美容医療大手「品川美容外科(以下、品川美容)」を運営する医療法人翔友会と理事長夫妻が、同グループで提供する顔のたるみを引き上げる美容施術「糸リフト」を巡り、韓国で開発された縫合糸とキット(以下、縫合糸製品)を不正に模造して患者に使用していたとして製造元から訴えられ、今年4月に敗訴していたことが分かった。
訴訟資料によると、品川美容は2012年6月から、韓国の美容医療関連会社ワイ・ジェイコブスメディカル(以下、ワイ社)が開発し、医療機器として承認や特許を有する縫合糸製品を施術用に採用し、糸リフトの施術に使用していた。ワイ社が開発した縫合糸製品は、結び目工程を必要としないなどの特徴があったという。
しかし2013年10月頃、品川美容は製品価格などを理由にワイ社との取引を停止する。ところがその直後、代表の綿引氏の妻が経営するシンガポールやマレーシアの法人が、ワイ社が開発した縫合糸製品の模倣品をシンガポールで製造し、日本に輸出していたという。
ワイ社は2019年に品川美容の運営法人である翔友会と理事長夫妻を特許権侵害・営業秘密侵害を理由に提訴。東京地裁は今年4月、品川美容がワイ社に総額69億4083万9890円(別途、遅延損害金)の損害を与えたと認定し、相当額の損害賠償を命じる判決を出した。判決文では、品川美容が模造品製作など「不正の利益を得る目的」で、糸リフトに関する製品情報を第三者に開示したなどと指摘した。
品川美容は美容医療業界で有数の規模を持つ業界大手だ。同社ホームページによると全国に39院を展開し、37年の歴史を持つ。糸リフトの症例件数は2012年~2025年で27万件を超すという。問題の模造糸リフトは、「夢のリフト」「フェイスアップ」「美肌アモーレ」などの名称の施術で使用されていた可能性がある。
ヒフコNEWS編集部は翔友会に判決内容についてコメントを求めたが、期日までに回答はなかった。ワイ社は「翔友会と理事長夫妻による当社製品の模倣品の輸入・使用により当社の知的財産権が侵害されている事実が全面的に認められ、当社に生じた69億円を超える高額の損害の全額について賠償請求を認容する正当な判決を下していただいたと考えています」と述べた。

品川美容外科を運営する医療法人翔友会と理事長夫妻が、韓国で開発された糸リフトの縫合糸とキットを不正に模造して使用していたとして製造元から訴えられ敗訴した。(出典/東京地方裁判所)
