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マスク着用がニキビの原因に!マスクと肌荒れの関係を考える

カレンダー2023.3.27 フォルダー最新研究

ポイント

  • マスクの使用は、肌の蒸れによってニキビなどの美容上の悪影響を及ぼす
  • ニキビに悩む人々を分析し、マスクによるニキビが発生しやすい人の特徴を明らかに
  • マスク着用が長くなるほどニキビの数が増え、化粧品はニキビの程度を悪化させた

マスクが肌に影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 日本でも3月13日からマスクの着用は屋内であっても個人の判断に任されるようになった。そのためマスクなしで仕事や生活ができるようにする取り組みが進んでいる。もっとも日本ではコロナ以前から毎日マスクを着用する人もおり、今後もマスクを着用し続ける人は少なくないかもしれない。しかし、マスクの使用は顔を覆って肌が蒸れた状態になるため、ニキビができやすくなるなど美容面での悪い影響もある。海外の研究では、マスク着用とニキビの関連性が報告されているほどで注意が必要だ。

「マスクネ」が問題に?マスクとニキビの関連性が研究で明らかに

マスクの影響でニキビが?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 コロナ流行によるマスクの長期使用は、多くの人に肌荒れやニキビを引き起こしている可能性がある。マスクの内部の熱や湿気は、ニキビの原因となるバクテリアの繁殖を助長する環境を作り出す可能性があるからだ。

 インドのサルダール・パテール大学の研究グループは、マスクを原因としたニキビの発生率が増加していることを予想しているが、これについて調査した研究はほとんどないという。この疑問を解くため、研究グループは、マスク着用によるニキビに悩む人々を分析した。マスクが原因のニキビができやすい人の特徴や、ニキビができやすい条件について調査したのである。

 なお、この研究グループは、マスクを原因としたニキビを、マスク(mask)とニキビを意味するアクネ(acne)を組み合わせ、「マスクネ(maskne)」と呼んでいる。わざわざ用語を作るほどにマスクとニキビの関係性を問題視しているとも言える。この研究は美容皮膚科分野の医学誌であるジャーナル・コスメティック・ダーマトロジー誌で2022年12月に発表された。

 論文のアウトラインは次の通りだ。

 この研究では、主にニキビができにくい人が、マスク着用後に新たにニキビを発症したケースに着目した。対象になったのは、もともとあまりニキビに悩んでいなかった15歳以上の男女で、マスクを着用してからその部分に新たにニキビが生じ、マスク着用期間と関係があると思われる人たちだ。ただし、喫煙、アルコール、薬物を使っていたり、炎症を起こしやすい食生活を送っていたり、体の他の部位にニキビや発疹ができる持病があったりする人は除外された。

化粧品がマスクニキビに与える影響

必要ないときはマスク着用を控えることが有効。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 こうして分かったのは、ニキビの新たな発生は、マスクの着用、特にウイルスに有効なN95マスクの着用と関係があることだ。N95マスクを着用した人は、ニキビが悪化する可能性が高く、マスクの着用時間が長いほどニキビの数が増えた。しかし、ニキビの程度はマスク着用期間に影響されないようだった。

 ニキビの重症度を重度から軽度(4~1)に分類すると、グレード2が最も多く、ほぼ50%を占めた。部位としては、下あごが最も多く、次いでほお、あごのラインとなっていた。

 マスクの下に使用する化粧品は、ニキビの重症度と関係があり、オイルベースのものは毛穴を詰まらせ症状を悪化させることが分かった。

 以上が、論文のポイントだ。

 マスクが原因のニキビは、しばらくマスクをしないことで改善されるので、マスクが原因のニキビができる人は、これから義務的につけなくてもよくなることもあり、不要なマスク着用を控えることが有効かもしれない。

参考文献

Arora A, Mohta A, Mehta RD. Unraveling the hidden epidemic of mask related acne/maskne: An observational study. J Cosmet Dermatol. 2022 Dec 2. doi: 10.1111/jocd.15527. Epub ahead of print. PMID: 36459427.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jocd.15527

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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