「細川亙 現代美容医療を殿が斬る」では、日本形成外科学会理事長をはじめ、多くの要職を歴任し、米国形成外科学会名誉会員でもある細川亙氏が、現代美容医療が抱える様々な問題に鋭い視点で問題提起する。「殿」というのは、細川氏が細川ガラシャの子孫だから。その源流は明智光秀に通じる。そんな歴史的背景を持つ細川氏が現代に舞台を移して美容医療の分野で一刀を振るう。激動の美容医療の世界をどう治めるのか。
第10回テーマ「美容師が行うタトゥーメイク、千葉県の対応」
伝えているように、厚生労働省はこの8月に全国の自治体に対して「美容医療の適切な実施に関する検討会」を受けた通知を出した。この中では、アートメイクについても医行為であって、医師が行うものであると見解を出した。一方で、最高裁判決で、彫師が刺青を行うことは違法とはいえないと判断が出されたことがあり、アートメイクとの違いについて従来注目されていた。今回、細川氏は千葉県での対応について現場の実態を報告する。
千葉県匝瑳市(そうさし)でタトゥーメイクをしている美容師宛に2025年4月26日、管轄の保健所から「タトゥーメイクは医行為にあたるため今すぐやめるように」という指導が入った。それは令和5年の厚生労働省医政局医事課長通知に従ったものであり、行政機関としては間違った行いではない。一方美容師から連絡を受けた国際タトゥーアーティスト協会事務局は、タトゥーに関する私の発表見解などを添付して「タトゥーメイクは医行為ではない」ことを同保健所に対して主張した。
これに対して同保健所から判断を委ねられた千葉県は結論を出すことになった。さすがに立場上タトゥーメイクが医行為であるという厚労省通知を否定まではしなかったが、その結論は「サロンの施術者がタトゥーメイクをする場合には、十分に気をつけて施術してください」というものであった。事実上タトゥーメイクは千葉県では医師免許を有しないものが行っても問題にならないことになったのである。
タトゥーとの切り分けは難しい
前回の「殿が切る」でも述べたように、ほかのタトゥーと区別できるわけでもない一部のタトゥーを取り出してその部分を医行為と定義しようとする厚労省通知はすでに破綻している。下部組織が本省の通知を無視せざるを得ない状況に陥っていることを厚労省は正視し、新たな正しい通知を出さなければならない。
9月11日、私は梅村聡衆議院議員とともに厚労省医政局の中田勝己医事課長以下数名の課員と衆議院議員会館で面談した。国際タトゥーアーティスト協会宮本恵介理事長も同席したこの面談については次回の「殿が切る」で詳報したい。
