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「皮膚科医オススメ」など、化粧品広告に改善求める、韓国で237件摘発、2025年1月広告規制強化、医療関係者の認定など禁止、MFDSが広告ルールの違反に注意喚起

カレンダー2025.5.23 フォルダー 海外
韓国で化粧品の広告が摘発された。画像はイメージ。(出典/韓国食品医薬品安全処(MFDS))

韓国で化粧品の広告が摘発された。画像はイメージ。(出典/韓国食品医薬品安全処(MFDS))

 「皮膚科医オススメ」や「病院専用成分」といった表現は、化粧品広告において一般的に見られるが、韓国ではこうした医療的な表現の使用が禁止されている。

 2025年5月、韓国食品医薬品安全処(MFDS)は、不適切な医療表現を含むオンライン化粧品広告237件を摘発したと発表した。

「塗るボトックス」など摘発の流れ続く

韓国では化粧品に対する広告の規制が厳しい。韓国ドラッグストア、オリーブヤングの店舗。(写真/Adobe Stock)

韓国では化粧品に対する広告の規制が厳しい。韓国ドラッグストア、オリーブヤングの店舗。(写真/Adobe Stock)

  • 韓国での広告摘発→ 2025年3月、美容医療を想起させる化粧品広告144件が摘発され、「塗るボトックス」「フィラー治療効果」などの表現が問題視された。
  • 新たな規制内容→ 2025年1月の指針改訂で、「医師推薦」「病院専用」といった表現も新たに禁止され、91件がこれに該当。
  • 主な問題点3つ→ ①医薬品的効能の表現、②機能性化粧品の基準逸脱、③医療専門家の認定を装う表現の3点が特に問題視された。

 韓国では2025年3月にも、「塗るボトックス」や「フィラー治療効果」など、美容医療に関連する表現を含む化粧品のオンライン広告144件が摘発された。化粧品は医薬品のように厳密な有効性や安全性の試験を経ていないため、医薬品的な効果をうたう表現は禁止されている。

 さらに、2025年1月には、韓国の「化粧品表示・広告管理指針」が改訂され、「医師推薦」や「病院専用」など、医療専門家の認定を受けたかのような印象を与える表現が新たに禁止された。これを受けて、今回摘発された広告のうち91件は、医療専門家の認定を受けたかのような表現が原因で処分の対象となった。

 このほかの114件は、「皮膚炎症の改善」「再生」「抗炎症」など、あたかも医薬品のような効能効果を示す表現を含む広告だった。残る32件は、「シワ改善」などの表現を用い、本来の機能性化粧品の審査範囲を逸脱したもの、あるいは一般化粧品でありながら機能性を装った広告であった。

 韓国の今回の注意喚起で問題視されたのは主に3点だった。①医薬品の効能効果をうたった表現②機能性化粧品の基準を逸脱または装った表現③医療専門家による認定を受けたかのような表現──。

自社ブランドを販売する事業者も摘発

韓国コスメの輸出額は2024年に100億ドルを超えている。(出典/韓国食品医薬品安全処(MFDS))

韓国コスメの輸出額は2024年に100億ドルを超えている。(出典/韓国食品医薬品安全処(MFDS))

  • OEM企業への影響→ OEM製品に自社ブランドをつけて販売している企業も、広告違反で行政処分の対象となる。
  • 一般ユーザーへの利点→ 誤解を招く製品の排除につながり、消費者にとっては信頼性の高い情報が提供される方向へと進む。
  • 韓国コスメの世界的広がり→ 輸出拡大を背景に、信頼性確保のための規制強化は業界全体にとっても好ましい動き。

 今回の摘発では、他社製品を単に販売している事業者だけでなく、自社ブランド製品を扱う事業者も対象となった。化粧品業界では、OEM(受託製造)事業者に製品を製造させ、それに自社ブランドを付けて販売するケースが多い。そうした企業も、広告規制に違反していた場合は行政処分の対象となる。自社で開発や製造を行っていない企業にとっては、誇張した広告による差別化が困難となり、販売活動に支障を来す可能性がある。一方で、一般のユーザーにとっては、誤解を招く製品を手にするリスクが減ることになり、歓迎される変化といえる。

 韓国では、化粧品の広告表現に関する規制強化が進んでいる。韓国コスメは世界的に人気を集め、輸出も年々拡大しており、信頼性の確保が一層重要となっている。不適切な広告表現による製品の流通が抑制されることは、業界全体にとっても望ましい変化といえる。

 一方で、韓国から日本に輸出される化粧品については、韓国の広告規制が適用されない地域であるからと、誇張された表現が依然として使われる可能性がないか気を付けるとよいかもしれない。

 ヒフコNEWSでも報じているように、日本でも韓国と同様の広告表現に関する問題が指摘されている。特に医療的な表現については、美容医療で使用される製剤の多くが医薬品として未承認であるため、化粧品における表現の法的扱いも一層不明確になりがちだ。今後は、広告表現に関するルール整備の必要性が一層高まると考えられる。

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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