
ボツリヌス製剤の効果。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
米国で効果が現れるのが8時間で、2~3週間持続するという短期型のボツリヌス製剤が登場する見通しとなっている。
2025年4月24日、アラガン・エステティックスが、額のしわ治療を対象とした「TrenibotulinumtoxinE(TrenibotE、トレニボツリヌムトキシンE、トレニボトE)」の米国食品医薬品局(FDA)への承認申請(BLA)を行ったと発表した。
見た目への影響の不安に対応

ボツリヌス製剤の効果。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
ボツリヌス療法は、シワの改善のためなどに広く利用されている美容施術。
教科書では、ボツリヌス製剤の効果が現れるまでには、3日ほどかかり、効果は3~6カ月続くと説明されている。製品によって効果の出方は異なると考えられるが、従来のボツリヌス製剤は、効果が現れるまでに時間がかかり、持続する時間は長かった。
こうしたボツリヌス製剤の効果は、長く効果が保たれるというメリットにつながる一方で、初めて美容施術を受ける人にとっては、「不自然な見た目になるかもしれない」という不安がハードルになることも考えられた。仕上がりに満足がいかなかったり、顔の麻痺が現れたりした場合に、その状態が長引く恐れがあった。
それに対して、今回新たに開発されたボツリヌス製剤は、効果が2~3週間しか続かないので、もし仕上がりが良くなくても、苦痛を感じる期間が短くて済む。そのため、美容医療を初めて利用する場合など、初心者にとっても試しやすい特徴を持った製品となる。
もしも効果が満足できなければ、ボツリヌス製剤の利用はやめることができる。逆に、満足できた場合には、もう少し効果が長続きするボツリヌス製剤に切り替えることが可能だ。お試しができる分だけ、心理的ハードルが下がることが期待される。
最大3回の投与でも安全性を確認

ボツリヌス製剤の効果。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
アラガン・エステティックスによれば、今回の申請は、2100人以上を対象に実施された臨床試験で試され、安全性や有効性が確認されたという。この結果、最短8時間で効果が現れ、効果の持続は平均2〜3週間だった。副作用の発生率も、偽薬群と同程度で、1回または最大3回連続投与をしても安全性に問題は見られなかった。
ボツリヌス療法の新しい選択肢として、今後注目される可能性もある。
