黄ニキビは軽度のニキビから症状が悪化し、炎症した毛穴が膿を持っているニキビの最終段階です。ここまで悪化すると市販薬やセルフケアだけでの治療は難しく、さらに初期段階の白・黒ニキビ、黄ニキビになる前の赤ニキビが混在していることがほとんど。ニキビの状態にあわせたセルフケアはますます難しくなります。
黄ニキビが発生したら、少しでも早く皮膚科で診察してもらうのが治療への第一歩です。ここでは、皮膚科や美容クリニックでできる黄ニキビの具体的な治療方法について紹介します。
▼「黄ニキビ」の原因について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
2021.11.22
保険診療
最初に、一般的な皮膚科でも利用できる保険診療による黄ニキビの治し方です。保険が適用されるため、比較的安価で治療できる特徴があります。
内服薬（抗生剤）
1日1～3回程度、飲んでニキビを治す薬です。黄ニキビは毛穴で炎症が起こって膿を持っている状態で、炎症が強い場合は抗生物質（抗生剤）が処方されます。
内服薬による黄ニキビの治療方法
炎症が起こる原因であるアクネ菌などの働きを抑え、炎症を鎮めながらニキビを治療する方法です。ニキビ治療に処方される抗生物質の内服薬には、ミノマイシン、ビブラマイシン、ロキシスロマイシン、レボフロキサシンなどがあります。ほかにも、ニキビや肌の状態にあわせてビタミンA・B2・B6・Cなどのビタミン剤、漢方薬などが同時に処方されることもあるでしょう。
抗生物質は服薬を続けると体に耐性がついてしまうため、決められた期間・回数を守ってしっかり飲みきることが治療のポイントとなります。
内服薬の治療期間と費用の目安
・治療期間：2～4週間程度
・費用の目安：1000～4000円（診察料、処方せん料、処置料など）＋1000～3000円（薬代）程度
外用薬
黄ニキビができている肌やその周辺に、クリームやローションなどを直接塗って治療します。内服薬と併用することも多い方法です。
外用薬による黄ニキビの治療方法
1日1回～3回程度、洗顔後や就寝前などに黄ニキビができているところや顔全体に薬を塗ります。
処方される外用薬はニキビと肌の状態によって異なり、少量の黄ニキビには「抗菌外用薬」、広範囲の黄ニキビには「過酸化ベンゾイル（BPO）」が選ばれることが多いでしょう。
抗菌外用薬はアクアチム、ダラシン、ゼビアックスなど、過酸化ベンゾイルはベピオゲル、デュアックゲル、エピデュオゲルなどが代表的です。
外用薬の治療期間と費用の目安
・治療期間：2～4週間程度
・費用の目安：1000～4000円（診察料、処方せん料、処置料など）＋1000～3000円（薬代）程度
自費診療（自由診療）
続いて、美容クリニックなどで受けられる自費診療による黄ニキビの治療法についてです。全顔などニキビが気になるところ全体の治療がしやすく、ニキビ治療だけでなく美肌効果も期待できるメリットがありますが、保険診療と比べてかかる費用が高額になりやすいデメリットがあります。
ケミカルピーリング
専用の薬剤を肌に塗ることで皮膚表面の一部を溶かし、毛穴のつまりや古い角質などを取り除く方法です。すでにある毛穴つまりを緩和させるのはもちろん、肌の新陳代謝を促すことで新たなニキビの予防にも繋がります。
ケミカルピーリングによる黄ニキビの治療方法
肌のクレンジングをしたら薬剤を塗り、数分～10分程度置きます。その後薬剤を中和して洗顔するだけという施術で、美容医療が初めての人でも利用しやすいのが特徴です。クリニックによっては、顔を冷やして落ち着かせるところもあります。
黄ニキビの治療としてよく使われるのが「グリコール酸（AHA）」や「サリチル酸マクロゴール」という薬剤です。
グリコール酸は市販の化粧品などにも含まれるフルーツ酸の一種で、リンゴや柑橘類などから抽出されます。サリチル酸マクロゴールはサリチル酸（BHA）が主成分で、ピーリング剤に使われる酸の中でも安全性が高く、乾燥肌や敏感肌の人でも利用しやすいのが特徴です。
ケミカルピーリングの治療頻度と費用の目安
・治療頻度：2週間に1回を5～6回程度
・費用の目安：1回あたり5000～10000円程度
イオン導入
肌に微弱な電流を流しながら、ニキビ治療に効果的な薬剤の浸透を高める方法です。電流により肌の表面がイオン化され、通常よりも薬剤の成分が肌の内部に浸透しやすくなります。
イオン導入による黄ニキビの治療方法
薬剤をしみこませたマスクやコットンで肌全体を覆い、そのまま微弱な電流を流して肌への浸透を促します。施術は全体で15～30分もあれば終了し、ダウンタイムや痛みもほぼありません。
ニキビ治療に使用されるイオン導入の薬剤には、ビタミンCや複数のビタミンを組み合わせたもの、トラネキサム酸などが使われ、肌とニキビの状態にあわせて選ばれます。
イオン導入の治療頻度と費用の目安
・治療頻度：2～3週間に1回を5～6回程度
・費用の目安：1回あたり5000～15000円程度
イソトレチノイン内服
保険診療の治療法でもなかなか治らない、重症のニキビに使われることがある内服薬です。ビタミンA誘導体を含んだ錠剤で、皮脂の分泌を減らし毛穴のつまりを防ぐ効果が期待できます。
イソトレチノイン内服による黄ニキビの治療方法
一般的な服薬治療と同じく、1日1回など決められた回数・期間で飲み続ける薬です。治療は3～6カ月を1クールとして服薬を続け、肌とニキビの状態を見ながらさらに服薬を続けることがあります。
イソトレチノインは、2021年現在日本で承認されていない薬で、医師が輸入・処方する以外は個人輸入など一切禁止されています。また精神疾患や皮膚・粘膜の乾燥、肝機能の低下、胎児の奇形や流産といった重大な副作用があるため、妊娠・授乳中や妊娠計画中の場合は服薬できません。
効果が高いとされる代わりにリスクも大きな治療法なので、あくまで最後の手段として考えるべきでしょう。
イソトレチノイン内服の治療期間と費用の目安
・治療期間：1クール3～6カ月程度
・費用の目安：3000～6000円（診察料、検査料など）＋13000～20000円程度（1カ月分の薬代）
まとめ
黄ニキビの治し方について、皮膚科・美容クリニックでできる保険診療と自費診療の代表的な治療方法を紹介しました。
黄ニキビまで悪化してしまっても、ニキビ跡をできるだけ残さず新しいニキビを予防するには、専門家による診察と治療を受けることが大切！ひとりで悩まず、ぜひニキビ治療ができる皮膚科で相談してくださいね。
