薄着の季節が近づくと気になってくるのが脇の黒ずみ。普段は隠れている部分なので手入れを疎かにしがちですが、長い間蓄積された脇の黒ずみはすぐにはなかなか改善しないもの。黒ずみはすぐに消えないことが多いので、薄着の季節になる前にケアが必要です。インターネットや雑誌では化粧品などを利用したセルフケアで改善を促す様々な情報が出ていますが、これらは軽度のものや予防には一定の効果があるものの、一度悪化してしまった黒ずみを改善するのは難しいかもしれません。まずは、脇がどうして黒ずむのかという原因を知って、改善するための方法を探しましょう。
脇が黒ずむ原因とセルフケア
脇の黒ずみの正体はメラニン色素による色素沈着です。色素沈着が起こる原因は1つだけではなく複合的です。軽度であればセルフケアでも改善することもありますので、まずは自分の黒ずんでいる原因が何なのかを知り、自分でできるケアを行ってみましょう。
刺激
状態
- 毛穴がポツポツとわかり、全体的に黒ずんでいる
- シワに沿った黒ずみがある
人間の体には外部の刺激から肌を守ろうとしてメラニン色素を分泌する防御反応が備わっています。脇は皮膚が薄くとてもデリケートでほかの部位に比べると刺激に敏感です。洋服の擦れやカミソリの刺激を受け続けると、その部位に過剰なメラニンが生成され色素がそのまま体外へ排出されず表皮に留まってしまいます。シワに沿った黒ずみに見えるものは、シワではなくほとんどが刺激による黒ずみです。よく観察してみましょう。
洋服は素材や締め付けなど肌に負担の少ないものを選び、ムダ毛の処理はできるだけ刺激の少ない方法を選ぶことをおすすめします。
間違ったムダ毛処理
状態
毛穴のポツポツが目立ち、黒ずんでいるのがはっきりわかる
脇の黒ずみの原因で一番多いのが間違ったムダ毛処理だと言われています。毛抜きは無理やり毛を引き抜くので毛穴に大きな負担を与え、ポツポツの原因になってしまいます。また、カミソリによる処理は深剃りなどで角質層を傷つけることで炎症を起こし、黒ずみへと繋がります。
自己処理をする場合は電気シェーバーをお勧めします。電気シェーバーは刃が直接肌に触れず肌への負担が少ないです。では、電気シェーバーがなくカミソリで処理するにはどのようにすれば良いのでしょう。
カミソリによる処理の方法
- お風呂に入り肌を清潔に。角質と毛に水分を与える
- シェービング専用のローションやジェルを塗って肌を守る
※石鹸は毛穴に泡が入ると、成分によっては赤みや炎症の原因になるのでNG
- 肌をピンと張り、毛の流れと同じ方向に1~2回優しく剃る
- 1回のみ仕上げで毛の流れに逆らって剃る
- ジェル等をふき取る
- 冷たいタオルをあて毛穴をひきしめ、黒ずみを防ぐ
- ローションで保湿し乾燥や埋没毛を防ぐ
カミソリは雑菌が繁殖しやすいのでしっかり洗い、切れ味が悪くならないように水分をふき取り乾燥した場所で保管しましょう。
ターンオーバーの乱れ
状態
- 毛穴がボツボツとわかり全体的にうっすら黒ずんでいる
- ところどころ白いかさつきがある
皮膚は通常28日周期で生まれ変わっています。このターンオーバーが乱れると毛穴に角栓が詰まったり、古い角質が表面に蓄積したりすることで黒ずみの原因になります。ターンオーバーの乱れの原因は乾燥、制汗スプレーの多用、紫外線の影響、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、ストレスなどがあげられます。紫外線の影響や睡眠不足などは肌の大敵。すぐに対策をしましょう。また、制汗スプレーには臭いの原因菌を殺菌するために重金属成分が入っており、この重金属が肌にストレスを与えています。さらに、粒子状のパウダーが毛穴につまり汗を出さないようするタイプが多いため、ターンオーバーの乱れに繋がります。脇汗が気になる方はクリニックでボトックス注射による汗止めを検討してみましょう。乾燥に関しては厚くなってしまった角質層を剥がすためピーリング作用のある石鹸を試してみても良いかもしれません。ただしピーリングの刺激が合わず却って黒ずみを進行させてしまう可能性もあるため注意が必要です。
2020.05.29
クリニックでできる治療
脇の黒ずみのセルフケアにはピーリング効果のある石鹸や美白効果のあるクリームなどもありますが、改善するまでに時間がかかったり、状態によっては改善しないことも。自己判断で誤ったケアをしてしまうことで悪化させてしまう場合もありますので、クリニックで医師に相談して治療を受けるのが、黒ずみ改善の一番の近道と言えるでしょう。
医療用外用薬・化粧品を使った治療
ハイドロキノン・トレチノイン療法(外用薬)
