炭酸ガスレーザーとは
炭酸ガスレーザーとは、炭酸ガス(CO2)を仲介して光を増幅させる、エネルギー効率が良い気体レーザーです。盛り上がりのあるシミ、ホクロやイボの除去に効果的で、レーザーで照射しても周辺の皮膚を傷つけない施術です。
また、メスで切る施術よりも傷跡が残りにくく、ほとんど出血がありません。そのため、治療する期間が短く、ダウンタイム期間が長期間とれない場合におすすめの治療です。
炭酸ガスレーザーがおすすめな人
以下のお悩みを持つ方は、炭酸ガスレーザーの治療がおすすめです。
- 顔に大きいホクロがある
- 盛り上がったシミがある
- 首のポツポツした無数のイボを取りたい
- 手指や目の下にブツブツがある
- できれば痛みの少ない治療がいい
- 少ない回数施術で悩みを解消したい
ホクロやシミ、イボが気になっている場合は、カウンセリングを受けて炭酸ガスレーザーの施術を検討しましょう。
また、ホクロ取りのダウンタイムやテープ保護が気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。
施術が受けられないケース
ホクロやシミ、イボのお悩みに効果的な炭酸ガスレーザーですが、以下の条件に該当すると施術が受けられないケースがあります。
- 妊娠中またはその可能性がある
- ケロイド体質
- 心臓疾患がある
- 照射する部位に皮膚疾患がある
- 悪性腫瘍がある、またはその可能性がある
- 日焼け後(施術後に日焼けする予定がある)
- 体力が弱い(幼児・高齢)
- レーザーを当てられて出血したことがある
- 人と会うイベント(結婚式やパーティー)を控えている
この他にも、除去する部分が皮膚の深層部にあり、担当の医師が炭酸ガスレーザー施術に適さないと判断した場合は治療が受けられません。
施術が受けられないケースに当てはまらないか不安な場合は、カウンセリング時に担当医師に確認しておきましょう。
炭酸ガスレーザーの特徴
次に、炭酸ガスレーザーの特徴3つをご紹介します。
- 水分に吸収されやすい
- 出血がほとんどない
- 治癒が早い
水分に吸収されやすい
炭酸ガスレーザーは、水分に吸収されて熱エネルギーに変わります。そのため、水分が含まれる皮膚にレーザーを当てると、熱エネルギーに転換されます。
このことで、組織が蒸散されホクロやイボが除去されることが可能です。
このように生じた熱エネルギーによって、皮膚組織を削ったり掘ったりできます。
出血がほとんどない
炭酸ガスレーザーが持つ熱凝固作用によって、照射した部位の周囲の血管はすぐに固まるため、メスを使って切除する施術よりも出血はほとんどありません。
また、痛みもほとんどない治療ですが、照射部位によっては数日間内出血や赤みが生じることがあります。出血や痛みが心配な場合は、担当医師から十分に治療の説明を受けておきましょう。
治癒が早い
炭酸ガスレーザーの蒸散作用は組織の深部には届かず、皮膚の表面のみに効きます。
そのため、メスで皮膚を切る治療方法よりも、炭酸ガスレーザーで除去したほうが照射部位が治るのに時間がかかりません。
なお、照射数や範囲によりますが、炭酸ガスレーザーは施術時間も5~30分程度と比較的短い方法です。
仕事や学校のスケジュールで治療や治癒期間に時間がとれない場合は、炭酸ガスレーザーでシミやホクロを除去するのがおすすめです。
炭酸ガスレーザーの仕組み
さまざまなメリットがある炭酸ガスレーザーの施術のプロセス・仕組みは、以下のとおりです。
Step1.
気になっているホクロやイボ、シミがある部位に炭酸ガスレーザーを当てます。このとき、痛みを押さえるために、局所麻酔を行います。
Step2.
ホクロやイボ、シミを蒸散させて取り除きます。
Step3.
