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光治療は、2000年ごろから始まった美肌治療です。
それまでシミを取るにはレーザー治療しか手法がなかった中、「ダウンタイムがほとんどなく、シミ治療ができる」という画期的な治療法が出現したことで光治療は爆発的に広がりました。
痛みが少ないことから美容医療デビューにもぴったりと言われ、今や美肌治療の定番となっています。
それでは、光治療では肌にどんな効果が期待できるのでしょうか?デメリットはないのでしょうか?
(光治療は「フォトフェイシャル」というメニューで表記されることも多いですが、本来「フォトフェイシャル」は、医療機器メーカー「ルミナス社」のIPL治療機「ナチュライト」「M22」での治療のみに使用できる治療名です。
この記事では、治療機の区別なく「光による美肌治療」であることを明確にするために、「光治療」として表記いたします。)
光治療とは?
光治療の仕組み
光治療に使うのは、IPL(インテンスパルスライト)という光です。これは、メラニンに吸収されやすい光や、ヘモグロビンに吸収されやすい光、真皮まで届いて細胞を刺激する光など、それぞれ特性の異なる波長の光をまとめて束にしたようなイメージです。
肌の色ムラの原因となる、メラニンやヘモグロビンといった色素に光が当たると、エネルギーが熱に変わり、
- シミの原因となるメラニンが破壊されることでシミやソバカスを改善
- 毛細血管が収縮して赤みを改善
といった効果が期待できます。
また、IPLの光は肌細胞を活性化させる作用があるとも言われています。そのため、
- ターンオーバーを促す
- コラーゲンの生成を活性化
といった効果も期待できます。
IPLはカメラのフラッシュに似たような光で、肌に浅く広く作用しますが、ターゲとっとする色素に反応して、正常な肌へのダメージはほとんどないとされているため、ダウンタイムが殆どないと言われています。そのため光治療は施術直後から、メイクをすることも可能ですし、レーザー治療のように照射部をテープ等で保護することも必要ないとされています。
「痛みが少なくダウンタイムがほとんどない上に、総合的な美肌へと導いてくれる」のが、光治療の魅力です。
光治療で得られる効果
光治療では、下記のような効果が得られるとされています。
作用 |
期待できる効果 |
メラニン色素の破壊 |
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毛細血管の収縮 |
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真皮の繊維芽細胞を刺激 |
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ターンオーバーの改善 |
くすみを改善、透明感のある肌に導く |
熱作用による殺菌 |
ニキビの炎症を鎮める |
レーザーによるシミ治療では、シミなどのメラニンが沈着した部分だけを局所的に照射するためシミの改善以外の効果を得ることはできませんでした。
一方、光治療の場合は、顔全体に照射して、あらゆる肌トラブルの治療を同時に進めることができます。シミの改善のために始めた治療なのに、肌全体の美白やトーンアップ、小ジワの改善といううれしいオマケが付いてくる、というのが光治療の醍醐味と言えます。
クリニックでは1ヵ月おき4~6回の治療をワンクールとしているところが多く、ワンクールの治療終了後は、メンテナンスとして3ヵ月~半年ごとの治療を勧められることが多いようです
光治療のメリット
以前は、シミを治療できるのはレーザーだけでした。シミを取りたいなら痛みや長いダウンタイムに耐えるのは当たり前、という中で、ダウンタイムのないシミ治療として登場した光治療はとても画期的で、多くの皮膚科・美容クリニックで取り扱われるようになったのです。
また、レーザーでシミを治療すると、約半数の割合で炎症後色素沈着(PIH)、いわゆる「戻りシミ」が発生すると言われています。レーザーの強力なエネルギーによってシミの周囲に炎症が起きることで、一過性の色素沈着ができる現象です。戻りシミは適切なケアをすれば6ヵ月ほどで自然に消えていくものですが、できれば出てきてほしくないものです。
光治療は穏やかな治療なので、炎症が起きることはほとんどなく、取り切れないシミはあっても戻りシミのリスクは非常に低いと言えます。
この他にも、
- くすみ、赤み、表在性色素疾患など、肌の色ムラに対応しつつ、キメやハリ・ツヤといった質感も改善して、相乗的な美肌トータルケアが期待できる
- 継続することで、美肌を維持できると実感する人が多い
- 施術時の痛みが少ない
- 徐々にキレイになるため周囲に治療を受けたことがバレにくい
