ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

「間葉系幹細胞」は幹細胞と区別されるものを「間葉系間質細胞」へ名称見直し、日本再生医療学会が国際学会などの用語に合わせる方針示す、美容医療を含め自由診療での表記修正が課題に

カレンダー2025.6.4 フォルダー 国内
日本再生医療学会は、「間葉系幹細胞」と呼ばれているものの一部名称を変更。(出典/日本再生医療学会)

日本再生医療学会は、「間葉系幹細胞」と呼ばれているものの一部名称を変更。(出典/日本再生医療学会)

 国内で広く使われている「間葉系幹細胞」の名称について、日本再生医療学会は2025年5月30日、幹細胞と区別されるものについて「間葉系間質細胞」に名称を見直すことを発表した。

 美容医療をはじめとする自由診療分野でも「間葉系幹細胞」という表現が多く使われており、今後の用語変更が診療現場や広告表示に影響を与える可能性がある。

公式文書での用語を見直し

細胞を区別する。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

細胞を区別する。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 表記変更の方針→ 日本再生医療学会は「間葉系幹細胞」と呼ばれているもののうち、幹細胞と区別すべきものに関して「間葉系間質細胞」へと表記を変更する方針を示した(2025年5月29日付け)。
  • 適切な分類→ 骨髄・臍帯由来の細胞は「幹細胞(Stem Cells)」と呼ぶことが可能だが、脂肪由来の細胞などの機能が限定的なものについては、「間質細胞(Stromal Cells)」と呼ぶのが適切。

 国内では、美容医療など自由診療において「間葉系幹細胞」と呼ばれていた細胞(現在は「間葉系間質細胞」と改称)が利用されるケースが多い。一般的に「間葉系幹細胞」と呼ばれているものは、脂肪吸引で得られた脂肪組織から採取されることが多い。例えば、培養した際の上清液が「幹細胞培養上清液」として点滴に用いられている。これは若返り効果などが期待されるとして、一部のクリニックで提供されている。また、自身の脂肪などから採取した「間葉系幹細胞」を培養し、その細胞を注入または点滴に用いる施術も実施されている。

 今回、日本再生医療学会は、2025年5月29日付で、「間葉系幹細胞」のうち、英語で「Mesenchymal Stromal Cells」と表現されるものについて、「間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cells)」へ表記を変更する方針を明らかにした。今回の発表は、「間葉系幹細胞等の経静脈内投与の安全な実施への提言」と題した文書の表記を見直す内容だが、この中で、今後の公式文書では「間葉系間質細胞」に統一すると説明した。

 この背景として、学会は、従来の「幹細胞」という表記によって、さまざまな組織へと分化できる能力や自己複製能を持つという誤解を招くという懸念があると説明している。実際、「間葉系幹細胞」と呼ばれていた細胞は、必ずしもこうした能力を有しているとは限らない。

 具体的には、骨髄や臍帯(へその緒)から取られた間葉系幹細胞は、多様な組織に分化し、自己複製も可能なため、今後も「間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells)」と呼ばれる。

 一方で、自由診療で一般に「幹細胞(Stem cells)」と称されている脂肪由来の細胞は、厳密には「間質細胞(Stromal cells)」と呼ぶのが適切となる。これらは骨髄や臍帯由来の細胞と比較して、幹細胞としての機能が限定的であるため、今後は「間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cells)」という表記が適切になると考えられる。

国際的な学会などに合わせる

国際学会の用語に合わせる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

国際学会の用語に合わせる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 国際基準との整合→ ISCT(国際細胞治療学会)やISSCR(国際幹細胞学会)、FDA(米国食品医薬品局)は「Mesenchymal Stromal Cells(MSC)」の表現を使用し、幹細胞とは区別している。
  • 呼称の今後の変化→ 「間葉系幹細胞」から「間葉系間質細胞」への呼称変更が今後進められると考えられる。ただし普及や統一には時間を要する可能性がある。
  • ヒフコNEWSの方針→ 今後は「間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cells)」に該当する場合、明確にその表記を用いる方針。

 こうした変更の背景には、国際的な学会などの方針がある。

 例えば、国際細胞治療学会(ISCT)は、骨髄由来および臍帯由来の間葉系幹細胞の応用を進めていくに当たり、間葉系幹細胞と、間葉系間質細胞とを明確に区別する必要があると説明している。

 国際幹細胞学会(ISSCR)や米国食品医薬品局(FDA)も、「Mesenchymal Stromal Cells(MSC)」という表現を用い、幹細胞(Stem cells)とは異なるものとして扱っている。

 国内で自由診療に使われている「間葉系幹細胞」の多くは、実際には間葉系間質細胞に該当すると考えられる。そのため今後は、「間葉系幹細胞」から「間葉系間質細胞」へと呼び名も変わってくると予想される。もっとも使用されている場所が多く、統一されるまで時間を要することも予想される。また、そもそも認知が進まない可能性がある。

 ヒフコNEWSでは今後、明確に「間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cells)」に該当する場合には、その表記を使用する。

参考文献

「間葉系幹細胞等の経静脈内投与の安全な実施への提言」の一部修正について
https://www.jsrm.jp/news/news-16348/

厚生労働省、培養上清やエクソソームの安全性に関する通知、幹細胞培養上清液やエクソソームなどの自由診療、再生医療など提供する施設に注意喚起
https://biyouhifuko.com/news/japan/8491/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。