赤みが生じますが、新陳代謝によって2~3ヶ月くらいで新しい皮膚が再生されます。
局所麻酔が苦手・不安な場合は、担当医師に事前に相談しておくと安心して施術が受けられます。
炭酸ガスレーザーの効果
炭酸ガスレーザーを受けることで、気になっている膨らんだシミ、ホクロやイボを取り除けます。
悩んでいるホクロやイボはそのまま放置していると、肥大したり増殖したりする可能性があります。
そのため、とくにホクロやイボは早い段階で取り除くのがおすすめです。
また、首筋や目の下にあるイボを除去すると、顔の印象がさらに若返る効果が期待できるため相手からのイメージアップにつながります。
なお、炭酸ガスレーザーは、大人ニキビやニキビ跡の改善にも効果的です。
炭酸ガスレーザーの施術時間やテープを貼る期間
炭酸ガスレーザーの施術時間やテープを貼るダウンタイム期間など、詳細な情報は以下のとおりです。
項目 |
内容 |
施術時間 |
5~30分程度 ※必要な時間は照射数や範囲によって違います。 |
麻酔の種類 |
局所麻酔注射 ※麻酔クリームを使えるクリニックもありますが、別途料金がかかる場合があります。 |
赤みや内出血 |
ほとんどなし |
ダウンタイム期間 |
14日間程度 ※茶色のテープで患部を保護する必要があります。 |
施術後の通院頻度 |
2回(当日・2週間後) |
メイク |
患部以外は当日から可能 ※患部はテープ除去後(14日間後)からメイクが可能です。テープの上からであれば、当日からメイクもできます。 |
洗顔・入浴後の注意点 |
・顔をこすらないようにすること。 ・清潔なタオルでおさえるように水気を拭き取ること。 ・薬を塗り直して、テープ保護をし直すこと。 |
日常の過ごし方 |
・施術した日は、長時間の入浴は避けてシャワーで済ますこと。 ・プールやサウナは控えること。 ・かさぶたが剥がれた後、3ヶ月は日焼け止めを必ず使用すること。 |
上記のことに注意して、炭酸ガスレーザーの施術を受けましょう。
炭酸ガスレーザーの施術の流れ
炭酸ガスレーザーの一般的な施術の流れは、次のとおりです。
Step1.診察・カウンセリング
気になる部位が炭酸ガスレーザーで治療できるか、診察・カウンセリングを受けて医師が判断します。
治療して期待できる効果やリスク、治療・治癒にかかる時間やアフターケアの説明を受けます。クリニックによっては、当日施術が可能な場合もあるため、希望する場合は医師に相談しましょう。
Step2.クレンジング・洗顔
次に、クレンジング・洗顔でメイクや皮脂の汚れを落としましょう。このときに必要なクレンジング剤や洗顔料、タオルなどはクリニックで用意されていることがほとんどです。
Step3.麻酔
最小限の痛みで治療できるよう、極細の針で局所麻酔注射を受けましょう。
施術範囲が広い場合は、麻酔クリームを使うことも可能ですが、追加費用・時間がかかることがあります。
Step4.炭酸ガスレーザー施術
ホクロやイボ、シミなど悩んでいる部位にレーザーが当てられます。
施術時間は施術する範囲にもよって異なりますが、一般的には5~30分程度です。
Step5.施術後のアフターケア
施術後は炎症を抑える薬が塗られます。照射後は摩擦や日焼けで色素沈着になりやすいため、10日間は茶色のテープで保護しましょう。
Step6.再診察
施術後2週間後に経過を診察してもらうために、治療したクリニックに行きます。
気になることがある場合は、このときに担当医師に確認しましょう。
炭酸ガスレーザーの術後の経過
ここからは、照射当日・翌日~10日目・11日目以降に分けて、炭酸ガスレーザーの術後の経過を解説します。
照射当日
患部に軟膏が塗られ、茶色のテープで保護されます。10日目までは、テープを剥がさないでください。
もしテープが剥がれた場合は、患部に軟膏を塗って新しくテープを貼り直しましょう。
翌日~10日目
この時期には、かさぶたができる場合があります。無理には剥がさないように注意しましょう。
また、ホクロ・イボを除去した場合は一時的に患部がくぼみますが、徐々に盛り上がるため心配は不要です。
ただし、深いホクロ・イボだった場合は、治癒後に少し凹む可能性があります。
11日目以降
保護テープの貼り付けは必須ではなくなります。
かさぶたが剥がれたら、3ヶ月程度は必ず患部に日焼け止めを使ってください。
患部の皮膚がピンク色だったり、色素沈着が生じることがありますが、3~6ヶ月程度で改善することがほとんどです。
また、気になっている部位の状態によっては一度の施術で治療が終わらない場合はあります。なお、ホクロが再発した場合は、3ヶ月以上空けなければ再施術できません。
ホクロでお悩みの方は、以下のテープ保護に関する記事も参考にしてみてください。
