ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

中堅JUN CLINICが湘南美容グループのネットワーク入り、SBCがMB career loungeを買収、日本国内の美容医療再編に注目

カレンダー2025.7.18 フォルダー 国内
買収。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

買収。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 美容医療市場が成長を続けるなか、国内大手グループによる中堅クリニックの買収が注目される可能性がある。

 白金台や銀座、長野に拠点を持つ中堅美容クリニックグループのJUN CLINICが、湘南美容グループなどを展開するSBCメディカルグループホールディングス(以下、SBC)ネットワークに加わることになった。

 2025年7月17日、SBCが、JUN CLINICの経営支援を行うMB career loungeの株式取得を完了したと発表した。

都心部と地方中核都市にクリニック展開

相川佳之(あいかわ・よしゆき)氏。SBCメディカルグループホールディングス CEO(写真/村田和聡)

相川佳之(あいかわ・よしゆき)氏。SBCメディカルグループホールディングス CEO(写真/村田和聡)

  • 買収の概要→SBCがMB career loungeを買収し、JUN CLINICの経営支援にも関与することになった。
  • JUN CLINICの特徴→白金台や銀座、地方中核都市などに展開し、形成外科専門医の監修による個別化医療を提供。「カスタマイズ治療研究会」認定施設でもある。
  • 買収の狙い→SBCのネットワークとノウハウを活用し、JUN CLINICの全国展開やブランド強化、安定収益基盤の構築を図る。

 医療機関の運営では、総務・経理・広告・採用などの業務を専門会社が担うグループ経営の形態が一般的となっている。こうした経営を担う会社は、メディカル・サービス法人(MS法人)と呼ばれることがある。今回の買収はこのMS法人に関連した動きといえる。

 SBCメディカルグループホールディングスによると、医療法人美咲会が運営するJUN CLINICは、白金台や銀座、横浜、たまプラーザ、長野、名古屋にクリニックを展開。都心部と地方中核都市の両方に展開している点が特徴だ。

 JUN CLINICはレーザーや注入、糸リフトなど幅広い治療に対応し、形成外科専門医の監修のもと、個別化された美容医療を提供している点が特徴だ。同院は著名な「カスタマイズ治療研究会」の認定施設としても知られる。医療法人美咲会理事長を務める菅原順氏は、富山大学形成外科で臨床教授を務め、積極的に学会発表に取り組む。

 一方で、MB career loungeは、美容医療分野に特化したコンサルティングファームで、JUN CLINICの経営支援を担ってきた。つまりJUN CLINIC関連のMS法人と位置付けられる。また、SBCは湘南美容などにとってのMS法人ととらえられ、今回、MB career lounge買収により、SBCがJUN CLINICの経営支援にも関与することになる。

 SBCによると、JUN CLINICは、SBC傘下でノウハウを活かしたより広いネットワークでの展開を進めることになる。地域展開やサービス多様化を進めるとともに、ブランド力と安定的な収益基盤の強化を図る意向を示す。

 SBCは、もともと湘南美容クリニックとして神奈川県藤沢市で創業後、2024年にはNASDAQ上場も果たし、現在はグローバル展開を進めている。今回の買収は、その戦略の一環と位置づけられる。最高経営責任者(CEO)の相川佳之氏は、「JUN CLINICは、地方の成長市場である長野から、競争の激しい銀座・白金といった都市部に至るまで、多様な環境で成果を上げ、全国展開に適応する堅牢なビジネスモデルを確立。私たちは美容皮膚科・美容外科のサービスラインをさらに強化し、顧客の多様な期待に応える付加価値の提供を通じ、高品質な美容医療サービス市場でのプレゼンスを一層高める」と述べる。

規模を追う美容クリニック

拡大する美容医療市場。(出典/矢野経済研究所)

拡大する美容医療市場。(出典/矢野経済研究所)

  • 市場拡大と継続的投資→美容医療市場は成長中だが、特に非外科的治療では新施術が次々と登場し、機器導入など継続的な投資が必要となる。
  • 機器の進化と競争力→高周波や超音波などの照射系医療機器は進化が著しく、最新機器の導入が美容クリニックの競争力に直結する。
  • 組織力と規模の重要性→資金力や組織力のある大規模クリニックほど競争力を持ちやすく、グループ化・再編の動きが今後さらに加速する可能性がある。

 国内では美容医療市場が成長しており、今後、一層の拡大が見込まれている。一方で、美容医療の現場では、特に非外科的治療において、新しい施術が次々と登場し、継続的な投資を続ける必要がある。

 例えば、高周波(RF)や超音波といった照射系の美容医療機器は、新しい世代の機器が発売され続けており、年々性能が向上している。こうした新型の医療機器の導入を続けられるかどうかは、美容クリニックの競争力を左右する一方で、経営には継続的な投資という負担も伴う。

 こうした状況の中で、美容クリニックも、資金力や組織力のある施設ほど競争力を持ちやすいと考えられる。規模の大きな美容クリニックが優位に立ちやすい状況であり、今回のようなグループ拡大の動きは、今後さらに加速する可能性もある。

参考文献

SBCメディカルグループホールディングス、MB career lounge社の株式取得を完了
https://sbc-holdings.com/ja/news/146

創業25年で世界最大級に、美容皮膚科の台頭が転機、湘南美容クリニックのグループが今変えている仕組み、SBCメディカルグループホールディングス CEO 相川佳之氏に聞く Vol.1
https://biyouhifuko.com/news/interview/11826/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。