目のクマ

意外とお悩みの多い「目の下」。
膨らみや段差も気になるけど、若いうちからも悩みの声を多数聞くのが「目の下の凹み」。
目の下が凹んでいると、凹んだ部分が影になって目元が暗くなるため、疲れて見えたり老けて見えたりと、顔全体の印象を大きく左右することも。
今回は、そんな「目の下の凹み」を改善する方法を、双子のドクターとしてご活躍中の八丁堀皮膚科・形成外科のマナカナ先生こと形成外科医:望月香奈先生と皮膚科医:平山真奈先生に伺いました。

目のクマ,くぼみ

目の下が凹むのはなぜ?

目の下の凹みは、その部分が影になって暗く見えることから「黒クマ」と呼ばれることもあります。 年齢を重ねると気になってくる症状ですが、なぜ凹んでしまうのでしょうか?

目の下が凹む・くぼむ原因

ヒフコ
ヒフコ

目の下の凹みについて詳しく教えてください!

まず目の下が凹む原因はなんですか?

カナ先生
カナ先生

凹みの原因は、主に3つあります。 まず1つめは、「加齢による眼輪筋の衰え」です。 目の周りをドーナツ状に囲っているのが眼輪筋(がんりんきん)というもの。

加齢によってこの眼輪筋が衰え、薄くなることが目の下の凹みの一因です。

ヒフコ
ヒフコ

加齢って皮膚だけじゃなく筋肉も衰えちゃうんですね。

カナ先生
カナ先生

2つめは目周りの脂肪やコラーゲンが減少することです。

顔面骨の目の部分は、「眼窩(がんか)」と呼ばれる穴になっています。ここに入っている眼球を包んで支えているのが「眼窩(がんか)脂肪」です。眼窩脂肪が加齢に伴って減少すると、中綿のへたったクッションのように眼球周りのボリュームがなくなります。

また、脂肪だけでなくコラーゲンも加齢によって減少するため、目周りにハリがなくなってしぼんだようになるのです。

ヒフコ
ヒフコ

加齢でいろんな箇所に影響が出るんですね。

カナ先生
カナ先生

3つめは過去の脱脂術での「脂肪の取りすぎ」によるものです。意外かもしれませんが、結構多くいらっしゃいます。

眼窩脂肪が突出して目の下が膨らんでいる場合、余分な脂肪を除去する「脱脂術」という手術を行うことがあります。 この手術で脂肪を取りすぎてしまうと、数年経ってから目の下に凹みが生じることがあるのです。

脱脂術を行う際は、年齢を重ねていくことも考え、取りすぎないようにすることが重要になります。

若くても目の下がくぼみやすいタイプの人も

ヒフコ
ヒフコ

加齢以外でも目の下のくぼみに悩んでいる方って結構多いと思うのです。

特に、SNSでも若い人が悩んでいるのを目にしたりしますが、若いうちのくぼみの原因はなんでしょうか?

カナ先生
カナ先生

若くても次のような特徴をお持ちの方たちは、目の下がくぼみやすい傾向があるようです。

  • 彫りの深い顔立ち、アイホールが大きい

→目周りの衰えによって眼球が奥に下がりやすい。

  • もともと痩せ型 ・皮膚が薄い・透けるような肌質の人

→目周りの脂肪の減少がわかりやすいため、凹みも目立ちがち。

また、脱水気味になる朝に凹みが強くなるという人も、凹み治療で改善しやすいでしょう。

凹み・くぼみ治療のカウンセリングを受ける際のポイント

ヒフコ
ヒフコ

凹み・くぼみの治療法は多岐にわたると思うのですが、カウンセリングを受ける際に気をつけるべきポイントなどありましたら教えて下さい。

カナ先生
カナ先生

目の下の凹みでお悩みの中でも、実際には「膨らみがあるせいで凹んで見えているだけ」ということも。この場合は、凹みに対する治療ではなく、膨らみを解消する治療が必要になります。

カウンセリングでは、本当に必要な治療は何かを的確に診断してもらうことが大切です。 そのためには、以下のポイントに注意してカウンセリングを受けることをおすすめします。

