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食塩の摂取量がアトピー性皮膚炎の湿疹リスク増加に関連、美容においても一般的な問題、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究から明らかに

カレンダー2024.6.27 フォルダー最新研究
アトピー性皮膚炎は外見に影響するので美容との関連は大きい。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

アトピー性皮膚炎は外見に影響するので美容との関連は大きい。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 湿疹に悩まされている人は少なくないだろう。美容の面でも一般的な問題の一つ。そんな中で、日常的な塩分摂取量が増えるほどアトピー性皮膚炎の湿疹リスクが増加する恐れがあることが新たに分かった。

 米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究グループが、2024年6月に報告している。

湿疹の原因と塩分摂取の関係

食塩は健康との関連が密接。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

食塩は健康との関連が密接。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • アトピー性皮膚炎→体に湿疹ができる皮膚の病気で、肌の乾燥やかゆみを引き起こす。
  • 外見に影響→アトピー性皮膚炎による湿疹は外見に大きな影響を与える。
  • 新たな研究→カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究で、塩分(ナトリウム)が湿疹を発症させる要因であることが報告された。
  • 調査→英国UKバイオバンクのデータを分析し、21万5000人以上の30歳から70歳の食生活と湿疹との関連を研究した。
  • 方法→尿の分析でナトリウム摂取量を特定し、電子カルテでアトピー性皮膚炎の診断や重症度を確認した。

 体に湿疹ができる皮膚の病気であるアトピー性皮膚炎は肌の乾燥やかゆみを引き起こす厄介な病気だ。一般的に成長に伴い症状がなくなる人も多いが、大人でも身近な問題になっている。日本では10人に1人ほどの割合でアトピー性皮膚炎が認められるという複数の調査がある。一方、米国でも3100万人がアトピー性皮膚炎の症状を持ち、その割合は10人に1人とされる。さまざまな要因が症状につながるが、環境や生活習慣、特に食事が関係していることも考えられている。アトピー性皮膚炎による湿疹は外見に大きな影響を与える。美容医療を検討する人の中にも悩まされている人はいるかもしれない。

 今回、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究グループが、塩分(ナトリウム)が湿疹を発症させる要因として報告した。ナトリウムは通常食塩(塩化ナトリウム)として摂取され、食塩の摂取量が高いとさまざまな病気につながることもあり、一般的に減塩を心掛けるよう注意が促されている。そうした中で、食塩摂取が湿疹とも関係することが新たに発見された。

 研究者たちは、世界的に有名な大規模な調査である英国UKバイオバンク(UK Biobank)のデータを分析することで、30歳から70歳の21万5000人以上の食生活と湿疹との関連を研究した。尿の分析から個人のナトリウム摂取量を特定し、電子カルテからアトピー性皮膚炎の診断や重症度も確認した。

研究結果が示す塩分制限の重要性

生活習慣が影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

生活習慣が影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • ナトリウムの影響→摂取するナトリウムが1グラム増えるごとに湿疹が11%、活動性湿疹が16%、湿疹の重症度が11%増加する。
  • 食事の塩分制限→湿疹の悪化を止める手段になる可能性がある。
  • 対策→湿疹に悩まされている人は、食事の改善、特に塩分摂取に注意することが推奨される。

 こうして判明したのは、摂取するナトリウムが1グラム増えるごとに湿疹が11%、炎症やかゆみが続く活動性湿疹が16%、湿疹の重症度が11%増加すること。

 研究では、米国健康栄養調査の1万3000人の成人のデータからも、1日に1グラムの塩分摂取が増えると活動性湿疹のリスクを22%増加することが確認された。食事中の塩分制限が、湿疹の悪化を止める手段になる可能性がある。

 日本では一般的に食事から摂取される塩分量が多いとされている。湿疹に悩まされている人は、食事の改善、とりわけ普段の食事から摂る塩分に気を付けるとよいかもしれない。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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