口角ボトックスとは?
口角ボトックスは、ボツリヌス菌から抽出したタンパク質を、口角を引き下げる主な筋肉である「口角下制筋(こうかくかせいきん)」に注入する治療です。
この筋肉の働きが弱まることで、自然と口角が上向きに引き上がります。これにより、若々しく明るい印象の口元を作れるのが大きな特徴です。
加齢とともに下がってしまう口角は、印象を悪くしてしまう大きな要因の一つです。不機嫌そうに見えたり、全体的に老けて見えてしまったりするなど、様々な問題が生じる可能性があります。
加齢によって悩まされがちな口角の下がりを改善し、よりフレッシュな印象になるのが、口角ボトックスの魅力と言えるでしょう。
口角のボトックスの効果
口角ボトックスの主な効果は以下の通りです。
口角が自然に上がる
若々しい口元になる
口元のシワ(マリオネットライン)への改善が期待できる
笑顔の印象が変わる
口角下制筋の動きが抑制されることで、口角が自然と上がり、笑顔がにこやかで明るい印象になります。
また、口角が上がることで、口角から顎にかけての縦ジワ(マリオネットライン)が目立たなくなり、滑らかな印象に改善されるのです。
さらに、口角が上がると上唇の角度が変化し、笑顔の印象が変わる効果も期待できます。
筋肉の収縮を抑制
口角ボトックスのとは、筋肉の収縮を抑制する作用がある「ボツリヌス菌」を利用した治療法です。注入後は、口角下制筋の収縮が抑制され、口角を下げる力が弱まります。
そのため、口角が自然と上がった状態になり、明るい印象の笑顔が作れます。適切な施術により、自然で若々しい口元を演出できるのです。
発達した筋肉の縮小
口角ボトックスには、筋肉の張りを和らげ、筋肉の収縮を抑える効果が期待できます。
その結果、口角下制筋が縮小して口角が引き上げられ、明るい口元を実現できるのです。
口角ボトックスのデメリット
ここからは、口角ボトックスのデメリットをご紹介します。
持続期間に限りがある
ボトックス注射の効果は永続的ではなく、時間の経過とともに徐々に元の状態に戻ってしまいます。そのため、効果を長期的に維持するためには、定期的な施術が必要となります。
より長く効果を持続させるには、効果が残っているうちに次の施術を受けることが大切です。ボトックスの特性を理解した上で、自身に合った施術計画を立てましょう。
ダウンタイムがある
口角ボトックスのダウンタイムはほとんどなく、通常の生活に支障をきたすことはありません。
内出血以外の症状としては、軽度の腫れや赤み、針痕などがみられますが、基本的には数日以内に治まります。
抗体ができて効きにくくなることがある
短い期間でボトックス注射を繰り返すと、まれに体内にボツリヌストキシンに対する抗体がつくられてしまう可能性があります。
抗体ができるとボトックスの効果が得られなくなるため、効果が弱くなったり持続期間が短くなったりする可能性があります。
施術のタイミングについては、自己判断せずに必ず医師に相談し、指示された適切な期間を空けることが重要です。そうしないと、ボトックスの効果が得られなくなってしまう可能性があります。医師の判断のもとで慎重に行っていきましょう。
副作用が生じる可能性がある
口角ボトックスには以下のような副作用のがある可能性があります。
左右の口角に差が出る
口元が動きづらくなる
注入量や注入部位の誤りによって、上記のような副作用が生じる場合があるため注意しましょう。副作用についてのさらに詳しい内容は次章でご紹介します。
口角ボトックスの失敗や副作用
口角ボトックスには様々なメリットがある一方で、失敗や副作用が生じるリスクもあります。ここからは失敗や副作用について解説しますので、事前に理解しておきましょう。
左右差が生じることがある
口角ボトックスの注入では、左右の口角に差が生じることがあります。
表情筋の使い方は左右で異なるため、両方に同じように注入しても、左右差が生じる原因となるのです。
微調整して注入しても完全に左右対称にするのは非常に難しいため、心配な場合はカウンセリングで医師に相談し、仕上がりイメージのすり合わせをすることが大切です。
口元が動かしにくくなる可能性がある
口角ボトックス注射には筋肉の働きを弱める効果があるため、口元が動かしにくくなる恐れがあります。
また、注入部位や量の誤りによって、本来の効果を超えて周囲の筋肉にまで影響が及んでしまうこともあるため注意が必要です。口角を下げる筋肉の働きが抑制されすぎ、笑顔をつくりづらくなることもあります。
