohort study of oral contraceptive use and risk of depression. Epidemiol Psychiatr Sci. 2023 Jun 12;32:e39. doi: 10.1017/S2045796023000525. PMID: 37303201.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37291218/
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