- ダウンタイムがほとんどない
といったことが、光治療のメリットです。
光治療のデメリット
とは言え、光治療も決して万能というわけではありません。
シミを消すのではなく薄くする治療
IPLはレーザーとは違って「シミを除去」するというよりは「薄く目立たなくする」ことが治療のゴールだとされています。完全にシミを消したい場合は、レーザー治療との併用が必要となります。
濃くて大きいシミ、薄いシミには反応しづらい
レーザー治療と比較すると、痛みやダウンタイムが少ない反面、効果も緩やかとなっています。メラニンが多い、濃くて大きいシミにはパワー不足となり、取りきるのが難しいとされています。
逆に薄いシミは、メラニンが少なすぎて反応しづらく、取りづらいとされています。
ADMには反応しない
光治療は肌の浅い層に作用するので、メラニンが真皮層に入り込んで発生するADM(後天性真皮メラノサイトーシス)には反応しません。
肝斑に対しては悪化のリスク
肝斑は、ちょっとした刺激で悪化して濃くなることが知られています。レーザーと比較すると穏やかな光治療ですが、それでも肝斑にとっては刺激が強すぎると言われています。
- やけどして、水ぶくれやかさぶたになることもある
- 照射の仕方によっては色素沈着や脱失になることも
IPLの照射には、肌の状態に合わせて、波長や照射時間、出力、照射サイズといった細かい設定が必要な機種もあります。
出力が強すぎてヤケドをしてしまうことや、設定が適切でなく色素沈着や色素脱失(皮膚の色が白く抜ける)といった症状が現れることがあります。このような時は、施術を受けたクリニックに至急相談しましょう。
- 3~4週間の間隔で5~6回の施術が必要と言われる
- 複数回受けることで効果が上がるので、続けることで費用が高額になる
光治療は1回の施術でも、肌が明るくなった、ハリが出た、という効果を実感できる方が多いと言われています。しかし、メラニンに対する反応は穏やかなので、シミの治療には定期的に複数回の施術が必要です。
キメやハリ・ツヤ、透明感といった整肌効果も、施術を重ねるごとに上がり、その効果を維持するために、ずっと受け続けたい、という方も少なくないようです。
施術料金は、クリニックによって1回10,000~50,000円程度と開きがあるようですが、いずれにしても複数回受けることで高額になるのは間違いありません。
光過敏症の人は受けられない
かゆみ、赤み、発疹などが起こることがあります。
シミで光治療を受ける前に知っておきたいこと
シミやそばかすといった表在性メラニン色素による症状で光治療を受ける場合、上の項目でも紹介しましたが、光に反応しないものや薄くなるだけで残ってしまうものがあることが知られています。こういった場合には、メラニン色素を衝撃波で微粉砕するピコレーザーを併用すると、治療効果が高いようです。ただ、光治療で薄くなって取り切れなかったシミに対しては、ピコレーザーの反応が悪くなるため、取りたいしみがある場合は光治療を始める前にピコレーザー治療を行う方が良いとされています。
また、光治療を継続すると、肌の地色が白くなります。地色と元々あったシミとのコントラストが強くなることで、却ってシミが目立って見えて、気になってしまう、という場合もあるようです。逆に、まわりのメラニンが少なくなった分、光がシミのメラニンだけに吸収されやすくなって、治療効果が向上するということもあるようです。
尚、ワンクールの治療が終わった後に取れなかったシミは、そのまま同じ治療を続けても取れる可能性は低いとされています。シミを消すことを目的とするのであれば治療法を変えたい旨をクリニックに伝えたほうが良いでしょう。
また、光治療のやりすぎは「ビニール肌」につながるとも言われています。1クールの治療が終わった後は、3〜6ヶ月に1回の治療で十分ですので、必要以上に回数を重ねることは避けたほうが良いでしょう。
光治療で一旦消えたと思ったシミが、数ヵ月後同じ場所に再発したという例も報告されています。表皮の奥、基底層と言われる層にはメラノサイトという細胞があり、紫外線や摩擦といった刺激を受けて活性化し、メラニンを生成しています。「シミが取れたから安心」と思ってその後にケアを怠ってしまうと、メラノサイトが刺激を受けてメラニンが増え、シミ再発の原因となります。
シミ治療は、メラニンや紫外線との戦いです。シミが取れた、キレイになったと思っても、日焼け予防、摩擦からの保護は、アフターケアの基本中の基本です。
まとめ
シミやそばかす、赤み、くすみといった肌の色ムラを改善しながら、キメやハリ・ツヤといった質感も高めて、肌のトータルケア、エイジングケアが期待できる光治療。
メリットだけでなくデメリットもありますが、定期的に治療を受けることで、年令を重ねても美肌をキープするという効果が期待できそうです。