口角ボトックスでの後悔を回避するポイント
失敗や後悔を避けるためには、押さえておくべきポイントがあります。取り返しのつかない結果を招いてしまわないよう、口角ボトックスを検討している方はぜひ参考にしてください。
口角ボトックスが最適なのか相談する
口角ボトックスを受ける際は医師とよく相談し、理想とする仕上がりが実現可能かどうかを確認することが重要です。場合によっては、口角ボトックス以外の施術が向いている可能性もあります。
自分の口元の特徴を医師に診てもらい、口角ボトックスが最適なのかどうかの判断を仰ぎましょう。
信頼できる医師とコミュニケーションを取ることが、後悔を回避するポイントです。
最適な薬剤を使用する
ボトックス注射を受ける際は、使用する薬剤の選択が重要です。
ボトックス製剤には製薬会社によって成分や純度の違いがあり、それによって効果の出方や持続期間が変わります。
適切な薬剤を選ばないと、安全性や効果などで問題が生じる可能性があるため注意しましょう。
安全性と満足のいく結果を得るためには医師と相談し、自分に最適な薬剤を選ぶことが大切です。
信頼できる医師を選ぶ
口角ボトックスは、注入部位や量を誤ると失敗する可能性があります。そのため、施術を行う医師の経験と技術力が、大きな影響を及ぼします。
事前にクリニックのホームページで医師の経歴や症例数などを確認しておきましょう。
また、カウンセリングで納得のいく説明をしてもらえる医師を選ぶことも重要です。
左右での口角の上がり具合のバランスが崩れる可能性があるため、口角ボトックスは微調整が難しい施術です。適切な施術を受けられない場合、期待通りの効果が得られずに後悔する可能性が高まるため注意しましょう。
口角ボトックスで失敗した場合の対処法
口角ボトックスを受けて思ったような効果が得られなかったり、うまくいかなかったりする場合があります。ここからは、失敗に遭遇した場合の対処法をご紹介します。
医師に相談する
口角ボトックスの施術で失敗したと感じた場合は、すぐに医師に相談しましょう。
口角が上がりすぎたり、左右のバランスが崩れたりと、具体的な症状を医師に伝えることで原因や問題点を正確に把握できるはずです。
効果が弱まるのを待つ
ボトックスの効果は時間の経過とともに徐々に弱まり、最終的に完全になくなります。
そのため、ボトックス注射で失敗した場合、ボトックスの効果が切れるまでの期間を待つ必要があるのです。ボトックスの効果がなくなれば、元の状態に自然と戻ります。
ただし、失敗の程度によっては、医師に相談の上、別の対処が必要になることもあります。
軽度の失敗であればメイクアップの工夫などで一時的に対応する方法ものあるので、医師に相談して適切な判断を仰ぐことが大切です。
口角ボトックスの料金
口角ボトックスの料金は、一般的に1回の施術で2万〜8万円程度が相場となっています。
ただし、使用する薬剤の種類と量で料金が変動します。
例えば、アメリカのアラガン社が製造するボトックスビスタ®︎は、厚生労働省の認証を受けた安全性の高い製品で価格が少し高めです。一方で、韓国製の薬剤は比較的安価で施術を受けられますが、厚生労働省の認証を得ていません。
ボトックス注射を受ける際は安全性と価格のバランスを考え、医師に相談しながら、最適な選択をする必要があります。
また、一部のクリニックでは麻酔代が別途必要で施術料金に加算されるため、あらかじめ確認しておきましょう。
口角ボトックスがおすすめの人と受けられない人
ここからは、口角ボトックスがおすすめの人と受けられない人を詳しくご紹介します。
口角ボトックスがおすすめの人
口角ボトックスは以下の人におすすめです。
口角が下がり気味
歯を食いしばる癖がある
マリオネットラインが気になる
手術以外で口元の印象を変えたい
過剰に働く口角下制筋をボトックスで弱めることで、歯ぎしりや食いしばりなどの癖の改善にも効果が期待できます。
さらに、口角が上がるとマリオネットラインと呼ばれる口角から顎にかけての縦じわの改善も期待できます。
口角ボトックスを受けられない人
口角ボトックスを受けられない人は以下のようなケースが挙げられます。
妊娠中や授乳中
神経筋疾患がある
ボトックスの成分に対してアレルギー反応がある
ボトックス注射の胎児への影響については、まだ研究により明らかになっていません。そのため、上記に当てはまる方は施術前に必ず医師に状況を伝える必要があります。
口角ボトックスの施術の流れ
