美肌の新たな守り神は「YBX1」? 日光と光老化プロセスの科学、資生堂が発表
ポイント
- 幹細胞の質の変化が “光老化 “と呼ばれる老化の加速に関与
- 表皮幹細胞は、表皮の細胞を継続的に作り、若々しい肌を保つために重要な役割
- YBX1というタンパク質が減少すると、幹細胞とその周囲の細胞の両方が老化する
皮膚に存在している幹細胞の質が、「光老化」のプロセスに関連しているようだ。2023年6月に資生堂が発表した。
若々しい肌を保つのに重要な「表皮幹細胞」
皮膚は、角質、表皮、真皮、基底膜などのさまざまな層から構成されている。基底膜に存在している「表皮幹細胞」は、皮膚を健康に保つために重要な役割を果たしている。この細胞は新しい表皮細胞の源になり、絶え間ない成長とターンオーバーを促し、若々しい肌の維持に貢献している。
資生堂の研究グループは、10年近くにわたり、表皮幹細胞について研究を続けてきたという。これまでに表皮幹細胞が、肌の保湿やバリア機能、真皮のコラーゲン生成にとって重要な役割を果たしていることを突き止めたと同社。
今回、資生堂の研究グループは、ハーバード大学関連研究機関であるCBRCと共同で、表皮幹細胞がどのように老化するかを調べている。
「YBX1」と光老化のプロセスの関連
研究の結果分かったのは、表皮幹細胞の老化プロセスに、YBX1の特徴的な変化が起きていたことだ。この結果として、YBX1タンパク質の機能が低下し、表皮幹細胞が老化すると分かった。
この変化とは、「リン酸化」と呼ばれる変化である。研究グループは、このリン酸化のプロセスを阻止する薬剤を利用し、表皮の老化を効果的に食い止めることも明らかにした。
※リン酸化は、体内のタンパク質の活性化に深く関連する科学的な変化。一般的にタンパク質がリン酸化すると、タンパク質の形が変化するために、その機能が大きく変わることが知られている。
さらに、日光の影響を調べたところ、日光を浴びた皮膚では、表皮幹細胞の減少と共に、YBX1を持つ細胞の数が減少していたのに対し、日光を浴びていない皮膚ではYBX1を持つ細胞が大幅に増えていることが観察された。要するに、このYBX1のレベルの減少が、日光による光老化の根本的なメカニズムの一つにつながる可能性が推定される。
将来的には、YBX1は、皮膚の光老化やそれに伴う影響を防ぐために注目される可能性がある。
参考文献
資生堂、CBRCとの共同研究で、表皮幹細胞の老化制御の可能性を明らかに
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003636
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