炭酸ガスレーザーの施術料金
炭酸ガスレーザーの施術は、保険適用でないため自費診療です。 炭酸ガスレーザーの施術料金の目安は、1つ当たり数千円~10,000円程度です。
ただし、施術する部位の大きさや範囲、クリニックによって施術料金は異なります。
また、治療回数が多く施術する部位が大きいと料金が高額になる可能性があるため、カウンセリング時にあらかじめ料金を確認しておくのがおすすめです。
炭酸ガスレーザー跡を綺麗に治すダウンタイムのコツ
炭酸ガスレーザー跡を綺麗に治すための、ダウンタイムのコツは以下の3つです。
- 強引にかさぶたを剥がさない
- 患部をテープで保護する
- 処方薬を適切に塗る
強引にかさぶたを剥がさない
施術後、患部にできるかさぶたは、数日~1週間程度で自然に剥がれるのを待ってください。強引にかさぶたを剥がすと患部の治癒が遅くなって、ダウンタイムの長期化につながります。
かさぶたが顔にできると気になってしまうのは仕方がないことですが、かさぶたは再生されている新しい皮膚を保護してくれる役割を担っています。傷を治そうとする皮膚の適切な反応のため安心してください。
患部をテープで保護する
施術後は、患部に茶色いテープを貼って傷跡を保護しましょう。術後の日常生活では、洗顔や入浴の度に自分でテープを剥がして貼り直す必要があります。テープ保護が必要な期間は一般的には10日間程度です。しかし、患部の範囲や皮膚の状態によって異なります。
また、ホクロ除去テープによる保護の詳細が気になる場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
処方薬を適切に塗る
施術後は患部をテープで保護しますが、テープを貼る前に軟膏などの処方薬を適切に塗る必要があります。
自宅で適切なアフターケアができるよう、施術後は担当医師や看護師から処方薬の塗り方や塗るタイミングをしっかり聞いておきましょう。
また、一時的に生じる可能性がある色素沈着を予防するために、内服薬と別の外用薬を併用するケースもあります。この場合の処方される薬としては、内服薬はビタミンCやトラネキサム酸、外用薬トレチノインやハイドロキノンが代表的です。
炭酸ガスレーザーに関するよくある質問
炭酸ガスレーザーの概要や施術後のダウンタイムの過ごし方は把握できたものの、その他に気になる項目がある方もいるのではないでしょうか。
ここからは、炭酸ガスレーザーに関するよくある質問について以下5つをご紹介します。
- 炭酸ガスレーザー後のテープはいつまで貼る?
- 通院は一度で終わる?
- 痛みはどのくらい?
- 炭酸ガスレーザーの跡は消えない?
- 施術後の注意事項は?
炭酸ガスレーザー後のテープはいつまで貼る?
炭酸ガスレーザー後のテープを貼る期間の目安は、顔の場合は10~14日間程度、その他の部位は5週間以上です。ただし、部位が同じでも患部の状態や深さによって、治癒するスピードは個人によって異なります。
患部にできたかさぶたが自然に剥がれて皮膚が再生されるでは、外的刺激からテープで保護しておきましょう。
通院は一度で終わる?
炭酸ガスレーザーの施術時、治療と術後の診察の最低2回の通院が必要です。
また、大きなホクロや形が複雑なイボなどは、傷が残らないように数回に分けて少しずつ除去するケースがあります。この場合は、数回にわたって通院しなければいけません。
なお、ホクロを炭酸ガスレーザーで除去したにも関わらず、再発してしまった場合も何度か通院する必要が生じます。
痛みはどのくらい?
施術時は局部麻酔を用いるため、ほとんど痛みはありません。ただし、施術する部位や状態によっては、一時的に赤みや内出血が生じることがあります。
また、かさぶたによってかゆみが出ることがありますが冷やして処置し、新しい皮膚が再生されるまで待ちましょう。
炭酸ガスレーザーの跡は消えない?
炭酸ガスレーザーによって生じた傷跡や赤みが消えるまでには、個人差があります。一般的に言われている期間はあくまでも目安のため、最低でも半年は様子を見ましょう。
ただし、傷跡・赤みや傷跡の盛り上がりが全く引かないとき、患部に違和感や気になる症状があるときは、早めに治療を受けたクリニックで再度診察を受けてください。
施術後の注意事項は?
施術後の注意事項は、患部への接し方です。当日から洗顔は可能です。保護テープを貼ったまま行い、タオルで優しくおさえるようにして水気を拭き取ってください。
また、患部にできたかさぶたを無理に剥がすと色素沈着する可能性があるため、自然に剥がれ落ちるまで待ちましょう。
かさぶたが剥がれ落ちた部位は新しい皮膚で紫外線に弱い状態のため、必ず日焼け止めを使ってください。