
まぶたの施術のニーズは高い。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
美容外科の学会では、二重手術や眼瞼下垂手術が期待通りの結果とならなかった場合の修正法に対する関心が高まっていた。
修正に関するテクニックの普及とともに、失敗事例を広く共有することで、技術が不十分な状態での手術の拡大を防ぐ効果も期待される。
眼瞼下垂や二重手術の修正に注目

眼瞼の手術が広く行われている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- まぶたの修正手術が注目→ 第113回日本美容外科学会では、まぶたの修正手術に関する講演が合計2時間40分にわたり実施され、これまでの学会とは異なる充実ぶりを見せた。
- 講演テーマと内容→ 「眼瞼修正」と「眼瞼下垂を極める」の2セッションが設けられ、特に後者では手術後の左右非対称や不自然な二重幅、まつげの向きの異常などの症例が紹介された。
- 修正の難しさと個別対応→ 修正手術は難易度が高く、医師のアプローチも異なり、標準化された解決策がないケースが多い。
第113回日本美容外科学会JSASでは、まぶたの修正手術に関する講演が合計2時間40分にわたり行われた。修正手術とは、美容医療の施術を受けた後、仕上がりに満足できないなどの理由から、その結果を改善するために行われる手術。
まぶたの修正手術に関する講演は、第112回(前年開催)の学会では見られなかった。「上眼瞼を極める」と題した2つのシンポジウムが開かれたが、これは修正以前の上まぶた手術のテクニックを扱ったもので、修正手術を中心に据えた講演ではなかった。その他にも、まぶたの修正をテーマとした講演は確認されなかった。さらに、もう1年さかのぼった第111回では関連の発表が1件確認されたのみで、今回のような長時間にわたる講演は実施されていなかった。
それに対して、今年は、シンポジウム1は「眼瞼修正」、ラウンドテーブルディスカッション2は「眼瞼下垂を極める」をテーマとして開催された。それぞれ、二重切開の修正手術および眼瞼下垂の修正手術を扱ったもので、それぞれ1時間10分と1時間30分の時間が充てられていた。
このうち、ラウンドテーブルディスカッション2では、眼瞼下垂手術の結果に満足できずに苦しむ人がいる現状が紹介されていた。講演の中では、眼瞼下垂手術後に、左右非対称や二重幅の不均等、まつげの向きの乱れといった具体的な症例が紹介された。
医師はそれぞれの知識や経験に基づいて修正手術の方針を述べ、実際の手術プロセスと照らし合わせながら、最適な修正法について理解を深めていた。
眼瞼下垂の修正は難しい事例も多く、医師によって修正のアプローチが異なり、統一された解決法はまだ確立されていないことがうかがわれた。
技術力の底上げが求められている

まぶたをより自然な形にするには。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- まぶた施術のリスク→ 埋没法・切開法・眼瞼下垂手術などの施術は多く行われているが、結果に不満を抱く例も多いと見られる。生活に支障を来すケースも存在。
- 医師選びの難しさ→ 形成外科、眼科など多様な専門分野の医師が関与し、専門医資格の有無でもばらつきがあるなど、施術を受ける側の選択は非常に難しい。
- 業界全体への課題→ 修正手術の事例が多く紹介され、技術力の底上げが急務とされる中、学会では質の高い施術へのニーズとトラブル解決への姿勢が強く求められている。
上まぶたの施術には埋没法、切開法、眼瞼下垂の手術などがあり、日本国内で多数行われているが、結果に満足できないケースも多いと見られる。仕上がりに完全に満足できない、少し不満が残るという程度であれば、まだ許容されるかもしれないが、日常生活に支障が出るような状況に陥れば、その影響は計り知れない。
目元の手術を行う医師には、形成外科医のほか、眼科医やその他の専門分野を持つ医師がおり、専門医資格の有無を含めて多様な背景がある。医師の間でさえ、どの専門分野の医師が目の美容施術に最も適しているのかは、議論の対象となる。そうした中で、一般の人がまぶたの美容施術をどのクリニックで、どの医師に受けるかを選ぶのは至難の業といえる。
それだけに、不十分な技術による施術を一般の人が受けることがないよう、美容医療業界全体の技術力の底上げが強く求められている。今回の学会では、まぶたの手術における修正事例が広く紹介され、現場における切実な課題となっていることが浮き彫りになった。
ヒフコNEWSでも既報のとおり、学会の海外演題では眼形成外科医による講演が注目を集めていた。目の美容施術に対する関心はもともと高いが、より質の高い施術を求める考え方が一層強まっている可能性がある。
美容医療のトラブルが一般の関心を集める中で、美容外科の学会も、トラブル対応への姿勢をより強め、解決策の模索がこれまで以上に求められるだろう。学会の今後の方針はまだ明らかでないが、修正手術への関心は引き続き高い状態が続くと考えられる。
