ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

突然閉鎖された大阪の脱毛エステ「ラドルチェ」のトラブル、一体何が?消費者支援機構関西が訴訟を提起

カレンダー2023.9.5 フォルダー 国内

ポイント

  • 消費者団体が、顧客の同意なしにサービスを変更するなどした脱毛サロン「ラドルチェ」を提訴
  • 国が認定した消費者団体が行う「共通義務確認訴訟」。消費者被害の回復を目的とする
  • 訴訟により支払い義務が確認された場合、第二段階の手続きで返金額が決定される
脱毛でトラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

脱毛でトラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 2023年8月29日、消費者団体が脱毛エステを提訴した。訴えられた脱毛サロンでは、消費者からの苦情、相談が相次ぎ、4月に全店を閉鎖していた。

脱毛エステのトラブル相次ぐ

相次ぐトラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

相次ぐトラブル。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ヒフコNEWSでは、これまで何度も脱毛エステに関する問題を報じてきた。22年度は、エステの倒産が00年以降で最多を記録。男性専門の脱毛サロン、ウルフクリニックの突然の閉鎖は大きな不安を呼んだ。

 そんな中で、大阪市の「ラドルチェ」が消費者との間にトラブルを起こし裁判沙汰になった。

 当初、同社は契約書で回数と期間が無制限に施術を受けられるアフターサービスを約束したが、22年1月頃、顧客の同意なしに、一方的にサービス内容を変更。契約者自らが施術する「セルフ施術」への移行を告知した。

 しかも、23年4月30日には全店舗を閉鎖し、事業を終了。契約者は施術を受けることができなくなった。

 その結果、消費者生活センターのほか、今回訴訟を提起した消費者支援機構関西に苦情や相談が寄せられ、後者の団体が訴訟を提起するに至った。

契約の取消しと返金求める

トラブルで裁判に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

トラブルで裁判に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 今回、消費者支援機構関西は、ラドルチェに対し、契約の取消しと、返金を求めて「共通義務確認訴訟」と呼ばれる訴訟を提起した。

※共通義務確認提訴とは、16年10月に施行された消費者裁判手続特例法によって創設されたもの。消費者の集団が受けた被害を回復するために、国から認定された消費者団体(特定適格消費者団体)が訴訟を起こすことを認めている。特定適格消費者団体である消費者支援機構関西によると、今回の共通義務確認訴訟は全国で7件目。

 同団体は、回数と期間が無期限という内容が、契約の判断において重要だったと説明。一方的に変更されたが、契約書に変更の可能性が記載されていなかったと指摘した。

 また中途解約の精算に関連して、契約書の内容が契約者に不利な内容だったにもかかわらず、契約書の記載に不備があり、結んだ契約は解除できると訴えている。

 「今回の訴訟では、消費者が、被告との間で締結した、アフターサービ ス付脱毛エステティック契約を解除又は取り消し、支払済の契約代金相当額を 不当利得として、被告が、不当利得返還請求義務を負うことの確認を求めてい ます」と説明している。

 今後、訴訟によりラドルチェの支払義務が認められた場合、同団体は消費者に個別に通知、または公にし、第二段階の手続きとして返金額を確定することになる。

参考文献

脱毛サロンLadolceを運営する株式会社ラドルチェに対し、アフターサービス付エステティックサービス契約の解除又は取り消し並びに返金請求訴訟の提起について(2023年5月15日、消費者支援機構関西)

脱毛サロン倒産急増、予約トラブルなど影響、帝国データバンク
https://biyouhifuko.com/news/japan/860/

なぜ大阪のエステ脱毛は書類送検に?女性のやけど事件の背景を大阪府警に聞いた
https://biyouhifuko.com/news/japan/2131/

成人年齢18歳に、10代の脱毛エステや医療のトラブル相談が急増
https://biyouhifuko.com/news/japan/1696/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。