「ハイフ」って最近色んなところで目にするけど、エステなの?美容医療なの?美顔器なの?と疑問に思っている方も少なくないのではないでしょうか?
ハイフとは、超音波によるリフトアップを目的とした医療機器で、これまで外科手術でしかアプローチができなかった肌の深い位置にあるSMAS層(筋膜)にまで熱エネルギーを届けることで、土台からリフトアップへと導くという治療に使われています。たるみ治療の中では比較的新しい治療法ですが、高いリフトアップ効果が期待できることから、エイジングケア世代の方はもちろん、小顔になりたい、スッキリとしたフェイスラインを手に入れたいといった若い世代の方にも人気の施術です。
インスタグラムなどでインフルエンサーがハイフ治療をしていると公言していたり、効果の高さと安全性、ダウンタイムの少ないという点だったりが魅力とされているハイフですが、どういった治療なのか詳しく見ていきましょう。
「HIFU(ハイフ)」治療のメカニズム
HIFU(ハイフ)とは、High-Intensity Focused Ultrasoundの略で高密度焦点式超音波のことを言います。
超音波は様々な医療分野で用いられています。妊娠中の赤ちゃんの状態を検査するときにも超音波(エコー)が使用されているように、超音波の安全性は広く認められています。この超音波を1点に収束することで、超音波エネルギーが照射された部位は60℃~80℃の高温になるといわれています。
例えるなら、虫眼鏡で太陽光を集め1点に光を集中させて紙を焦がすイメージです。このようにハイフは狙った深さにピンポイントでエネルギーを届けることができるため、周りの正常な組織を傷つけずに、狙った細胞だけにダメージを与えることができるという特徴があります。
そのため、ダウンタイムがほとんどなく、リフトアップやたるみなどへの効果が得られると言われています。昔は主に前立腺ガンの治療に用いられていましたが、その高い選択性と身体への安全性から2004年以降、美容医療業界においても、たるみ治療や痩身治療に使用されるようになりました。
「ハイフ」で期待できる効果とは
切らないリフトアップ治療として注目を集めているハイフですが、どういう治療なのでしょうか。従来のたるみ治療と比べてどこが違うのでしょうか。
ハイフのメカニズム
顔のたるみは、皮膚だけでなくその下の脂肪が下垂したり、筋肉やそれを包む筋膜が緩んだりすることも原因となります。ハイフは真皮層、脂肪層のさらに下にある、SMAS層とそれぞれ狙った深さに合わせたカートリッジを選ぶことで的確にその場所へ熱エネルギーを届けることができます。特にハイフでしかアプローチができないSMAS(筋膜)はほとんどがコラーゲンから構成されているため、ハイフ照射による熱作用で収縮し、緩んだ筋膜が縮むことでフェイスラインを土台から引き上げる効果が期待できます。またSMASだけでなく脂肪層や真皮層も狙って照射できるため、脂肪を破壊してボリュームを減らしたり、コラーゲン増生による弾力アップなどの効果も期待できます。
熱によって損傷した組織は、人が持つ傷を治す力(創傷治癒力)によって修復され、その過程で新しくコラーゲンが生成されます。筋膜の収縮とコラーゲン増生により、肌がぐっとリフトアップされる仕組みです。
ハイフは、ターゲットとした深さを60℃~80℃に熱することで組織を損傷し、そのダメージが治る過程で新しいコラーゲンやエラスチンなどが増生されると考えられています。コラーゲンが熱ダメージを受けることによるSMASの収縮、及び長期的なコラーゲン増生効果によって、土台からのリフトアップだけでなく、肌のハリやシワなどの改善の期待できます。顔用のハイフ機器は、例えばたるみを引き上げたい箇所には4.5mmと3mm、肌にハリが欲しいという箇所には1.5mmと、施術部位によって照射深度を選ぶことが可能です。狙った層だけに集中的にエネルギーを与えることで、肌の表面にはダメージを与えないため、ダウンタイムがほとんどないと言われています。
他のたるみ治療との違い
ハイフが登場するまで“切らないたるみ治療”の代表であったサーマクール(高周波治療)は、高周波で真皮〜皮下組織(脂肪層)を加熱することで、組織をギュッと一回り縮めるかのような「引き締め」効果が期待できるたるみ治療です。
ハイフは更に深いSMAS層からたるみのリフトアップを目的としているため、引き締めと言うよりは引き上げ、リフトアップの効果が高いと言われています。
そのため、脂肪が重いタイプの人は「切らないたるみ治療」と呼ばれているサーマクールが、フェイスラインのもたつきなどには「切らないフェイスリフト」と呼ばれているハイフが適していると言われています。
ハイフは皮下脂肪が比較的厚い箇所に照射すると効果を感じやすいようです。逆に脂肪が少なく皮膚が薄い箇所(首、瞼、額など)はハイフシャワーなどに使われる1.5mmのカートリッジでしか照射ができないとされています。
ハイフはたるみを予防し、進行を遅らせる効果もあるため、たるみが気になり始めた頃から継続的に受け続けことで、スッキリとしたフェイスラインを維持することができると言われています。
ハイフは誰にでも適した治療というわけではなく、極端に頬に脂肪が少ない方がハイフ治療を受けると、かえって頬がこけたようになり老けた印象になりかねません。施術にあたっては、照射後の顔をイメージするデザイン性も重要になります。ハイフは骨格と筋肉、神経経路についての知識、すなわち解剖学の知識に基づいて施術を行う必要があることから、医師が施術を行うクリニックは安心といえます。
