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「セルフネイル時代」に悲報?ネイル乾燥機が肌にダメージと研究結果

カレンダー2023.4.14 フォルダー最新研究

ポイント

  • ネイルサロンやセルフネイルなどでネイル乾燥機を使う機会が増えている
  • 紫外線を使うネイル乾燥機は、手や指の細胞にダメージを与える可能性
  • UVAが細胞を死なせたり、DNAにダメージを与えたりすることが確認された
ネイル乾燥機は身近に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ネイル乾燥機は身近に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ネイルサロンでジェルマニキュアを固めるために紫外線を発するマニキュア用ドライヤーが使われている。またウェブを検索すると、「ネイル乾燥機」や「ネイルドライヤー」は種類が豊富で、安く手に入り人気だ。コロナ禍には店舗でネイルするのではなく、自分でネイルをしているという人も増えた。それはヒフコNEWSでも「セルフネイル」のトレンドが急速に広がったことを伝えている。しかし、このようなネイルを固めるための紫外線が手や指の細胞にダメージを与えていることが報告された。頻繁にネイルをしている人や自分でネイルすることが多い人は、気にしておくとよいかもしれない。

ネイル乾燥機の肌への影響を調べた

ネイル乾燥機が肌に影響?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ネイル乾燥機が肌に影響?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 夏の季節になると、太陽から降り注ぐ紫外線の害を気にする人が増えるが、紫外線は太陽から降り注ぐばかりではない。まさに、ネイルを固めるネイル乾燥機や日焼けサロンで使われているのも紫外線だからだ。そんな紫外線は肌に影響を及ぼすことがよく知られている。肌にダメージを与える紫外線は主に2種類ある。それはUVAとUVBで、UVAは肌の奥深くまで届き、時間とともにダメージを蓄積し、UVBは細胞のDNAを直接傷つけやすいとされる。どちらの紫外線も太陽光に含まれているが、日焼けサロンやマニキュア用ドライヤーなどではUVAが使われている。

 このたび米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループが、ネイルを固めるために使われるUVAが人間の細胞にダメージを与えることを確認して報告した。これは著名な科学誌のネイチャー・コミュニケーションで2023年1月に報告された。

 研究グループは、ネイルを固めるために使われるUVAが細胞の中にあって遺伝情報を伝えているDNAをどのように変化させるのかを分析した。人を含めた複数の細胞を用意して、さまざまな時間をかけて紫外線にさらしてみた。その上で、照射後、細胞のダメージと細胞の生存率を評価した。

ネイルでの紫外線対策が必要になる可能性?

ネイルの楽しみ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ネイルの楽しみ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 その結果、紫外線を浴びる時間が長く、回数が多いほど、より多くの細胞が死んでいることが分かった。さらに、紫外線はDNAにダメージを与えるが、UVAによって細胞のDNAを変化させる「突然変異」が起きていることも確認された。

 研究グループによると、紫外線によって皮膚がんを起こすのと同じような突然変異を引き起こす可能性があると言う。これらネイル乾燥機を定期的に使用するメリットは、紫外線によって受けるリスクに見合わないかもしれないと警告する。これは肌の老化につながりかねない結果でもある。セルフネイル時代、何らかの対策が必要だろうか。将来的には「ネイルでは手に日焼け止めを塗るのが当たり前」と言われるかもしれない。

参考文献

コロナ・パンデミックが世界の美容を変えた、その背景に韓国美容のトレンド
https://biyouhifuko.com/news/world/147/

In Cells, UV-Emitting Nail Polish Dryers Damage DNA and Cause Mutations
https://today.ucsd.edu/story/uv-emitting-nail-polish-dryers-damage-dna-and-cause-mutations-in-cells

Zhivagui M, Hoda A, Valenzuela N, Yeh YY, Dai J, He Y, Nandi SP, Otlu B, Van Houten B, Alexandrov LB. DNA damage and somatic mutations in mammalian cells after irradiation with a nail polish dryer. Nat Commun. 2023 Jan 17;14(1):276. doi: 10.1038/s41467-023-35876-8. Erratum in: Nat Commun. 2023 Mar 14;14(1):1424. PMID: 36650165; PMCID: PMC9845303.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36650165/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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