薬剤を皮下に注入することで、気になる部分の脂肪をピンポイントに減らすことが可能で、メスを使用しないため痛みが少なく、ダウンタイムも軽くすむという安心で手軽な部分痩せ治療となります。

少し油断すると、あっという間についてしまうお腹まわりの脂肪。去年はすんなり入ったスカートやパンツが、今年はきつくてはけない…ということも珍しくありません。奮起してダイエットをしても、思った場所だけ痩せるのは難しいことです。

そんな時におすすめなのが「脂肪溶解注射」です。クリニックで比較的手軽に受けられる脂肪溶解注射ですが、興味はあってもどのようなものなのかわからない点も多いはず。体のほとんどの部位に適用することができる脂肪溶解注射ですが、今回は「お腹」の部分痩せに注目して詳しくご紹介します。

脂肪溶解注射とは

脂肪溶解注射はメソセラピーともよばれ、フランスのミッシェル・ビストール博士によって開発された治療法です。治療を必要とする患部に注射器を使って薬剤を直接注入する技術で、もともとは関節炎や怪我などの治療に用いられていました。

現在では、部分痩せやセルライト改善などに高い効果を得られることから、美容医療分野で広く使われています。薬剤を皮下に注入することで、気になる部分の脂肪をピンポイントに減らすことが可能で、メスを使用しないため痛みが少なく、ダウンタイムも軽くすむという安心で手軽な部分痩せ治療となります。

脂肪溶解注射の主な成分は、フォスファチジルコリン(PPC)、デオキシコール酸、植物由来成分など脂肪細胞を溶解する効果のあるもので、クリニックによって使われている薬剤の種類は様々です。

脂肪溶解注射の効果と特徴

効果

皮下脂肪に脂肪溶解効果のある薬剤を直接注入することで、注射した部位の脂肪量を減少させます。溶解された脂肪細胞は汗や尿など老廃物として体外に排出され、ダイエットではなかなか落ちにくいお腹まわりの脂肪や、セルライトにも効果を発揮します。

通常のダイエットでは、肥大した脂肪細胞を小さくすることでサイズダウンを目指しますが、脂肪細胞の数そのものを減らすことは出来ません。脂肪溶解注射では脂肪細胞を分解して体外へ排出するため、一度減少した脂肪細胞は再生されることはなく、暴飲暴食でもしない限り、リバウンドの心配がありません。

適応部位

お腹の適用部位は、上腹部(おへその上部)、下腹部(おへその下部)、おへそ周り、脇腹(左右)、腰などです。痩せたい部分に薬剤を注入するので、気になる箇所の部分痩せが可能です。手のひらを広げたぐらいの範囲を目安に、薬剤を広げていきます。

量と回数

使用する薬剤の量や施術の回数は、皮下脂肪の量や部位によって変わってきます。単位はクリニックによって違い、注射の本数や使用する㏄などがあるため、分かりにくい場合は無料カウンセリングなどを利用するとよいでしょう。

脂肪溶解注射の1本の範囲は通常手のひら程度となるので、気になる箇所に手のひらを当ててみると、大よその本数が確認できます。一般的には、上腹部、下腹部は1回2~4本、脇腹は両側で2~4本、腹部全体で4~8本です。施術の回数は皮下脂肪の量にもよりますが、5~10回が効果的なようです。

メリット

  • 脂肪溶解注射では、薬剤を注入した部分の脂肪細胞そのものを溶解して体外に排出します。一度減少した脂肪細胞は再生されないため、リバウンドの心配が少なく、半永久的な効果が得られます。
  • メスを使わないのでダウンタイムが少なく、体に傷が残ることもありません。施術後すぐに日常生活を送ることができ、当日のシャワーも可能です。注射をするだけなので安全性も高く、神経や血管を傷つける恐れがありません。
  • 脂肪溶解注射は、脂肪が気になる部分に薬剤を注入するため、痩せたい部分だけサイズダウンさせることができます。また、落としにくいセルライトの改善にも効果があります。

デメリット

  • 脂肪溶解注射は1回の施術で減少する脂肪量が限られているため、施術箇所がお腹まわりのように広範囲かつ脂肪量が多い場合、1回で効果を感じられることは少なく、複数回の施術が必要となります。また、体質や脂肪の量によっても落ちやすさは異なり、効果を実感するまでには1ヶ月ほどかかると言われていますが、施術回数を重ねるほど脂肪細胞は減っていきます。
  • 施術の後、筋肉痛のような痛みを感じることがあります。これは、脂肪が分解されていくときに起こる現象で、長くても1週間程度で落ち着いてきます。数日たっても違和感や強い痛みが続くような場合は、出来るだけ早くクリニックに相談しましょう。

