
サプリメントの人気高まる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド、β-Nicotinamide mononucleotide)はアンチエイジング効果で人気がある一方、高額なため手が届きにくいところもあった。そうした中で、低価格化の進行により、サプリや化粧品としての市場拡大が見込まれている。
市場調査会社の富士経済は、2025年4月に、今後7年間で市場が約2倍に拡大するとの予測を公表した。
NMNの利用が若い人に広がり

富士経済はNMN市場が伸びていくという見通しを示す 。(出典/富士経済)
- NMNの注目→ 2015年頃から「若返りビタミン」として海外で話題となり、日本では2019年頃から流通が始まった。
- 市場の成長予測→ 富士経済によると、2031年には2024年比で91.8%増、305億円市場に拡大する見通し。
- 成長の背景→ 若年層からの支持や、スタートアップ企業のウェブマーケティング戦略が市場拡大を後押し。
富士経済によると、NMNは2015年頃から「若返りビタミン」として海外で注目されるようになった。NMNはビタミンB群に属する化合物で、細胞のエネルギー代謝を促進する役割を担っている。日本で流通し始めたのは2019年頃とされる。
美容医療の分野でも、「若返り」や「アンチエイジング」を目的とした利用が進んだ。一方で、NMNを点滴する自由診療での施術には、安全性の問題も指摘されるようになり、美容医療のトラブルが話題となる中、安全性の課題としても取り上げられるようになった。
また、冒頭で述べたように、NMNはサプリメントの中でも高額であることが認識されていた。当初は原料価格が高く、それが普及の壁となった。それが2021年頃から原料価格の低下が始まった。それでも2020年代前半には、NMNの1カ月10万円近い価格帯の製品が多く見られた。2025年時点では、ウェブで検索してみると、含有量はばらつくが、1カ月5000円を切るものから、従来通り10万円程度のものまで、さまざまな価格の製品が見られる。
そうした中で、富士経済は、2031年には市場が2024年比で91.8%増の305億円に達すると予測している。価格の低下により、若年層からの支持が高まっていることが要因とされる。スタートアップが販売しているケースが多く、ウェブマーケティングに力を入れていることも背景にある。2025年時点では、市場には製品ごとに含有量の差はあるものの、1カ月あたり5000円を下回るものから、従来通り10万円程度の高価格帯製品まで、さまざまな価格の製品が流通している。
中価格帯の台頭と長期的な可能性

サプリメントの市場規模が拡大している。(出典/富士経済)
- 市場全体の傾向→ サプリ市場全体は1兆円超の規模で、ビタミンやプロテインなど基礎栄養素への関心が高まっている。
- 美容サプリの成長→ 美容効果をうたうサプリ市場はコラーゲンやヒアルロン酸が人気。
- 今後の課題→ NMNのさらなる普及には、価格低下とともに科学的根拠の蓄積が鍵を握る可能性。
価格帯について富士経済は、3万円以上の高価格帯、1〜3万円の中価格帯、1万円未満の低価格帯の3つに分類し、この中でも中価格帯が伸びていると説明している。
2023年は3つの価格帯がそれぞれ3分の1ずつを分け合っていたが、2024年に中価格帯が2倍以上伸びて、全体の4割強を占めるようになった。
ヒフコNEWSで伝えた富士経済の調査によれば、サプリメント全体では、ビタミンやプロテインなどの基礎的な栄養素への関心が高まっている。市場規模は1兆円強だ。「美容」から「健康」への志向の変化が指摘されている。美容効果をうたったサプリメントは前年比7.1%増の571億円と一定の成長を見せ、コラーゲンやヒアルロン酸といった定番成分が人気だという。
ポイントは、身体の健康につながる基本が重視されている点。
そうした中で、今後、価格の低下とともに、効果に関わる科学的根拠の蓄積が、さらなる普及の鍵を握ると考えられる。