ハイドロキノンにはメラニン色素を合成する酵素であるチロシナーゼの活性を阻害するとともに、メラニン色素を作りだす細胞(メラノサイト)に対する細胞毒性があると言われています。皮膚の漂白剤と呼ばれるほどの強い美白作用があるものの、濃度が高いものだと、肌への刺激が強いせいで炎症などの副作用を伴うことがあるため、クリニックで処方されています。トレチノインの主な作用は、ターンオーバーの促進で、さまざまな要因で乱れたターンオーバーを正常化させることで肌トラブルを改善へと導く効果があります。
ハイドロキノン自体にはメラニン色素を排出する効果がないため、トレチノインと併用することで、黒ずみの原因となっているメラニン色素を効率的に排出しつつ、新たなメラニン色素の生成を抑制して、黒ずみを改善へと導きます。トレチノインは肌が慣れるまで皮向けや赤みなどの症状がでることがあります。
価格は3,000円~7,000円程度。
ルミキシル
ルミキシルとは医療機関専売の美白クリームのことで、ルミキシルペプチドが主成分となっています。同様に美白効果のあるハイドロキノンと比較すると、非毒、非刺激性なため、肌への刺激が少なく、安心して継続使用することができるとされています。ルミキシルは色素沈着の原因とされるメラニンの生成に関与するチロシナーゼを阻害する作用があり、メラニン生成抑制率はハイドロキノンの約17倍あるといわれています。価格は1本15,000円程度。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングとは肌に薬剤を塗り皮膚表面の角質層を酸で溶かして古くなった角質を取り除き、ターンオーバーを活性化させる治療法です。ピンクインティメイトはデリケートゾーン専用ピーリング剤で、VIOラインや乳首、脇の黒ずみなどの色素沈着の改善を目的とした治療に使用されます。ピンクインティメイトの主な成分はピーリング効果のあるクロロ酢酸、黒ずみを白くするコウジ酸、皮膚の再生プロセスを活性化させるバイオ刺激因子、皮膚を柔らかくするビサボロールです。メリットとしては、敏感な部位専用に開発されているので、低刺激で痛みもなく、当日からシャワーや入浴が可能なほどダウンタイムがないことが挙げられるでしょう。施術には麻酔は不要で、薬剤を塗布した後軽くマッサージを行い、薬剤を拭き取るといのを2〜3回繰り返すことが推奨されています。またクリニックによっては外用剤として処方するところと、院内で施術を行うところがあるようです。施術時間は10~15分程度で、状態にもよりますが、週に1回、4~5回塗布します。費用は1本1~2万円程度。
レーザー治療
これまで脇の黒ずみ治療には、主にトレチノイン、ハイドロキノンなどの塗り薬やピーリングなどが中心でしたが、医療機器を使用した治療としてレーザートーニングが注目を集めています。レーザートーニングは炎症が起きないほど低出力のレーザー黒ずみが気になる部位に照射し、肌に過剰な刺激を与えることなく、徐々に黒ずみの原因となるメラニン色素を除去していくという治療法です。1回の照射で劇的な変化が得られる施術ではなく、回数を重ねるごとに少しずつ黒ずみが薄くなっていくため、治療を完了するまでに数ヶ月かかります。非常に弱いパワーで照射するため痛みが少なく、術後のダウンタイムがほとんどないのが特徴です。治療時間は1回10~20分ほどです。状態にもよりますが2週間に1回、5~6回の治療が推奨されています。費用は1回1万円程度。
医療レーザー脱毛
脇の黒ずみの原因のほとんどがムダ毛の自己処理によるものです。ムダ毛の自己処理がなくなれば脇に余分な刺激を与えることもなくなります。黒ずみを繰り返さないためには、医療レーザー脱毛で永久脱毛することをおすすめします。
医療レーザー脱毛とは、黒い色素(メラニン)に反応する波長のレーザーをムダ毛の気になる部位へ照射し、レーザーの熱作用で毛の生えてくる毛根部を破壊することで、永続的な脱毛効果を得ることができる治療法です。毛周期に合わせて脱毛していくため、脇の場合は最初は2~3か月ごとに施術を行い、毛量の減少に合わせて間隔を開けていきます。一般的には、合計5回程度の施術で、1年~1年半程かけて完了するとされています。
永久脱毛を行うことで、自己処理が不要になるため、黒ずみの予防にも繋がります。
まとめ
脇は皮膚が薄くデリケートな部位なため、間違ったムダ毛処理などを行うことで黒ずみやすいとされています。また、一度できてしまった黒ずみは自分で改善するのはなかなか難しいため、黒ずみを改善するにはどのような方法があるか一度クリニックで相談してみることをおすすめします。黒ずみを改善するには時間がかかるため、薄着の季節の前にケアを始めてみてはいかがでしょうか?