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タトゥーで見る現代人の心理学、コンプレックスや身体醜形障害との関連も?ポーランド研究が明かす自己表現と心の健康

カレンダー2024.3.6 フォルダー 海外
タトゥーが受け入れられている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

タトゥーが受け入れられている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ポーランドで行われたタトゥーを入れる人の研究が、タトゥーを入れる動機や、隠れたコンプレックスや身体醜形障害の実態を明らかにした。この調査は、ヴロツワフ医科大学の研究チームによって2024年2月に発表された。

約5000人を対象にアンケート

タトゥーの背景にある心理とは。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

タトゥーの背景にある心理とは。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 タトゥーは世界中で広く受け入れられ、多くの人々が体にタトゥーを入れている。歴史をたどると、5000年もさかのぼれるとされる。個人の自己表現の手段などとしての役割を果たしている。しかし、タトゥーを入れる人々が、どのような理由からタトゥーを入れるか、コンプレックスや身体醜形障害との関連などがよく分かっていないという。

 このような実態を確かめるべく、今回、研究グループは、インターネットを通してアンケートを実施した。調査対象者は、身体醜形障害を診断するために特別に設計された質問票(BDDQ-DV)を含む一連の質問に回答した。

 研究では4809人が回答し、79.1%が女性。平均年齢は27歳。教育水準では、高校卒業が52.8%、大学卒業が23.5%と、教育水準の高い人が多かった。タトゥーを入れた年齢は18歳が最も多く、タトゥーの数は1つから10以上に及ぶ場合もあった。98.5%の参加者がタトゥーを後悔しておらず、もう入れないという人は1.5%にとどまった。これらの結果から、タトゥーをポジティブにとらえている傾向が見られた。

ネガティブからポジティブへ

この写真に映るのはステッカーだが、タトゥーがポジティブにとらえられる動きがある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

この写真に映るのはステッカーだが、タトゥーがポジティブにとらえられる動きがある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 研究から確認されたのは、まずタトゥーを入れる主な動機が自己表現であること。同時に、体の特定部位への深いコンプレックスを持っている人の割合が約2割、身体醜形障害と持つとされる人が約1割存在するといった実態も分かった。

 具体的には、体の一部に対するコンプレックスを持つ人々は全体の約2割で、この中の約半数に当たる全体の約1割が身体醜形障害である可能性が明らかになった。このデータから、タトゥーが自己の体型に対する不満やコンプレックスの解消手段となっていることも示された。全体の4.0%はタトゥーが、体の不満点から気をそらす助けになったと報告していた。

 タトゥーを入れる理由としては、個性の表現(20.6%)、自信の向上(14.5%)、美的理由(11.9%)が挙げられた。タトゥーのモチーフは、植物(17.5%)や動物(16.9%)が人気だった。

 研究グループによると、かつてネガティブなイメージが強かったタトゥーは、現代では広く受け入れられるようになり、特に教育水準が高い層を含む幅広いグループに人気があると判明した。個人の表現手段でありながら、身体醜形障害との関連性も指摘されており、タトゥーが自分を受け入れる助けになっている可能性もあるという。

 今回の研究はポーランドの研究で日本とは状況が異なるが、タトゥーに関する考え方や受け入れ方を考えるために参考になる部分があるかもしれない。

参考文献

Putek J, Batycka-Baran A, Szepietowski JC, Baran W. “Tattoo Characteristics and Testing for Body Dysmorphic Disorder: An Internet-based Self-questionnaire Survey of 4,809 Individuals with Tattoos”. Acta Derm Venereol. 2024 Feb 27;104:adv12444. doi: 10.2340/actadv.v104.12444. PMID: 38414283.

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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