
厚生労働省に要望書。(写真/Adobe Stock)
2025年8月、厚生労働省は、美容医療に関する自由診療における違法、不適切な事例への対応を強化すべく、都道府県知事および保健所設置市長らに向けた通知を発出した。
これは、2024年11月22日にとりまとめられた「美容医療の適切な実施に関する検討会」の報告書を踏まえ、現場の行政対応を効果的に行えるように、法的解釈や是正措置のあり方を体系的に整理したものであるとなる。
「カウンセラーによる診断」「無資格施術」を明確に違法と説明

厚生労働省が「美容医療の適切な実施に関する検討会」第4回を開催。(写真/編集部)
- 通知の目的→ 美容医療における「安全」と「質」を確保するため、法令解釈と行政対応を明確化
- 基本方針→ 医師法や関連法令に基づき、曖昧だった判断基準を整理し、違反時の具体的対応を提示
- 関係機関の連携→ 厚労省が警察庁・消費者庁と協議し、承認を得たうえで通知を公表
2024年に公表された報告書では、美容医療の今後の対応策として「安全」と「質」の2つの視点から方向性が示されていた。今回の通知は、その考え方を具体的に落とし込んだものとなる。
通知は「法令の解釈」と「行政による対応」の両面から構成されている。
これまで曖昧だった判断基準の明確化と、違反が確認された場合の対応手段の具体化を意図している。
厚労省は、警察庁および消費者庁と協議を行い、内容を承知された上で示している。
今回の通知が第一に取り上げるのは、医師法や関連法令に関する基本的な解釈である。
第一に示されたこととして、美容医療現場で見られる「カウンセラー」と呼ばれる無資格者が、治療法を提案したり、施術の希望を聞き取り個別対応するような行為は、実質的に「診断」に該当し、診断に該当し、医師法第17条違反となる可能性があると整理された。
脱毛やHIFU、アートメイクといった処置についても、無資格者が反復継続的に行うことは医業に該当し、違法であるとされる。
また、看護師による医師の指示なき治療行為や判断も、医師法および保助看法に違反するものと整理された。特に、医師不在のまま看護師等が主体的に治療方針を決定・提案する行為や、施術を行うことは、法的に許されないと指摘する。
さらに、チャットやメールのみで行うオンライン診療も、リアルタイム性や十分な診療情報が確保されず、文字・写真・録画動画のみで診療を完結することは不可とされた。こうした場合には診療として認められず、医師法20条違反となる恐れがあると説明した。
診療録の作成・保存義務違反や、管理者が長期間不在で診療の責任を果たせない場合、医療安全対策の不備、虚偽や誇大な広告など、美容医療に多発する主な違反事例が整理されている。
検査に非協力的な医療機関は刑事罰の可能性も

カウンセラーや受付スタッフが診察や施術を行う違法行為が行われている。(出炭/厚生労働省)
- 立入検査→ 医師法・医療法違反の疑いがある場合、保健所による積極的な立入検査を実施。虚偽報告・拒否・妨害時は医療法89条に基づく刑事罰の可能性
- 是正命令と処分→ 違反確認時、都道府県知事が医療法24条の2に基づき是正命令を発出可能。従わない場合は業務停止、開設許可取消し、閉鎖命令など厳格処分
- 新たな整理事項→ 病院外での医業行為、研修医による無届開設、無資格施術など、これまで不明確だった領域も整理
通知では、違反行為に対する行政対応の枠組みが具体的に記されている。
保健所による立入検査については、医師法違反や医療法違反の疑いがある場合、施術を受けた人の情報提供などをけっかけとした積極的な実施を求めた。虚偽報告や検査拒否、妨害などを行った場合は医療法第89条に基づき刑事罰の適用も視野に入れている。
また、違反が確認された場合、都道府県知事は医療法第24条の2に基づき、業務の是正命令を発することが可能とされた。命令に従わない場合には業務停止、開設許可の取消し、閉鎖命令といった厳格な処分が行えると明記された。
病院外での医業行為や、臨床研修修了医師等による届出なしの開設や無資格施術などについても整理が示されており、これまで従来明確でなかった領域についても整理が示された。さらに、消費者生活センターなど関係機関との連携も盛り込まれ、美容医療に関連するトラブルを行政全体で監視・対応していく体制づくりが強調されている。
美容医療は自由診療であるがゆえに、無資格施術や誇大広告など法令違反が生じやすい。今回の通知は、違法となる行為を例示し整理した。全国一律での行政対応を促すものだ。こうした行政対応が明確に示されたことで、今後、法令違反がある場合に厳しい対応が取られる可能性がある。
ヒフコNEWSでは通知の各論(無資格者の診断、看護師単独施術、広告規制など)を連載で掘り下げて解説していく。