カウンセリング時の注意点

医師に様々な術式に対する知識・経験が豊富であること

目の下は非常にデリケートな部位なので、技術力によっては仕上がりに大きな差が出て、納得のいかない状態になってしまうことも。

クリニックを決める際は、医師の経歴をしっかり確認するとよいでしょう。

マシン、注入、手術など施術の選択肢が多いこと

どんな症状であっても、医師が得意な施術しか提案してくれなかったり、そもそもクリニックのメニューに選択肢が少ないといった例もあります。

自分にあった施術を選びたいならば、治療メニューが豊富なクリニックがおすすめです。

医師ではなくカウンセラーが施術を決めるクリニックを避けること

目の下の凹みには、医師による症状の診断がとても重要になります。 このため、医師ではなくカウンセラーが治療メニューを決めるような場合は注意が必要です。

きちんと医師が診察からメニュー選定まで行っているクリニックを選び直した方が、満足度の高い凹み改善に繋がるでしょう。

目の下の凹み・くぼみ改善におすすめの治療法

ヒフコ
ヒフコ

それでは、ここからは凹み・くぼみ治療についておしえてください。

マナ先生
マナ先生

凹みの度合いによって、必要となる治療法は変わります。

重症度によってハイフ、PRP、ヒアルロン酸注入や脂肪注入と段階を踏んでいくことになります。まずは軽度の凹み治療について説明します。

目の下,くぼみ,治療法まとめ

軽度の凹みにはハイフがオススメ

目の下,HIFU,メリット,デメリット

マナ先生
マナ先生

軽く目立ち始めてきた軽度の凹みには、皮下1.5~2.0㎜の浅い層をターゲットにして超音波を照射するHIFU(ハイフ)がおすすめです。

超音波の熱によってコラーゲンが収縮することで、たわんだ布をピンと張り直したようなハリが出ると期待できます。

凹み予防として若いうちから定期的に受けることもおすすめですよ。

ハイフのメリット・デメリット

ヒフコ
ヒフコ

目の下の凹みにもハイフが有効なんですね!

ハイフで治療する場合のメリットやデメリットを伺いたいです。

マナ先生
マナ先生

ハイフで考えられるメリットは以下の3点ですね。

  • 熱で皮膚を引き締めることができる
  • 目周りのたるみが目立つ時期を遅くできる
  • 切りたくない人に最適
ヒフコ
ヒフコ

目周りのたるみが遅くなるなら早目にやっておいたほうがいいですよね。逆にデメリットもあるのでしょうか?

マナ先生
マナ先生

ハイフのデメリットで考えられるのは

  • 繰り返し施術が必要
  • 重度の凹みに対する効果は十分ではない
  • しこりになるリスクがある

といった点でしょうか。

ハイフ機種別 効果の持続期間の違い

HIFU,機種別持続期間,早見表

ヒフコ
ヒフコ

ひとことでハイフといっても色々な機種があると思いますが、機種によって効果の持続期間は変わるのでしょうか?

マナ先生
マナ先生

ハイフは皮膚に入る熱の量とドット(※ハイフの焦点・熱エネルギーが加わる焦点のこと)の安定性によって、それぞれ効果の持続期間が変わってきます。

ハイフ機器別・持続期間の目安は以下の通りです。

ハイフの機器別・効果の持続期間の目安について

  • ウルセラ→約1年程度(ハイフ機器の中で圧倒的に熱量・ドットの安定性が高い)
  • ユーティムス→約半年〜1年程度(ウルセラと同等の熱量・ドットの安定性といわれる)
  • ウルトラセル→約3ヶ月
  • ウルトラフォーマー→約1ヶ月半〜2ヶ月

中程度の凹みにはPRPやPFC療法

ヒフコ
ヒフコ

それでは、凹みがもっと目立ってきたと感じたときの治療法は何がありますか?

マナカナ先生
マナカナ先生

凹みとともに目元の小ジワが目立つようになってきたら、PRPやPFCを目元に注入すると、改善効果を得やすいですね。

PRPは、自身の血液から血小板や成長因子を抽出・濃縮して作成します。PFCはPRPを活性化させて成長因子を更に凝縮させたものです。

成長因子にはコラーゲンを増やす作用があるとされており、目元を内側からふっくらさせる効果が期待できます。

PRPやPFCの注入には、ダーマペンやメソガンなどの方法もありますが、目元は皮膚も薄く細かな調整が必要なため、当院では手打ちで注入を行っています。

PRP・PFC療法のメリット・デメリット

ヒフコ
ヒフコ

では、PRPやPFC療法のメリットやデメリットを教えて下さい。

マナカナ先生
マナカナ先生

PRPやPFCの一番のメリットは「自分の細胞を使用する」という点ですね。

目周りのシワにはスネコス等も有効だといわれていますが、自分から抽出した成分を注入するほうが安全ですし、将来的にも何かが起こるといった心配もなく安心して使えるという点が優れていると思います。

他に考えられるメリットとしては、

  • 目元の小じわに対して唯一効果のある手法とされている
  • 肌質改善効果も期待できる
  • コラーゲンが元気になる

といった点があげられます。

特に目元の小じわは、ヒアルロン酸製剤だと粒子が粗すぎて仕上がりが綺麗にならないため、PRPやPFCが唯一の手法だと考えていますよ。

ヒフコ
ヒフコ

逆にデメリットがあれば教えて下さい。

マナカナ先生
マナカナ先生

デメリットはやはり繰り返しが必要といった点でしょうか。

また凹みが大きい場合にはPRPやPFC単体では難しいといったこともあります。

自分のコラーゲンなどを増やす作用はありますが、ボリュームをアップしたり膨らませたりするほどではないので、凹みの度合いによっては併用が必要になりますね

PRP・PFC療法の効果の持続期間とは?

