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「オゼンピックフェイス」、急激な減量のために思わぬ老化、抗肥満薬の副作用に注目、最近だと「マンジャロフェイス」?、米国形成外科学会の医師らが警鐘

カレンダー2025.7.17 フォルダー 海外
早めに老化。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

早めに老化。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 「オゼンピックフェイス」という言葉をご存じだろうか。海外などでは以前から問題になっており、国内でも紹介されることがあった。肥満症に使われるGLP-1受容体作動薬を使う人に見られる独特な顔の変化の特徴を言った言葉だ。

 米国形成外科学会(ASPS)が2025年6月にあらためて紹介しており、おさらいする。

体重が減る速度が影響する

抗肥満薬の存在感が増している。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

抗肥満薬の存在感が増している。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 米国形成外科学会の指摘→
    GLP-1受容体作動薬を使用することで、顔に特有の変化「オゼンピックフェイス」が現れると報告。マンジャロフェイス、ウゴービフェイスなどとも呼ばれる可能性。
  • オゼンピックフェイスの特徴→
    頬のこけ、目元のくぼみ、皮膚のたるみなどが現れ、疲れたような見た目になる。
  • 原因→
    急激な体重減少によって顔の脂肪も失われることが主因。

 体重を落とす効果を持つGLP-1受容体作動薬に関連した薬が次々と登場する見通しになっている。

 元々糖尿病の薬としてオゼンピックやリベルサスと呼ばれる薬が使われており、これに体重を減らす効果があるということで、同じ成分の薬がウゴービとして発売された。一方で、マンジャロという同じく糖尿病の薬があって、これがゼップバウンドとして体重を減らす薬として発売された。

 これらだけではなく、今後も、同じGLP-1受容体作動薬に関連した薬の開発が進んでおり、今後種類が増える可能性がある。

 肥満症の薬は世界的に大ヒットとなっており、国内外で使用する人が増えている。

 問題として、病的な肥満症ではない人まで、ダイエット目的で使うことが増えていることがある。

 今回、米国形成外科学会が注目したのは、こうした体重を減らすGLP-1受容体作動薬を使っている人に、独特の顔の変化が見られるということだ。

 これがオゼンピックフェイスと呼ばれている。オゼンピック自体は糖尿病の薬の名前であるが、もともと多くの人が使い始めたのが、オゼンピックだったところから、通称としてはこの名前が定着したようだ。最近であれば、マンジャロフェイスと呼ばれるのかもしれないし、肥満症の薬の名前を使うなら、ウゴービフェイスやゼップバウンドフェイスというのが適しているのかもしれない。

 いずれにしても、オゼンピックフェイスの特徴は、頬がこけたり、目元がくぼんだり、皮膚がたるんだりする現象を指す。疲れたような見た目になるというのだ。

 急激な体重減少により、体全体の脂肪だけではなく、顔の脂肪も失われるために起こる。

 米国形成外科学会は、「早めの老化(prematurely aged)」と表現しており無視できない。いわば思わぬ老化を引き起こしてしまうわけだ。

中高年だと「たるみ」になる

マンジャロをはじめ体重減少を促す薬が増える。(写真/Adobe Stock)

マンジャロをはじめ体重減少を促す薬が増える。(写真/Adobe Stock)

  • 副作用の現れ方→
    オゼンピックフェイスなどの副作用は、年齢や体重減少のスピードによって異なる。若年層では皮膚の弾力で自然に引き締まるが、中高年はたるみが残りやすい。
  • 急激な減量のリスク→
    体重が急に落ちると、顔の変化が遅れて現れることがあり、本人も気づかないうちに老けた印象を与える可能性がある。
  • 今後の見通し→
    肥満症治療薬の使用が拡大することで、オゼンピックフェイス対策がより注目される分野になる可能性がある。

 米国形成外科学会(ASPS)医師のミッシェル・リー氏とダニエル・ベック氏によれば、こうした副作用は年齢や減量速度によっても異なるという。若いと皮膚の弾力性が高いため自然と引き締まる一方で、中高年では引き締めが追いつかず、たるみが残る傾向が強い。「特に体重が急速に落ちた場合、顔の変化が遅れて現れ、本人が気づかないうちに老け込んだ印象になることがある」と指摘する。

 医師によると、対策として、軽い場合には、ソフウェーブやマイクロニードリングといった照射系の施術のほか、スカルプトラといったバイオスティミュレーターが考えられるという。また、より目立つボリューム減少には、ヒアルロン酸などの注入や自家脂肪移植、さらに重い症例では、フェイスリフトや脂肪移植、皮膚表面へのレーザー照射を組み合わせる施術が必要になる可能性も考えられるようだ。

 肥満症の薬がさらに増えてくると、オゼンピックフェイスの対策が、無視できないほど注目される可能性もある。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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