口角ボトックスの施術の流れは以下の通りです。クリニックにより異なる場合があるため、あくまで目安としてチェックしてください。
1. カウンセリング
カウンセリングを行い、注入部位や理想とする仕上がり、注意点を確認します。
2.ボトックス注入
施術部位を消毒した後、クリームや注射で施術部位を麻酔します。注射器で口角下制筋周辺にボトックス製剤を注入していきます。
3.アフターケア・説明
腫れや内出血が出る可能性があるので、アイシングや経過観察を行います。その後、アフターケアの説明を受けます。
施術時間は15分程度と比較的短時間です。注入後、徐々に効果が現れてきます。
口角ボトックス以外に口角を引き上げる施術
ここからは、口角ボトックス以外に口角を引き上げる施術を3つご紹介します。
ヒアルロン酸注射
口角にヒアルロン酸を注入することで、口角部分が引き上げられるように仕上がります。自然と口角が上がった印象に仕上がり、より明るく活発な印象の笑顔を演出できます。
また、ボトックス注射とヒアルロン酸注射を併せて行うことで、効果をより高めることも可能です。ボトックスにより筋肉の動きを抑え、ヒアルロン酸の注入で口角をより引き上げられるのです。
系リフト
糸リフトは、時間とともに体内で徐々に吸収される特殊な糸を、専用の針を使って皮膚の中に挿入します。この糸によって、口角を引き上げることが期待できるのです。
使用される糸には、素材や効果の持続期間など、様々な種類があります。これらの違いによって、治療効果や術後の経過、費用などが異なります。悩みや希望する仕上がりに合わせて、適切な糸の種類を選ぶことで、より自然で長期的な口角のリフトが期待できるでしょう。
リップアートメイク
リップアートメイクでは、唇の輪郭線を上向きに描くことで、視覚的に口角が上がったように見せることができます。
また、人中部分を短く描くことで、口角が相対的に上がったように見えるデザインも可能です。さらに、明るい発色のインクを使うと、口元全体が明るく見え、口角が上がったような印象を与えることができます。
口角ボトックスのよくある質問
ここからは、口角ボトックスに関するよくある疑問にお答えしていきます。
口角ボトックスを打ち続けるとどうなる?
長期的にボトックスを継続すると、筋肉の萎縮により自然と口角が上がりやすくなります。また、口角を下げる癖の緩和も期待できます。
ただし、ボトックスを短期間に注入すると抗体ができて効果を得にくくなる可能性があることに注意が必要です。医師の指導の下、適切な注入間隔を守って受けることが重要です。
口角ボトックスでたるむことはある?
口角ボトックスの過剰な注射はたるみを引き起こすリスクがあります。
ボトックスにより筋肉が細くなっても皮膚の量は変わらず、余った皮膚がたるむためです。過剰な使用は逆効果となり、たるみを招くことがあるため注意が必要です。
口角ボトックス注射のクリニック選びはどうしたらいい?
技術力の高い経験豊富なクリニックを選ぶことが重要です。事前にクリニックのホームページで医師の経歴や症例数などを確認しておきましょう。
豊富な実績と高い技術のある医師に施術を受けることで、不自然な表情やたるみなどの問題を回避できるはずです。
口角ボトックスの持続期間は?
口角ボトックスの効果は一般的に3〜6ヶ月程度続くとされています。
ただし、持続期間は個人差があり、筋肉の状態によって異なります。また、定期的な注入で筋肉が萎縮すれば、持続期間が延びる場合もあるでしょう。
まとめ
口角ボトックスは、加齢により下がった口角を引き上げ、明るく若々しい印象の口元を作れる治療です。口角を下げる主な筋肉の働きを弱めることで、自然と口角が上がるのが特徴です。
ただし、効果は一時的で、3〜6ヶ月程度で徐々に元の状態に戻ってしまうため、定期的な注射が必要となります。また、注入量や部位の誤りにより、表情が固くなったり左右差が生じたりするリスクもあります。
そのため、経験豊富な医師に施術を受け、適切な薬剤を使用することが重要です。後悔を回避できるよう事前のカウンセリングで医師に相談し、最適な判断を仰ぎましょう。
※「ボトックス」と言う名前はよく知られ、一般的に広く使用されていますが、実はこれは米アラガン社の製剤「ボトックスビスタ」のブランド名です。
つまり使用される製剤が「ボトックスビスタ」でない治療は「ボトックス」と呼ぶことができないため、一般的にはボツリヌス注射やボツリヌス療法などと呼ばれています。