ヒフコ
ヒフコ

繰り返しが必要とのことですが、効果の持続期間や治療の頻度について聞かせてください。

マナカナ先生
マナカナ先生

PRPやPFCは注入後、大体2週間程度で状態が安定します。効果のピークは1~2ヶ月後くらいですね。

治療頻度に関しては、PRP自体は注入による針痕や内出血、腫れといったトラブルさえなければ毎週注入してもいい位安全なものです。

ただし、安い治療ではないので、当院では 1ヶ月に1回程度の頻度で受ける人が多いですね。2ヶ月に1回の間隔で受ける人もいます。

重度の凹みにはヒアルロン酸注入

ヒフコ
ヒフコ

凹み具合が重度の場合はいかがでしょうか?

カナ先生
カナ先生

凹みが大きかったり、ティアトラフという目の下にある靭帯の線が目立つようだと、ヒアルロン酸や脂肪注入で凹みを埋める治療が必要になります。

重度の凹みにオススメのヒアルロン酸注入とは?

カナ先生
カナ先生

当院では目元の凹み部分への注入に、アラガン社・ジュビダームビスタシリーズの「ボルベラ」を使用しています。

ボルベラは柔らかく、肌なじみの良さが特徴的な製剤で、効果の持続期間は12~18ヶ月程度といわれています。

厚生労働省の承認も受けているので、安全に治療ができるという点でも、製剤はボルベラがいいと思います。

ヒフコ
ヒフコ

目の下にはベビーコラーゲンなどもよいといわれていますが、ヒアルロン酸のほうがよいのでしょうか?

カナ先生
カナ先生

ベビーコラーゲンはあくまでも他人のコラーゲンです。

アレルギー反応などがないとは言い切れないため、当院では使用していません。

ヒフコ
ヒフコ

そうなんですね。

目の下は皮膚が薄いのでヒアルロン酸を注入すると、青く透けて見える「チンダル現象」が起こると聞きますが、その点はいかがでしょうか?

カナ先生
カナ先生

当院では筋肉より深い、骨膜の上に注入することでチンダル現象が起きないようにしています。

小ジワも気になる場合には、PRP注入と併用すると、更なる効果が期待できますよ。

ヒアルロン酸注入で失敗しないためのポイントとは?

ヒフコ
ヒフコ

ヒアルロン酸注入で失敗しないポイントなどはありますか?

マナカナ先生
マナカナ先生

目の下の凹みが目立つからといって、目の下ばかりに気を取られないことが大事です。

例えばティアトラフが目立つ場合、目の下の凹みよりも頬の位置が下がっていることが原因だったりします。

このような場合には、頬やこめかみにボリュームを足すことで、テントを張るように目周りもピンとして、ティアトラフが目立ちにくくなることがあるのです。

ヒフコ
ヒフコ

頬に注入することで目のシワが改善されるなんて驚きです!

マナカナ先生
マナカナ先生

また、本人は目の下の凹みが気になっていても、顔全体の印象を考えたときには、目の下の凹みよりも、こめかみの凹み、額の削げによって老けた印象が生まれて、年齢を感じさせていることもあります。

このような場合には、目の下への注入よりも額全体にヒアルロン酸を注入することで、疲れた印象を解消できることもありますね。

そもそも、加齢で全体的な位置が下がることが老け見えの原因になりがちなので、

  • 顔のボリュームの位置を若い頃に近づけること
  • ティアトラフへの注入を併用すること

上記2点が、顔全体を若々しい印象にすることが失敗しないポイントだといえます。

重度の凹みへの最終手段は脂肪注入

ヒフコ
ヒフコ

ヒアルロン酸以外にも、脂肪注入も目の下の凹みに有効だといいますよね。

カナ先生
カナ先生

凹み治療法のなかでも、特に効果が期待できるのが脂肪注入です。

不純物が少なく、細かい脂肪細胞が多いとされている太ももの内側から、脂肪を10㏄程採取した後、遠心分離で不純物を取り除き、良質な脂肪細胞のみの状態にします。

この脂肪細胞を、眼輪筋の上に薄く注入することで凹みを改善できるのです。

注入した脂肪が定着すれば、一回の治療で満足のいく効果が得られるのですが、脂肪の定着率には個人差があるため、複数回必要になるかどうかは様子を見ながら決めることが多いです。

