ポイント
- 課題が指摘されているエクソソームを含む細胞外小胞(EVs)応用を目指した提携が発表された。
- 再生医療分野に力を入れるロート製薬と、エクソソームの生産や開発の技術を持つエクソーフィアが協力。
- 国内ではエクソソームの規制強化の動きが進んでおり、有効性や安全性を高めることが重要だ。
課題が指摘されているエクソソームを含む細胞外小胞(EVs)の応用を目指した新たな提携が発表された。
再生医療に力を入れているロート製薬と、EVsの生産や開発に関わる技術を持つEXORPHIA(以下、エクソーフィア)が2025年8月、EVsの生産技術の提携を発表した。
有効性や安全性を高められるか注目される。
EVsの標準的な作り方などが課題

細胞から発生するエクソソーム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
自由診療で利用が進んでいるエクソソームはEVsの一種と考えられる。EVsは、細胞間の情報伝達を担う微小な粒子として、体のダメージにつながる炎症を抑えたり、組織の修復などへの応用が期待されている。一方で、その有効性や安全性は証明されておらず、量産化や品質確保は現在も課題になっている。
今回、ロート製薬は、再生医療で細胞を大量に培養する生産の技術やノウハウと、2019年に創業したエクソーフィアのEVs生産と開発技術とを組み合わせてEVsの生産技術開発を進めていく計画だ。
詳細については明らかではないが、ロート製薬は細胞の供給で実績があり、さらに、細胞から分泌されてくる小胞についても力を入れることが予想される。
ガイドラインの整備が進む

国際幹細胞学会が日本の再生医療に改善を求める。(出典/国際幹細胞学会)
EVsに関する社会的関心は近年高まりを見せており、とりわけ再生医療の分野において、その可能性とリスクをめぐる議論が活発化してきた。
2024年末、日本再生医療学会は、iPS細胞由来エクソソームの臨床応用に関して科学的根拠が不十分であるとする声明を発出し、情報提供と安全性確認の必要性を訴えた。
ヒフコNEWSの取材によれば、2025年、EVs実用化に向けたガイドラインの整備が進められている。
一方、国際幹細胞学会(ISSCR)も2025年に、日本の自由診療領域での再生医療の在り方に対して改善を求める勧告を公表。認定制度の専門性不足や、資料の妥当性への懸念を示し、国際基準との整合性を促した。
こうした動きは、EVsの臨床応用に対し、技術を実験的に使うのではなく、科学的根拠と安全性を伴って実用化することが求められている。
ロート製薬とエクソーフィアの提携も、この潮流の中で品質を高める動きの一つと位置付けられるだろう。
世界的に見るとエクソソーム技術への期待は高く、世界的に見ても、再生医療の研究開発にいち早く力を入れてきた日本ならではの技術やノウハウを、エクソソームを含むEVsでも発揮することが期待される。
参考文献
ロート製薬/EXORPHIA「細胞外小胞(EVs)の生産技術開発に向け資本業務提携を締結」(2025年8月20日発表)
https://www.rohto.co.jp/news/release/2025/0820_01/
iPS細胞由来エクソソーム治療に注意喚起、「科学的根拠が不足している」、日本再生医療学会が声明を発表
https://biyouhifuko.com/news/japan/10627/
国際幹細胞学会が自由診療の再生医療などに改善を要求、エクソソーム、点滴治療、PRPなどどうなる?増える再生医療クリニックでは淘汰が進む可能性も
https://biyouhifuko.com/news/world/11617/