費用相場

脂肪溶解注射にかかる費用は、クリニックや使われている薬剤によって違いますし、お腹まわりの脂肪の量には個人差があるため、詳しい料金についてはクリニックの無料カウンセリングの利用がおすすめです。

一般的には、1本15,000~20,000円程度で料金設定されているクリニックが多いようですが、痩せたい部位によって1回の本数が違ってきます。施術回数も5回以上が効果的とされているので、総額にすると高額になってしまうこともあります。薬剤によって効果の出方やダウンタイムにも違いがあるため、安さだけで比較するのではなく、必要な回数や術後の様子等の詳細を事前に確認しておくことが大事です。

脂肪溶解注射の成分

フォスファチジルコリン(PPC)

フォスファチジルコリンは大豆に含まれているアミノ酸の一種で、もともと脂肪肝や高脂血症の治療に使われていた薬剤です。脂肪細胞を破壊し、溶解させる作用があり、溶解された脂肪は血管やリンパ管を通り、L-カルニチンの作用で効率的に尿とともに体外へ排出されます。

一回の施術では大きな効果が現れにくく、何回か繰り返すことで徐々に効果が上がります。主成分が刺激のある薬剤なので、腫れや赤み、痛みなどが起こりやすく、腫れを隠せる腹部などの施術に多く使われます。主成分は大豆なので、アレルギーのある方は事前に医師に相談しましょう。

デオキシコール酸 (DOC)

デオキシコール酸は胆汁酸の一種で、薬剤を注入することで脂肪細胞の細胞膜を破壊するとされています。脂肪溶解に高い効果を発揮しますが、腫れや痛みのリスクが高いので、脂肪溶解効果のあるほかの薬剤に配合して使用されます。デオキシコール酸は、もともと人の体内に存在する胆汁に含まれる成分なので安全性が高く、身体だけでなく顔にも安心して使用することができます。

植物抽出成分などその他の脂肪溶解薬剤

従来のフォスファチジルコリン(PPC)やデオキシコール酸 (DOC)を含まない、植物抽出 成分由来の脂肪溶解注射の薬剤も多く開発されています。代表的なものは「BNLS」で、顔専用の腫れや痛みがほとんどない脂肪溶解注射として韓国で話題になりました。

植物由来成分が脂肪を分解するとともに、リンパ循環作用、肌の引き締め作用によって血流やリンパの流れを改善し、溶かした脂肪や体に溜まっている老廃物を体外に排出する効果があります。現在はこのBNLSにデオキシコール酸を配合したBNLS neoが人気となっています。

代表的な脂肪溶解注射の薬剤を比較してみましょう。

製剤名 主成分 特徴
リバイタルセルフォーム フォスファチジルコリン

数種類のアミノ酸

αリポ酸

・脂肪溶解の効果だけでなく脂肪の燃焼も促進

・肝機能を向上させる効果も

・1週間程度、腫れが続くこともある

・2~3週間の間隔で3~6回の施術で効果が現れる

BLNS neo 植物由来成分

デオキシコール酸(neoのみ0.0001%配合)

・痛み、腫れはほとんどなし

・1~2週間の間隔で3~5回の施術が効果的

・脂肪溶解、肌の引き締め、リンパ循環の促進と3つの作用が同時に得られる

・価格が安い

カベリン デオキシコール酸(0.5%配合)

L-カルニチン

アーティチョーク

・特殊な配合により痛み、腫れは出にくい

・1週間の間隔で4~6回の施術が効果的

・数日で効果を感じることができる

Fat X デオキシコール酸(1.0%配合)