ヒフコ
ヒフコ

定着率の差はどのような点にあるのでしょうか

カナ先生
カナ先生

個人的な見解ですが、眼輪筋の血流量が定着率に大きく関わってきているように思います。

定着しないかもしれないからといって、多めに注入することはおすすめできません。

当院では、適量と考えられる片側2ccを注入し、定着の具合を確認した上で、足りない場合に追加するようにしています。 注入した脂肪が、後から膨らんでくることはありません。

脂肪が定着してしまえば、凹み改善効果は半永久的ですが、将来的に痩せてしまうと、また凹んでくることもあります。

ヒフコ
ヒフコ

なるほど。ヒアルロン酸注入を繰り返すのが面倒な人は脂肪注入という手もあるんですね。

マナカナ先生のおかげで凹みについて詳しくなることが出来ました。ありがとうございました。

マナカナ先生
マナカナ先生

ありがとうございました。

まとめ

今回は、目の下の凹みを改善する治療法をマナカナ先生に解説いただきました。 症状や希望によっても治療法はさまざまです。 目元のお悩みがある人は、まずクリニックで相談してみることをおすすめします。

今回お話を伺った先生

望月香奈先生 

望月香奈先生

カナ先生のプロフィール

東京八丁堀皮膚科・形成外科

医師・医学博士

​​日本形成外科学会認定専門医

日本美容外科学会認定専門医(JSAPS/JSAS)

東京大学形成外科医局にて形成外科専門医を取得

美容外科専門医(JSAPS&JSAS)

トリプル専門医 医学博士

クリニックに勤務の傍ら、女性ならではの細やかな技術力とセンスで、医学的知見に基づいた美容医療を伝えるドクターとして活動中。

経歴

2009年東京女子医科大学医学部

2011年東京大学病院 形成外科・美容外科

            帝京大学病院 形成外科・顎顔面外科

2013年関東中央病院

2014年都立墨東病院

2015〜2020年大手美容外科にて本院副院長を務める

2020年 東京八丁堀皮膚科・形成外科勤務

資格

日本形成外科学会専門医

日本美容外科学会専門医

東京大学形成外科・美容外科専門研修プログラム修了

原発性腋窩多汗症認定医

※医学博士

所属

日本形成外科学会正会員・専門医

日本皮膚科学会正会員

日本美容外科学会正会員・専門医(JSAPS)

日本美容外科学会正会員・専門医(JSAS)

日本創傷外科学会会員

日本マイクロサージャリー学会会員

米国形成外科学会会員(ASAPS)

国際美容外科学会会員(ISAPS)

ボトックスビスタVST 認定医

ジュビダームビスタ 認定医

サーマクール認定医

インプラント乳房再建実施医師

 

平山真奈先生

マナ先生,平山真奈

マナ先生のプロフィール

東京八丁堀皮膚科・形成外科

医師

日本皮膚科学会認定専門医 JDA

​​東京女子医科大学医学部卒業。皮膚科専門医。ニキビ・アトピーなどの保険診療から小児皮膚科・レーザー治療を含めた美容皮膚科ケア全般を網羅。

スキンケア・美容医療を伝えるママさんドクター。

経歴

2009年​​東京女子医科大学医学部 卒業

東京女子医科大学病院 皮膚科学教室 入局

東京薬科大学 客員研究員 兼務

JR東京総合病院 皮膚科 出向

東京女子医科大学病院 助教

アトピー専門外来にて生物学的製剤を含めた全身治療、乾癬外来、 外来手術専門外来に携わる

2019年より東京八丁堀皮膚科・形成外科勤務

資格

日本皮膚科学会認定専門医

保険医、東京都難病指定医

グラクソ・スミスクライン 腋窩多汗症認定医

所属

日本皮膚科学会 正会員

日本乾癬学会 正会員

東京都難病指定医

ボトックスビスタ 施術認定医師

ボトックス施術認定医師

ジュビダーム ビスタ施術認定医師

ジュビダーム ビスタ ボリューマXC施術認定医師

原発性腋窩多汗症認定医

※マッサージや化粧品などの情報が記載されている場合は監修範囲に含まれません。

※執筆・掲載日時点の情報を参考に医師監修しております。

※当サイト記事内の情報は一般的な知識であり、自己判断を促すものではありません。あらかじめ、ご容赦ください。

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