トレチノインとは
トレチノインは、化粧品などで注目されているレチノールと名前が似ていますが、ターンオーバー促進や皮脂分泌抑制などの作用はレチノールの50倍〜100倍といわれています。
アメリカでは、ニキビやシワの治療薬として認可され幅広く使用されていますが、日本国内においては未承認の医薬品。
そのため、日本国内でトレチノインを入手するためには医師の診察・処方が必要です。
また、レチノールと違ってトレチノインが化粧品へ配合されたり、市販品として出回ることはありません。
トラブルを避けるためにも、正しい使用方法をしっかり聞いてから使用するようにしましょう。
人気の美容成分「レチノール」とトレチノインの違いは?
成分名 | トレチノイン | レチノール |
カテゴリ | 医薬品 | 化粧品 |
期待できる主な効果 |
シミ・シワ・ニキビ ニキビ跡・毛穴改善 |
ハリ・ツヤ・くすみ 肌のごわつき・小じわ |
効果の度合い |
劇的な肌質改善に期待できる |
製品にもよるが トレチノインよりマイルド |
使える期間 | 最長5カ月程度 (個人差あり) |
長期使用可能 |
ダウンタイム | ほとんどの方に 皮剥け・赤み・痒みあり |
製品により |
トレチノインの効果とは
トレチノインとレチノールの基本的な肌への働きかけは似ています。
しかし、トレチノインの方がより肌の深層(真皮層)に作用するといわれており、レチノールに比べてより高い肌細胞活性が期待できます。
ここからはトレチノインの主な効果を4つご紹介します。
トレチノインの効果①古い角質を剥がれやすくするピーリング作用
肌のターンオーバーは20代の方で約28日周期、40代の方で約40〜45日周期といわれています。
トレチノインを使用することで、ターンオーバーを14日〜28日程度に早め、肌の表皮細胞の生まれ変わりを促します。
そのため、肌の古い角質をはがすピーリング効果をはじめとして、毛穴の黒ずみの改善、また、毛穴を詰まりにくくする効果にも期待が持てるでしょう。
トレチノインの効果②シワやたるみ毛穴の改善
トレチノインには、肌のコラーゲンやヒアルロン酸を増やす効果があるといわれています。
ターンオーバーによって肌の細胞を生まれ変わらせると同時に、肌の深い部分(真皮層)にある線維芽細胞を刺激します。
そして、細胞自らコラーゲンを作り出せるように活性化。
くわえて、表皮の細胞間や角質にヒアルロン酸の沈着を促すため、小ジワやたるみ毛穴の改善にも期待がもてます。
トレチノインの効果③オイリー肌やニキビ肌の改善
トレチノインには、炎症を落ち着かせたり皮脂の過剰分泌をおさえる効果もあるといわれているため、オイリー肌の改善やニキビ肌の改善目的で使用されることがあります。
海外では古くからトレチノインが配合されたクリームや軟膏がニキビ治療に使用されています。
アメリカにおいてはニキビケア用として化粧水タイプの薬も開発されており、その人気の高さが伺えます。
トレチノインの効果④シミの改善
トレチノインはシミの改善にも期待できます。ターンオーバーが促進されることで古い角質が剥がれ落ち、同時にシミのもとであるメラニンも排出されるといわれています。
さらに、トレチノイン継続使用することで、肌の奥の方にあるシミも徐々に上に押し上げて改善できるともいわれています。
レーザーで取りきれないシミが気になっている方は、トレチノインによる治療を検討してみてもよいでしょう。
トレチノインでのシミ改善は「ハイドロキノン」を併用すると効果的
トレチノインを使用したシミ治療は、「肌の漂白剤」ともよばれている医薬品の「ハイドロキノン」を併用することで、さらなる効果に期待できます。
ハイドロキノンは、新しいシミができるのを予防できるといわれており、今あるメラニンにアプローチできるトレチノインとの相性がよいとされています。
部分的に使用するものや顔全体へ塗るタイプなど、様々な種類があるため、クリニックで相談して使い続けやすい製品を選ぶことがポイント。
また、ハイドロキノン単体では肌への浸透率が低く、トレチノインと併用することによって浸透率を高めることができるそう。
トレチノインとハイドロキノンを併用して肌へアプローチする代表的な方法として、ゼオスキンの「セラピューテック」というプログラムがあります。
決められたスケジュールに従って効率よく肌質改善したい方は、こちらのリンクもチェックしてみてください。
トレチノインが配合された市販のスキンケアはある?
トレチノインは医療用の医薬品のため、日本国内においては化粧品への配合が認められていません。
そのため、ドラッグストアなどで購入できる市販品にトレチノイン配合のスキンケアは存在しないといってよいでしょう。
病院へ行かずに海外サイトから個人輸入している方もいるようですが、正しい知識がないまま使用するとかえって肌を痛めてしまう可能性もあり、非常に危険です。
トレチノインは医師の診断・指導のもと、ご自身の肌質にあった濃度や頻度で使用するようにしてください。
トレチノインの注意点
目立つ皮むけ・赤みなどの「レチノイド反応」が起こりやすい
ゼオスキンなどのレチノール製品でも起こることのある「レチノイド反応(A反応)」。赤みや皮むけなどが代表的ですが、トレチノインはレチノールよりも強い症状が出ることがほとんどです。
皮むけの症状には個人差がありますが、ファンデーションが塗れない・軽い摩擦で皮がむけるということも。
特に皮膚が薄い目元や口元へ強く反応が出やすいので、マスクで隠しきれない可能性もあるでしょう。
トレチノインのA反応は見た目に大きな影響をあたえることも多いので、人前に出る機会が少ないタイミングなど、生活に支障を与えない時期に開始するのがおすすめです。
即効性を求める場合は他の治療が向いていることもある
トレチノインを使用した肌質改善法は、肌のターンオーバーとの関係で1〜3ヶ月ほど時間をかけて進めていくのが一般的。
そのため、「目立つシミを今すぐ消したい」のような即効性を求めている方は、シミ取りレーザーなどの他の治療のほうが適している可能性もあります。
トレチノインによる治療とクリニックにあるレーザーなどでの治療、どちらがご自身にあっているか分からない・どちらも気になるという場合は、両方を取り扱っているクリニックで自分の肌質に最適な治療方法について相談するとよいでしょう。
レーザー治療の前後や妊娠・授乳中の人は使用できないことが多い
トレチノインは肌への刺激が強めなため、他の美容施術と並行して使用するのを不可としているクリニックがほとんどです。
もし、トレチノインによる治療をしている途中で他の美容施術を受けたくなった場合は、必ず事前に処方されているクリニックで相談するようにしましょう。
また、妊娠中・授乳中の方は原則使用不可なので、併せて注意してください。
また、トレチノインを長期間にわたって継続使用すると、人によっては肌に耐性ができ、効果を感じにくくなることもあるようです。
そのため、数ヶ月間継続した方はしばらく使用を休む必要があるのも覚えておくとよいでしょう。
トレチノインを使用したい人は医療機関で相談を
トレチノインは、肌のターンオーバーを加速させシミ・シワ・ニキビ・毛穴などにアプローチする医薬品です。
化粧品などに配合されるレチノールに比べて50〜100倍もの作用を持つといわれており、積極的に治療したい方にぴったりと言えるでしょう。
しかし、誤った使い方を使用してしまうと逆に肌トラブルを引き起こしてしまう可能性も。
リスクを避け美肌を目指すためにも、しっかりと専門の医療機関で相談し、肌質や改善したい症状にぴったりのトレチノインを処方してもらうようにしてください。