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PDLLAなど注入製剤、基本は安全も見逃せない副作用、韓国ではトラブルをきっかけに裁判も?海外のコンセンサスでは熟練医師の施術を重視【編集長コラム】

カレンダー2025.6.30 フォルダー連載・コラム

 スキンブースターやコラーゲンブースター、バイオスティミュレーターと呼ばれる注入製剤が、皮膚のシワやたるみの改善、肌質改善のための治療として注目されているが、有害事象についての情報を聞くこともあり、安全性についての注意は必要だ。

治療の方法が限られると言う課題

合併症については論文報告もされている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

合併症については論文報告もされている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • スキンブースターの安全性に関する指摘→
    一般的な文献でも、スキンブースターやバイオスティミュレーター製剤の安全性について警鐘が鳴らされており、合併症の報告が増加傾向にある。
  • 2024年9月の研究報告→
    2011〜2016年・2022年のデータを比較した研究では、吸収性フィラーによる炎症・感染・異物反応などの合併症の増加が報告されている。
  • バイオスティミュレーターの遅発性合併症→
    ある研究では、バイオスティミュレーターによる合併症の約6割が1カ月以降に発生。治療成功率は1割未満と報告されている。

 最近、韓国でスキンブースターの一つである、ポリ-DL-乳酸(PDLLA)配合製剤でしこりが発生し、その後に裁判が起こされたという事例を耳にした。裁判の情報は日本ではなかなか表に出てこないこともあり、残念ながら韓国の裁判資料にアクセスできていないが、合併症自体は発生の可能性があり注意を要する。

 一般的な文献からは、スキンブースターやバイオスティミュレーターなどと呼ばれる製剤の安全性についての指摘は増えている。ヒフコNEWSでも既に取り上げられている例として、2024年9月の研究報告がある。これは、2011年~16年、22年のデータを比較し、体内で吸収される各種のフィラーによる合併症が増えていると報告されていた。

 研究対象になった情報はやや古いが、吸収性フィラーは、ヒアルロン酸、CaHa(カルシウムハイドロキシアパタイト)、PLLA(ポリ-L-乳酸)、コラーゲンが調べられていた。合併症は、炎症や感染、異物反応による肉芽腫(にくげしゅ、しこり)などが発生することがある。

 別の研究では、バイオスティミュレーターによる合併症は、遅れて発生することが報告されていた。その報告によると、合併症の6割が1カ月以降に発生しているとされた。合併症の治療成功率は1割未満とされており、ヒアルロン酸ならばヒアルロニダーゼで溶かせるものの、他の製剤だと治療手段がないことが問題とされた。

 他の論文では、失明に至ったケースも報告されていた。製剤によって血管が詰まるからだと考えられている。

基本的には安全、熟練の医師から施術を受ける

注入の技術が確かな医師の施術を受けることが安全安心につながる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

注入の技術が確かな医師の施術を受けることが安全安心につながる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • PDLLAに関する海外の推奨→
    ブラジルの医療機関による合意に基づく論文では、PDLLAは基本的には安全だが、注入量が多い場合に炎症やしこりのリスクがあるとされている。
  • 施術における医師の技量→
    PDLLAの安全な施術には、医師が適切なトレーニングを受けていることが重要であり、熟練の医師による施術が望ましいとされている。
  • 施設選びの重要性→
    施術を受ける前には、信頼できる医療機関かどうか、十分な情報収集を行い、慎重に判断することが大切。

 海外では、PDLLAについてブラジルの医療機関による合意に基づく推奨が論文報告されていた。これによると、PDLLAは基本的には安全とされているものの、注入量が多い場合などに炎症が起き、しこりが生じると説明されていた。医師が適切なトレーニングを受けることの重要性が指摘されており、熟練の医師による施術が望ましいとされている。

 こうした状況は日本でも注意すべき点といえるだろう。施術自体は手軽に受けられるものであるが、思わぬトラブルにつながる可能性があることを理解し、施術を受ける施設選びについて慎重に情報収集することが、転ばぬ先の杖となるだろう。

参考文献

非吸収性フィラーの長期リスク、炎症・感染・しこりに、吸収性のヒアルロン酸やバイオスティミュレーターの合併症も拡大中、オランダの研究グループが報告
https://biyouhifuko.com/news/research/9214/

バイオスティミュレーター、合併症の6割が1カ月以降に出現、顔面・しこりが最多、治療成功は1割未満、製剤増加の中で安全性の情報蓄積は急務に
https://biyouhifuko.com/news/research/12074/

バイオスティミュレーターによる合併症への新たな対策、しこりを「溶かす」技術に注目、PCL製剤の症例で検証、シンガポールの医師が美容皮膚科誌に発表
https://biyouhifuko.com/news/research/12702/

Magacho-Vieira FN, Vieira AO, Soares A Jr, Alvarenga HCL, de Oliveira Junior IRA, Daher JAC, Napoli JVMP, Serra JPA, Provázio SC. Consensus Recommendations for the Reconstitution and Aesthetic Use of Poly-D,L-Lactic Acid Microspheres. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2024 Dec 4;17:2755-2765. doi: 10.2147/CCID.S497691. PMID: 39654687; PMCID: PMC11626391.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39654687/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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