シミだけでなく、くすみやそばかすといった肌悩みの改善も期待できるフォトフェイシャルは、人気が高い美容治療方法の一つです。この記事では、フェイシャルの効果だけでなく、照射前後に注意していただきたい点についてもご紹介します。
フォトフェイシャルとは
フォトフェイシャル(以下、光治療)とは、今や美肌治療の定番とも言える光エネルギーを用いた治療ことです。
光治療はIPL治療とも呼ばれていて、IPL(Intense Pulsed Light)と呼ばれる特殊な光を照射することで、肌のキメを整えたり、シミやシワ、赤ら顔の改善などに効果が期待できるといわれています。
あまり知られていませんが、「フォトフェイシャル」という治療名は日本ルミナス社の登録商標のため、正式には同社のマシンである「フォトフェイシャルM22」や「ナチュライト」を使用する施術のみを「フォトフェイシャル」と呼ぶことができるのです。
光治療で用いられるIPLはマイルドなパワーでの照射でも効果が期待できるため、肌への負担を最小限に抑えながら治療ができるという点で人気を集めています。
2021.07.13
施術を受ける前に知っておくべきこと
カウンセリング後、施術を受けられない場合がある
シミだと思っていたものが、肝斑と診断された場合
シミの一種である肝斑にフォトフェイシャルを照射すると、悪化する恐れがあるため注意が必要です。肝斑は女性ホルモンの影響によって発生するシミの一種で、メラニン色素が原因でできるシミとは仕組みや治療方法が異なります。
美容クリニックで他の施術をして1週間以上経っていない場合
他の施術と併用することで、光治療の効果を妨げたり、肌トラブルの元となる可能性があります。特にボトックス、ヒアルロン酸注入後であれば2週間程度、サーマクールやシミやホクロに対するレーザー治療のあとは4週間以上間隔を空ける必要があることが多いです。美容施術を受けている方は、照射前、カウンセリング時にドクターへ相談することで安心して施術を受けやすくなります。
施術後、約1週間は大事な予定を入れない
光治療後は、ダウンタイムがほぼないといわれています。しかし場合によっては、施術後、一時的にシミが濃くなったりかさぶたができることもあります。通常1~2週間で剥がれ落ちたり、薄くなっることがほとんどなので、結婚式の前撮りのように、大事な写真を撮影するような予定や、長時間直射日光を浴び、日焼けの可能性がある場合(BBQやプール等)は予定を調整することが必要です。
より効果を高めるためのポイント
施術を受ける間隔に気をつける
お肌のターンオーバーサイクルに合わせておよそ3〜4週間に1度、5回以上の照射を目安に継続して行うことが推奨されています。
クリニックとエステサロンのフォトフェイシャルには大きな差がある
美容クリニックで扱っているフォトフェイシャル機器は、フォトフェイシャル協会が認定しているものなので、高い効果を期待できるだけでなく、万が一肌トラブルが生じた際に適切な処置を受けることができるので安心です。エステサロンでもフォトフェイシャルと記載されているものがありますが、クリニックとエステサロンでは、使用する機械の出力が大きく異なります。エステサロンでの光治療は出力が低い場合が多く、何かトラブルがあっても医療行為が出来ないので治療してもらないことが多々あります。エステサロンよりも美容クリニックの方が、効果を短期間で感じることが出来る可能性が高いです。
光治療を受ける時期
日焼けをしていると光治療が不可となることが多いです。黒い色に反応する波長の光を照射する施術のため、施術前に日焼けしている(肌色が黒くなっている)とフォトフェイシャルの光が過剰に反応して、火傷や色素沈着(しみ)の原因になることがあります。紫外線対策をしっかりしていれば夏に光治療をしても大丈夫ですが、日焼け・紫外線の強さを避けるために、日焼けが落ち着いた時期秋〜春先にかけての照射がよいとされています。
アフターケアについて
フォトフェイシャル後のケアについて
光治療後1ヶ月間は、日焼けしないよう入念な紫外線対策が必要になります。日焼けをする事により、逆にシミが濃くなったり目立つようになることがあります。外出する前には日焼け止めを塗り、帽子や日傘、サングラスなどで肌が直射日光に当たらないようにすると良いでしょう。
また、肌が乾燥しやすくなるので、化粧水で十分に保湿した後は、水分の蒸発を防ぐために乳液やクリームを塗ることが大切です。
美白効果を高めるための内服薬
シミ治療中に、皮膚科で推奨されることの多い内服薬をご紹介します。
シナール(ビタミンC、パントテン酸カルシウム配合剤)
メラニン色素の生成を抑えながら、すでに肌内部にあるメラニン色素の還元を促します。市販のビタミンCサプリメントとの大きな違いは、「パントテン酸カルシウム」が配合されているため、ビタミンCの効果や吸収率が優れており、効果を発揮しやすいという点です。
ハイチオール錠(L-システイン)
シナールなどのビタミンCと一緒に摂取することで、メラニン色素の生成を抑え、皮膚の新陳代謝を促進しながら肌内部にできた黒色メラニンを無色化するとされています。
トラネキサム酸
