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ジェルネイルの光重合開始剤TPOが欧州で禁止、理由は「生殖毒性」、日本にも影響か、英国でも2026年禁止の動き

カレンダー2025.9.28 フォルダー 海外
禁止。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

禁止。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ジェルネイルの光重合開始剤として広く使われている薬剤「TPO(トリメチルベンゾイル・ジフェニルホスフィンオキシドTrimethylbenzoyl Diphenylphosphine Oxide)」が欧州で禁止になった。

 欧州連合(EU)が2025年9月1日、化粧品のTPOを禁止する規則「EU規則2025/877」を施行したことによるもので、今後、日本のネイルサロンなどにも影響する可能性がある。また、禁止された理由は有毒だからであるため、ジェルネイルを使っている人も気にしておいた方がよい可能性がある。

欧州のルール変更で禁止

ジェルネイルは紫外線で固める。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ジェルネイルは紫外線で固める。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • TPOの用途 → ジェルネイルを紫外線で硬化させるための光重合開始剤として使用されてきた。
  • 規制の変更 → TPOは生殖毒性を持つ「CMRカテゴリー1B」に分類され、9月1日からEU域内では化粧品への使用が全面禁止に。
  • 今後の動き → ノルウェーやスイスでも禁止が適用。英国は現時点で合法だが、禁止に進む可能性があり、TPOフリー製品への移行が進められている。

 TPOは、ジェルネイルを紫外線で固める際の光重合開始剤として使用されている。ネイルを固める際に、TPOに紫外線を当てることで固められるというもの。ネイルサロンでは重要な成分として使われてきた。

 同規則によると、TPOは胎児に悪影響を及ぼす「生殖毒性」を持つ物質として、「CMRカテゴリー1B」に指定された。従来、TPOは、人工爪の用途で、5%までの濃度でプロ向けに使用が認められていたものの、このルール変更によって、すべての化粧品で禁止されることになった。9月1日から、EU全域でTPOを含む化粧品の製造、販売は違法になる。

 英国の美容関係者が作る英国美容協議会によると、今回、EUのほか、ノルウェーとスイスでも禁止となった。英国では依然としてTPOを含む製品の使用は合法であるものの、今後禁止に動く可能性があるという。

 同協会によると、TPOを含む製品から、TPOフリーの製品に移行が進められている。

 欧州では、ネイルのブランドが、自社の製品がTPOフリーであると公式に声明を出すような動きもある。

自分の身体に接する場合の安全性に注意

光重合開始剤は紫外線に反応。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

光重合開始剤は紫外線に反応。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 禁止の根拠 → 動物実験で生殖毒性が確認され、人での有害性は未確認だが、リスクは重視すべきとされる。
  • 利用者への影響 → ネイルサロン運営者だけでなく、利用者もTPOのリスクを理解しておく必要がある。
  • 広がる可能性 → 日本でもTPOフリー製品を求める動きが出るかもしれず、過去のネイル関連トラブル同様、安全性への注意が重要。

 今回、禁止の背景になった生殖毒性は、動物実験により明らかになったとされる。英国美容協議会によると、人に同様の影響があるかどうかは確認されていないという。しかし、実際に人の有害性が確認されるわけではないと考えられ、生殖毒性が認められたことは重要視されるべきだろう。ネイルサロンを運営している人だけではなく、ネイル利用者は理解しておく必要がありそうだ。

 TPOという物質自体は、身近な成分ではないかもしれないが、今後は、日本国内でもTPOフリーの製品を求める動きが広がってくる可能性はある。

 ネイルに関連して、これまで国内では、つけ爪で使われる瞬間接着剤でヤケドになるケースがあり注意喚起されたことがあるほか、ジェルネイルを固める際の紫外線が肌に有害であることが報告されたことがある。自分の体に接して使うものは、たとえ体内に入らないように見える場合も、思わぬ影響が及ぶことはある。これを機に、自分の身に触れるものの安全性について注意してみるとよいだろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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