
2025年5月28日に開幕する第113回日本美容外科学会JSAS(出典/日本美容外科学会JSAS)
5月28日~30日の3日間、東京都内で日本美容外科学会JSASによる第113回学会が開催される。会長を務めるのは、リッツ美容外科(東京都渋谷区)院長の廣比利次氏。
従来、同会は2日間の日程で行われたが、初めて3日間の開催となる。プログラムに並んだ講演は、およそ160件にも達する(ランチョンセミナーなどスポンサーの付く演題を除く)。
これらの講演から見えてくる2025年の最新トレンドとは何か。
多彩な医師が関わる目の美容外科

目の美容医療はより美しい仕上がりが求められている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
160近くの講演があると、テーマも幅広く、大きな傾向をつかむのは難しい。そこで、海外から来日し講演する医師の演題に注目してみるとどのような潮流が見えるだろうか。各医師が、それぞれの国で展開されている美容施術について語るが、日本の学会で情報提供するからには、日本の医師が注目しているテーマを反映しているとも考えられるからだ。
海外からの医師による講演は、海外招請講演、AMA(エステティックメディカルアカデミー)コラボセッション、教育講演、ASIAN FORUM(アジアンフォーラム)に分かれている。
海外招請講演では、2つの演題が予定され、プログラムの筆頭に挙げられている演題だ。学会全体の中でも最もスポットライトが当たった講演となる。
2つの演題のテーマは、蒙古ひだを治療するための簡易な治療法、下眼瞼フィラーの合併症の回避法について講演が予定されている。
注目されるのは、両方の講演を米国の著名な美容眼科形成外科医、スティーブン・フェーゲン(Steven Fagien)氏が担当する点だ。目頭切開や下眼瞼のフィラーといった治療において、自然さと安全性の両立は従来から重要な課題だ。こうしたテーマに対する講師として、目に特化した美容眼科形成外科医が選ばれたことから、ますます高度な施術や最新情報へのニーズが高まっていることがうかがわれる。
目の美容外科に携わる医師の専門分野は、多岐にわたるようになっている。形成外科医ばかりではなく、眼科医、美容外科医、専門医資格の有無など、その背景はさまざまだ。
このように関与する医師の背景はさまざまだが、目をより美しくするという目的は共通している。
一方で、所属の違いにより、どの医師が手掛けるべきかという議論が活発になることもある。
ある意味で、学会の中心的な海外招請講演で、2つの演題をいずれも世界的権威の美容眼科形成外科医が担当するというのは、今の美容外科のトレンドを象徴している。最先端を学び、切磋琢磨することで、目の美容外科はさらに発展していくと考えられる。
デジタル技術まで駆使して高度な美容医療へ

東京都内で学会が開催される。(写真/Adobe Stock)
このほか海外からの講演者の講演を見ていくと以下のような講演が予定されている。それは美容外科の高度化を感じさせる。
AMAコラボセッションでは、オランダ・エラスムスメディカルセンターをはじめ複数の機関で職務を務める皮膚科医、セバスチャン・コトファナ(Sebastian Cotofana)氏が、上顔面の注入治療について語る。
教育講演では、台湾P-Skinプロフェッショナルクリニック院長のピーター・ペン(Peter Pen)氏が、肝斑の病態、治療選択肢、コンビネーションアプローチについて解説する予定だ。
ASIAN FORUMでは、大きく2つのテーマが設定されており、一つは「ナチュラルビューティー」で、もう一つが「アジアの美容外科技術」。
前出のピーター・ペン氏のほか、マレーシアのクリーククリニックのリム・ティンソン(Ting Song Lim)氏、台湾エバービュートメディカルエステティックスのツァン・ファンウェン(Fang-Wen Tseng)氏がナチュラルビューティーについて講演。
さらに、台湾アースティ形成外科クリニックのチン・ウェイチェン(Wei-Cheng Ching)氏、大韓形成外科学会のチェ・ボンギュン氏(Bong-Kyoon Choi、CBK美容外科)、韓国JW形成外科センターのスー・マンクーン(Man-Koon Suh)氏、台湾エスプレミアムクリニックのライ・シンティー(Hsin-Ti Lai)氏が、アジアの美容外科技術を講演する。
この辺りはアジアの演題なので、アジアらしい美容医療、アジアの施術の技術が講演されるのは当然の内容ではあるが、前述のように、美容医療が高度になっていることをうかがい知ることができる。講演では、外科的技術と非外科的技術の組み合わせについて語られるほか、3Dプリントやデジタル技術を駆使した施術の方針決定なども話題に上る見込みだ。より良い仕上がりを目指して、各種技術の活用が進んでいることが分かる。
美容外科は着実に進歩している。日本の医師による講演でも、術式の進歩、新しい照射系の美容医療機器、製剤、美容内科、AI(人工知能)といった新しい領域の話題が多数盛り込まれている。学会での情報交換を通して、日本の美容医療がより良く発展することが期待される。