植物由来成分

アミノ酸など

・痛み、腫れは大きく、数日~1週間ほど続く

・1ヶ月の間隔で3~5回が効果的

・1回の治療効果が高いと言われている

・脂肪除去後、コラーゲンの合成を誘導する

MITI フォスファチジルコリン

デオキシコール酸

・痛み、腫れは出やすい

・2週間の間隔で3~5回の施術が効果的

・配合されたL-カルニチンにより代謝を高め、IGF-1により筋肉を引き締め、肌につやとハリを与えることができる

脂肪溶解注射の注意点

ダウンタイムが少なく、安全性も高いと言われている脂肪溶解注射ですが、リスクが無いわけではありません。しっかりと理解したうえで、施術を受けましょう。

注意すること

脂肪溶解注射によって分解された脂肪細胞は再生されませんが、暴飲暴食を続けると脂肪細胞が肥大化し太ってしまいます。適切な食事と適度な運動を心がけることも必要です。

施術後は、注入した部分をマッサージして薬剤を広げ、脂肪細胞の排出を促すようにしますが、痛みや腫れがある場合は無理なマッサージは控えましょう。

一度減ってしまった脂肪細胞は、再生されることはありません。これはメリットではありますが、施術する医師のセンスや技術によって、仕上がりに大きな差が出ると言えるため注意が必要です。無料カウンセリングを活用し、実績と信頼のあるクリニックと医師を選びましょう。

注意する人

脂肪溶解注射は皮下脂肪に作用するものなので、お腹まわりが太い原因が、筋肉の発達や内臓脂肪によるものの場合には効果はありません。

妊娠中、授乳中の人、糖尿病など血管の病気を併発するものを持っている人、肝臓や腎臓の病気の人、膠原病などの自己免疫疾患の人、注射部位に感染や肌荒れがある人は、脂肪溶解注射を受けることができません。また、大豆アレルギーがある人は、主成分が大豆から抽出した成分であるフォスファチジルコリン(PPC)による施術は受けられません。また、BNLSも植物由来成分となっているため、海藻やナッツの対するアレルギーのある方は受けることができないようです。

ダウンタイム

腫れや赤み、筋肉痛程度の痛み、熱感、痒み、点状出血や内出血が出る場合がありますが、通常は2~3日程度で落ち着きます。薬剤によっては、1~3週間ほど腫れが長引く可能性があります。

メイクや洗顔、シャワーは当日から(入浴は翌日から)可能ですが、注入部を強く擦らないようにしましょう。激しい運動や飲酒も控えてください。

脂肪溶解注射と脂肪吸引の違いとは

脂肪吸引とは

脂肪溶解注射とよく比較される方法に「脂肪吸引」があります。脂肪吸引は、気になる部分の皮膚にメスで小さな穴を開け、カニューレと呼ばれる細い管を挿入し、直接皮下脂肪を吸引する方法です。リスクとして、傷跡、感染、表面の凸凹、血腫、知覚異常などがありますが、これらは医師の技術と経験で回避することができます。

脂肪溶解注射との違い

  • 外科的処置なので身体への負担は大きく、個人差はありますが1~3週間程度は痛み・内出血・腫れ・むくみしびれ・かゆみなどの症状が続き、脂肪溶解注射に比べて痛みやダウンタイムは大きくなります。通常、シャワーは3日後、入浴は1週間後から可能です。
  • 脂肪溶解注射は注射だけなので傷跡は残りませんが、脂肪吸引の場合は1㎝ほどの小さな傷跡が残り、抜糸のために通院が必要です。痛み止めや止血剤、抗生剤などの服用も必要です。
  • 脂肪溶解注射は部分痩せに特化した施術のため、広範囲の脂肪を落としたい場合は脂肪吸引が効果的です。1回で痩身効果を実感できることが多いため、効果が緩やかに現れる脂肪溶解注射のように、複数回の施術は不要といえます。
  • 脂肪吸引の費用はかなり高く、お腹の場合は20~100万程度かかるようです。

まとめ

脂肪溶解注射はダインタイムも少なく、安全に受けられる部分痩せの方法といえます。簡単な施術ではありますが、確かな技術と、美しいボディラインを作るデザイン力を持つ医師がいるクリニックを選ぶことが大切です。

使用している薬剤によっても効果や料金は様々なので、脂肪溶解注射を試してみたいと思っている方は、費用だけにとらわれず、無料カウンセリングなどを大いに利用し、自分と相性の良いクリニックを探しましょう。

記事監修


山下真理子先生

京都府立医科大学を卒業して、医師に。 大阪市内で美容医療に携わりながら、医療教育にも従事。 コラムの執筆やモデル業の傍ら、17公式ライバーとしてライブ配信も行っている。

※マッサージや化粧品などの情報が記載されている場合は監修範囲に含まれません。

※執筆・掲載日時点の情報を参考に医師監修しております。

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