プラスミン」という血液溶解物質の働きを抑え、止血作用や炎症・アレルギーを緩和させる効果が期待できます。さらに、シミの元である「メラニン」を生成する「メラノサイト」の活性化を抑える働きによって、シミそのものをできにくくする効果もあるといわれているのです。
ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル錠)
高い抗酸化力をもち、ビタミンCと同時に摂取することでより高い抗酸化作用が期待できます。体内でチロシンというアミノ酸の一種が酸化するとメラニンが合成されるが、ビタミンEがこの成分の合成を防ぐといわれているのです。また、血流促進効果あるため、目元のくまなどにも効果を発揮することもあります。
医師の診断の下、用法・用量を守って正しく服用する
内服薬は規定量よりも多く内服したからといって効果が高まるわけではありません。かえって体の負担になることもあるのです。医師に肌状態を診断してもらい、自分の肌状態にあったものの内服を続けることが大切です。
光治療のリスクや副作用
光治療のリスクはゼロではない
光治療のリスクや副作用は非常に少ないですが、ゼロではありません。可能性としてどういう事が起こりうるのかを理解しておくことが必要です。ここでは光治療に関する4つのリスクについてご説明します。
まれにヤケドすることがある
施術の際、ごくまれではありますが照射の反応が強く出た際には、軽いヤケドのような症状が出ることがあります。一度ヤケドを起こすと、色素沈着が生じてしまう可能性もあります。
肝斑が悪化する可能性がある
肝斑は通常のシミとは異なり、少しの刺激でメラノサイトが活性化しやすい状態になっています。そのため誤った出力で光を当ててしまうと、肝斑を悪化させてしまう可能性があります。
シミがかさぶたになることがある
光治療後は、照射した箇所が小さなカサブタのようになることがあります。このカサブタは一時的な症状ですが、改善されるまでには1~2週間ほどがかかります。そのため顔全体へ施術を行った場合、施術後はカサブタの症状が気になり、マスクなどの着用が必要になるケースもあるようです。
シミの一時的な悪化
光治療の照射によって、沈着していたメラニンが分解されて浮き出てくることで、一時的にシミが濃くなることがあります。施術後1〜2週間ほどで肌のターンオーバーにより粉砕されたメラニンが排出され、徐々に目立ちにくくなって行くことがほとんどです。万が一濃く見えたまま改善しないようであれば、施術を受けたクリニックへ相談すると良いでしょう。
効果がなかったと感じることがある
気になるシミが消えなかった
光治療は弱い出力で照射するため、5回以上行うことを推奨しているクリニックが多く1回の照射だけでシミを消せるものではありません。また、パワー設定を徐々に上げていくケースがほとんどで、火傷等のリスクを避けるため、初回から高いパワー設定をするところは少ないでしょう。照射を繰り返すことによって徐々に肌変化を感じるので、照射前の顔写真を撮っておき、見比べるのも良いでしょう。また、照射間隔を開けすぎてしまうと、その間に浴びた紫外線などが原因でメラニンが増えていき、治療の効果を感じにくくなります。
シミの種類によっては、レーザートーニングが適応になることもある。
光治療後、1週間程経過してもシミが消えない場合は、「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」という可能性があります。他の複数のシミと混在していることが多いため判別は難しく、ADMを他のシミと見分けるには、色味の違いがポイントになります。ADMは、原因となるメラノサイトが皮膚の深い層に存在するため、深層までエネルギーが届くレーザー治療の方が効果を実感しやすいでしょう。
シミが濃くなった感じがする
光治療後は、部分的にシミが濃く見えるようになったと感じやすいです。個人差はありますが、少し顔が赤くなったりヒリヒリと感じることもあります。ダウンタイムがほとんどないとされていますが、シミの箇所がかさぶたになることがあります。これらは光治療を受けた後の正常な反応です。施術後、大体1週間くらいで消えていきますが、1週間経過した後、気になる症状がある場合はクリニックへ相談し、指示を仰ぐと良いでしょう。
フォトフェイシャルが受けられない人・注意が必要な人
次の項目に該当する方はフォトフェイシャルを受ける事が出来ないとされているため、注意が必要です。
- 日光過敏症の方
- 妊娠・授乳中の方
- 自己免疫疾患がある方
- アートメイクやタトゥーが入っている方
- ペースメーカーやステントが入っている方
- 日焼けしている方
- 糸が入っている人や異物(ヒアルロン酸、ボトックス注入後、2週間はフォトNG)が入っている場合は、医師と相談して決める必要がある
まとめ
光治療はダウンタイムが少なく、様々な肌悩みに効果が期待できるといわれています。シミの治療法には、レーザーを使用することも多いですが、ピンポイントでシミひとつを改善するよりも、全体をまんべんなくきれいにした方は印象が良くなることもあるでしょう。シミ、小ジワ、赤みなどをトータルで改善するフォトフェイシャルは美肌治療として有効的だと考えられます。