ハイフで期待できる効果
- たるみ改善、リフトアップ、小顔効果
- 引き締め、顔痩せ効果
- コラーゲン増生によるハリ、つやUP
- 小じわ・毛穴の改善
顔ハイフこんな人におすすめ
- 頬、フェイスラインのたるみが気になる
- 下膨れ、丸顔が気になる
- ほうれい線
- マリオネットライン(口角のしわ)
- 二重顎
ハイフによる医療痩身
ハイフは痩身治療にも利用されています。体用ハイフとして開発された機器は、超音波の焦点を最大13mmの深さまで設定可能で、皮下脂肪までピンポイントに熱エネルギーを届けることができると言われています。高い熱エネルギーの作用で脂肪細胞を破壊することを目的とした治療なので、脂肪吸引と同様にリバウンドしにくい点が魅力で「切らない脂肪吸引」と言われることもあります。
照射できる部位は脂肪が厚い部分のみ(指でつまんだときに厚さが2.5cm以上ある)となっています。ハイフ、クールスカルプティング、スカルプシュアなど、機械を使った部分痩せ治療は、痛みや腫れなどのダウンタイムがほとんどないと言われており、治療回数も少なくて済むと言われています。特にハイフは、超音波を照射することで脂肪細胞を破壊するため、1回の施術で十分に効果が感じられると言われています。熱によって分解された脂肪細胞が体外に排出されるまで約1か月~3か月かかりますが、施術2週間後くらいから施術部位が徐々に引き締まっていく効果を感じられるようです。熱ダメージを与えられた組織はコラーゲンの生成も促進されるため、痩身施術の後に起こりやすい皮膚表面のたるみ予防にも効果が期待できると言われています。ハイフは体への負担が少なく、部分痩せに適した医療痩身治療だと言われています。
体ハイフこんな人におすすめ
- 皮下脂肪を減らして部分痩せしたい
- リバウンドしたくない
- 1回の施術で効果を得たい
ハイフの施術について
ハイフ機器はたくさんある
現在ハイフ治療の機器は、クリニックで使用されているものだけでも10種類近くあります。機器によってそれぞれ特徴があり、特にたるみ治療では使用する機器によって治療費が10万円~30万円と大きく差があります。自分がどの機器での施術を希望するのか、事前にある程度考えておく必要がありそうです。リフトアップ治療用のハイフとして代表的なものに、ウルセラ、ウルトラセル、ウルトラフォーマーなどがあります。
痩身治療ではハイフ以外にも「切らない脂肪吸引」として使用されている機器(スカルプシュア・ウルティマなど)がたくさんあります。自分に合う施術がどれなのか分からないという方は、痩身機器をたくさん扱っているクリニックを選んで相談してみるのもいいでしょう。
痩身用ハイフとしては、リポセルやライポソニックス、ウルトラフォーマーなどがあります。
ハイフ治療は痛い?効果はどのくらい継続する?
「ハイフは痛い」と聞いたことがある方もいらっしゃると思います。痛みの感じ方には個人差がありますが、“チクチクとした痛み”“奥の方ではじけるような痛み”と表現される方が多いです。特に深いところに照射するときや骨の近くは痛みを感じやすいといわれています。ただ、ハイパワーの施術が可能なウルセラであっても麻酔なしで治療を受ける方も多いようです。希望によってクリームタイプの麻酔や笑気麻酔をオプションで施してくれるクリニックもあるので、痛みに特に弱い方はカウンセリング時に相談してみましょう。
施術後は特に何も症状がないことがほとんどだと言われています。少し筋肉痛のような痛みや、むくみを感じる方もいるようですが、症状は2、3日で落ち着きます。
たるみ治療、痩身治療どちらも1回の治療で効果を感じられる方が多いと言われています。照射後数か月かけてたるみの改善効果、や脂肪除去による痩身効果が現れると言われており、効果の持続期間は半年~1年程度だといわれています。
効果を維持するためには半年〜1年に1回程度繰り返し施術することが推奨されています。
ハイフ施術は必ず医療機関で
ハイフの治療効果を得るには肌深層にまで届く強いパワーが必要になります。顔の形が変わるほどの強いパワーでの照射には、火傷や神経損傷などのリスクもあるので、必ず医療機関で施術を受けるようにしましょう。
エステや美容サロン用に開発されたハイフ、さらには家庭で照射できる家庭用ハイフなど、現在様々なハイフ機器が登場しています。しかし超音波の深達度、加熱温度、熱の加え方など機器の性能には大きな差があり、医療用ハイフとこれらの機器は別物と考えたほうが良さそうです。
中には高出力の医療用ハイフ機器を違法に使用しているエステサロンもあり、しびれや火傷の後遺症が多数報告されています。ハイフは超音波を当てるだけの治療ですが、顔の骨格を把握し、どの部位に超音波をあてると効果が出るかを見極めながら照射する必要があります。
それぞれの顔立ちに合わせて照射をデザインするには、解剖学的知見と高い技術力が必要になるでしょう。ハイフ治療の効果は、性能の高いマシンと知識と技術のある施術者の手によって得られるといえます。
まとめ
「切らないフェイスリスト」「切らない脂肪吸引」として注目されているハイフ。最近では小顔になりたい若い女性からも支持されている治療法ですが、もともとは医療現場で使用されていた技術であるという点からも、その効果の高さは期待できそうです。価格に開きがあるとはいえ、決して安価ではない治療です。ハイフの効果を最大限に得るためには、施術者の技術や経験も大事だといえます。ぜひ信頼できるクリニックで施術を受けるようにしましょう。